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アカデミアのまとめ

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研究者としてのあれこれをまとめます
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初めての翻訳出版

2023年8月に、『メディアと自殺:研究・理論・政策の国際的視点』(トーマス ニーダークローテンターラー ・スティーブン スタック (編著)・太刀川 弘和・髙橋 あすみ(監訳)田口 高也・白鳥 裕貴・菅原 大地・小川 貴史(訳))を人文書院より出版させていただきました。 経緯企画を立てたのは、まだ博士課程に在籍中のときです。メディアによる自殺報道の問題は、2020年以降に特に高頻度で議論となっていました。私はそのころ、報道とは異なる角度で「有名人の死」に関するレビュー論文を

職が変わったことの報告

こちらの記事で綴った就活から早2年、学内で新しい職に変わりました。 これまでの職 博士課程を修了して初めて就職したのは、嘱託教員でした。つまり、任期が決まっている契約社員みたいなものです。 一応文学部に所属する助教でしたが、担当授業や会議の出席義務はなく、シフト制で、研究室もありません。基本的には大学の学習相談窓口に在席し、学生と関わりつつ、ピアサポートや学びに関する企画実施、研究をすることが主たる業務でした。(詳細は論文もぜひ) 任期は3年(希望して承認されれば+2年

研究室をつくる(物理的に)

4月になり、元々働いていた大学内で転職しました(詳細はこちらの記事で)。それに伴って諸々変わったのですが、個人的に大きな変化のひとつが個人研究室をもらえたことです! 1.それまでの研究環境 それまではラーニング・コモンズの中にある「学習サポートデスク」と呼ばれる、事務室のような場所に在席していました。 こちらの学習サポートデスクは働く者としても快適空間で、仕事も大変やりがいがあり、同僚も学生も大好きでした。 しかしながら、助教の業務のひとつである「研究」に取り組む場所と

こなれた出張を目指したい

コロナ禍での移動制限が緩和されてきた現在、学会や講演会なども対面形式に戻ってきました。そのため、所属先に留まらずに移動して仕事することも増えてきました。 私は、各地の大学に出向いて自殺予防教育を実施し、その効果を検証するという研究を長らく続けています。学会発表にも積極的な方なので、研究において出張機会は(フィールドワークを行う研究者ほどではないと思いますが)比較的多いです。 その他、居住地とは異なる地域での非常勤をいくつか掛け持ちしていることもあり、出張先に滞在する期間は短

研究者のへたな確定申告ログ

恐らく好きな人はいないであろう、確定申告。 アルバイトやお仕事など、一途に一つの仕事だけに取り組んできた方の中には、確定申告をしたことがないという方もいるみたいですが、アカデミアの世界に身を置く者は、学生であっても複数の勤務先から給与をもらっていることが多いはずです。私もM2の時点で様々なところから給与をもらっていました。 現在も相変わらず、メインの大学の仕事の他、副業としての非常勤の仕事と、たまに依頼される単発の仕事があり、自分の年収すら把握できていない始末。「年末調整」

はじめての国際学会に関する覚書

昨年10月、博士3年目にして初めて国際学会でのポスター発表に挑戦しました。心理系の大学院生の中でも遅いデビューになりました。 参加した学会 IASR/AFSP International Summit on Suicide Research 27-30 October, 2019 @ Loews Miami Beach Hotel 発表する学会が決まるまで自殺研究を専門としている学会は日本では自殺予防学会総会しかありませんが、海外には幾つか選択肢があります。👉国際学会20

新任研究者の生活:効率的な引っ越しのための記録

3月で学生時代の10年を過ごした茨城を引っ越し、4月から北海道で新生活を始めました。 残念ながら今の日本の状況では、博士課程修了後すぐに安定した職に就くのは難しく、任期付きの職を転々とする可能性が高いと思います。公募に出す段階で関東付近、西日本などある程度地域を絞ることもあると思いますが、いずれにせよ引っ越しは多くなりやすいことに気づきました。 私は学部~博士までの10年間引っ越すことがなかったので、引っ越しは初心者で、今回の引っ越しでは割かなくてもよい労力をムダに割いた

アカデミアへの就職を決めたときの記録

最近は、少し下の世代がアカデミアへの就職活動を頑張っている声を聞きます。臨床心理学や精神医学など私の周辺分野だと、企業への就職が選択肢に挙がることは少ないですが、現場で働くための医療保健福祉系の資格を何かしら持っていて、臨床現場で働いたり、公務員として働いたりする選択肢は浮かびやすいです。そのため研究に関心が強い人でも、門戸の狭い大学や研究所などアカデミアへの就職活動は、運が良ければ…とちょっと弱気になりやすい気がします。(当然アカデミアを積極的に選ばない人もいますが) 就