新任研究者の生活:効率的な引っ越しのための記録
3月で学生時代の10年を過ごした茨城を引っ越し、4月から北海道で新生活を始めました。
残念ながら今の日本の状況では、博士課程修了後すぐに安定した職に就くのは難しく、任期付きの職を転々とする可能性が高いと思います。公募に出す段階で関東付近、西日本などある程度地域を絞ることもあると思いますが、いずれにせよ引っ越しは多くなりやすいことに気づきました。
私は学部~博士までの10年間引っ越すことがなかったので、引っ越しは初心者で、今回の引っ越しでは割かなくてもよい労力をムダに割いた気がします。多くの職の任期=3年に1回という頻度で、このようなお金・時間の割かれ方をするのは研究や業務のロスになると感じました。
1回/3年は労力を考えると多いですが、経験と記憶を蓄積するには少なすぎます。ということで、私自身の次の引っ越しに備えて、今回の引っ越しの個人的な反省点や改善点などを記録しておこうと思います。
▲就職祝いに一人で食べさせてもらい盛大にお腹を壊しました。
研究者の引っ越しの特徴(N=2)
① 採用が決定してから引っ越しまでわりと時間がない
私の場合は2月中旬に採用が確定して、大学から正式な書類をもらったのが3月でしたので、1カ月間は退去の準備・新居探し・元々の仕事の整理・就職準備・挨拶回りでかなりバタバタしました。また、コロナ禍+日程の都合で友人や家族に手伝ってもらうのも遠慮したので、外注した部分以外は全て一人でやったのも大変でした。
② 部屋探しを希望的観測でおこなう
そもそも給与を明記している公募も少なく、就職が決定してからも明確な額を正式に伝えられる機会は今回ありませんでした。給与が分からないと住む場所が決められません。私は助教職の給与水準を基に希望的観測!で部屋探しを行うという暴挙に出ました。その後、親切で教えてもらう機会を個人的に得られたので、部屋の決定には間に合いました。同じく助教職に就いた友人は職が決まった段階で先方の先生に率直に確認したそうで、私も次は遠慮せずそうしようと思います。
③ 研究室の私物も引っ越す
移動前・移動後にも自分の研究室があるのであれば、旧・研究室から新・研究室への郵送で済むと思いますが、私は新・研究室がなく、就職先の業務は専門外で何が必要になるのか分からなかったので、全ての私物(癒しのぬいぐるみ等)を一度自宅に持ち帰りました。しかし、引っ越しの見積もりはその前にやってしまっていたので、場合によっては引っ越しのトラックに乗りきらなかったかもしれません。研究室の私物は早めにまとめて持ち帰るべきでした。
部屋探しの振り返り
① 部屋を決めるときに現地に行かない選択肢もあった
時間もお金も限られていたので、不動産とのオンラインのやりとりだけで決めることを検討してもよかったなと思います。何故なら永住する可能性が低いからです!しかも私は現地に2泊3日しましたが、内見だけなら3日もいらなかったです。希望の部屋3つくらい見つけておいて、オンラインで打ち合わせして、どうしても足りない情報や不安なこと(特に若い女なので治安)があれば現地に1泊して実際に見る、くらいでも良かったと思います。
②部屋探しのやり方は地域によって異なる
北海道は一つの不動産で全ての物件を扱えるので、どの不動産に行っても同じ物件を契約できるそうです。私はそれを知らずに「部屋探しは複数の不動産を回った方がいい!」という首都圏の情報を信じて、一度に2軒の不動産に予約を入れてしまい、その後面倒なやりとりが発生してしまいました。新しい土地に住むときにはまずその地域の部屋探しサイトを参照して、かつ不動産を予約するときは1軒ずつにしようと思いました。
▲暮らしの参考になります
物の処分の振り返り
①粗大ごみの処理方法の決定は優先順位高し
引っ越しが決まった時点で地域の粗大ごみ回収のタイミングを早く調べるのが吉です。私は何を捨てるのかはじめ迷っていたのもあって、3月に粗大ごみ回収を予約しようと思ったときには、一番早くても回収が引っ越し後の4月半ばで手遅れでした。事前に捨てられたとしてもマンションのゴミ置き場を長いこと占領することになるし、家具を一人で運び出せません。結局退去の前日に、不用品を回収して必要な資材にしてくれる業者さんに来ていただいて、約2万円で大体持って行っていただきました。
▼今回の反省を生かした表です。
②家電のリサイクルは計画的にやるべし
そもそも使っていなかったり壊れている家電が家に結構置きっぱなしになっていたので、引っ越しが決まった段階でそれらをケーズデンキの有料リサイクル回収に持っていくことから始めました。これも溜めておかずに早めにやっておいた方がいいですね・・・。
その他、今回の処理を表にしてみると個人的に①調理家電、②夏の家電、③趣味の家電は直前まで使う必要がなかったので処理しやすかった思います。
※「そのまま引っ越し」は引っ越し業者さんが梱包自体してくれたもの。関係ありませんが北海道は一般的にこたつ使わないので新規購入なしです。
あと本当に退去ぎりぎりまで使っていたのが掃除機で、これはもう次回も車に載せるしかないんじゃないかと思っています。
今回中古家電の買い取りについて調べた結果、5年以内、あるいは10年以内の家電であれば買い取ってもらえる可能性があるようなので、任期が終わって3年で引っ越す場合は買い取り業者を検討してもいいのかもしれません。
③ぬいぐるみやお守りの処分はひと手間かかる
高校時代から可愛がっていた多くのぬいぐるみたちが部屋や研究室、車の中に散在していたのですが、全部持っていくのは難しいと判断して、幾つか手放すことにしました。でも、大事にしてきたぬいぐるみをゴミ袋に入れて燃やすのは嫌・・・できれば誰かに使ってほしい😿と思って、探した結果▼こちらに郵送させていただきました。連絡不要で、ダンボールに入れて送っただけでした。他にも送って大丈夫そうな調理器具などは一緒に郵送しましたが、とてもありがたいサービスです。
あともう一つ悩ましかったのがお守りの類です。今までは初詣に行ったときに返納していたのですが、2021年は初詣に行かなかったので手元に結構溜まっていました。調べたら、神社のお守りかお寺のお守りかで返礼すべき場所が本当は違うようでした。
それぞれ仕分けて郵送すべきかどうか、ゴミ袋に入れて捨てるのは抵抗があるし、どこかの神社に行こうか等と悩んだ結果、時間がなかったのでそのまま引っ越し荷物に入れてきて、今も家にあるという始末です・・・。
物の移動の振り返り
①家具を処分するなら中身も処分するか、荷物より先に搬入されるように新調すべし
10年間愛用していた家具のうち、机といす以外(本棚、たんす、カラーボックス、ベッド等)は処分したのですが、収まっていた本や服を全部処分したわけではないので、新居に移ってから大量のダンボールが散乱した状態に困り果てました。
大きな家具は自分で買って運び込むのも大変なので,夜な夜な組み立て家具の通販に勤しむことになったのですが、本州なら送料無料なものも北海道や沖縄・離島は送料別(+5000円とかも)であることがほとんどです!しかも配達時間の指定不可、別途送料がかかる旨の追加のやりとりが必要等、手間も増えます。
引っ越し前に新しい家具を購入しておいた方が、自分で運んだりする必要もなくて新居に入居したら荷物をほどく前にすぐ組み立てられて超絶楽だったろうな~~~という後悔があります。もちろん、その場合は部屋の細かい寸法を事前に把握しておかないといけませんし、引っ越し前にある程度時間の余裕があるなど条件はありますが・・・。
②日頃から紙類を整理すべし
ScanSnapを買ってから、大学の授業のプリントやなんとなくとっておいたレシピなどをスキャンしてペーパーレス運動に励んでいた令和。しかし、今回の引っ越し荷物の半分が紙類といっても過言ではありませんでした。百数冊の本、過去の勉強会の資料、研修の資料、製本された白書や研究の報告書、説明書、小説、漫画、雑誌などで段ボール10箱分くらいありました。
何故私はこんなに必死に紙を移動させようとしているのか・・・?と疑問に思いつつ、仕分けする暇がないのでほぼそのまま詰めました。(何なら溜めた音楽雑誌30冊くらいを電子レンジでチンしてBUMPの部分だけ抜き取ってファイリングする作業を引っ越し1週間前にやったりしていました)
そして新居では大きな本棚を買ったのですが、残念なことにまだダンボール3箱分の紙類が仕舞えていない状態です。書籍を電子化すると頭に入ってこないことを経験済みなので、普段読まないけど保存したい資料に関してのみ電子化して、あとはそもそも印刷しない、紙を持ち帰らない、という工夫を今後していかないといけないなと思っています。
③退去までの作業によく使う道具は専用のかごにでもまとめておく
梱包用のガムテープ、ビニールテープ、マジックペン、プチプチ、はさみ、ゴミ袋、はしごは退去までよく使いました。
④入居してからすぐに使うものは荷詰めしないで自分で持っていく
メジャー、はさみ、ドライバーは引っ越してから部屋の寸法を測って家具を買ってダンボールを切って組み立てる、という一連の作業に必要な物たちでしたが、ドライバーとメジャーは荷詰めしてしまっていたので探すのに苦労しました。カーテンも初日から必須でしたが、これは分かっていたので大丈夫でした。
盲点だったのが寝具です。私はベッドを処分して、布団一式は引っ越し業者さんに搬送を依頼してしまったので、退去までの1日と新居に移ってから2日は寝具がありませんでした。退去までの1日は急遽ホテルに泊まって贅沢しましたが、新居に移ってからはまだ寒い北海道で車に敷いてあった長めの座布団を床に敷いてコートをかぶって寝ました。繁忙期に遠方に引っ越す場合は、荷物がそんなにすぐ搬送されないことを考えて、ホテルを予約しておくか車に簡易寝具を載せておくべし!
スケジュールの振り返り
今も車に降ろせていない荷物があり、部屋にダンボールが残っていることを考えても、この1カ月ずっと引っ越し継続中という状態で、これも全て新居に移って荷物が届いてからあまり時間がなかったからだと反省しています。
というのも今回のスケジュールでは、実質荷物の整理ができるのが1日半しかありませんでした。
正直、私自身で調整できた予定はこの中にほぼないのですが、たぶん3/25より前に荷物の運び出しや退去・入居を終えてしまって、3/25~また茨城に来て、3/27~北海道に戻るという選択肢もあったはずでした。ですが、できるだけ会っておきたい人に会い、残務整理と退去までの準備で3月は精いっぱいだったので、新しい暮らしについて考える態度や心的資源が足りなかったなあと思います。
今の仕事の任期の終わりが近づいて来たときは、できれば次の仕事が秋ごろには確定するように努力+お祈りして、余裕を以て引っ越しに臨みたいと思います。
▲フェリーに乗り込もうとしている私の車を、見送りに来てくれた研究室の秘書さんが撮ってくれました。私は元気です。
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