7.

春ってこんなにもどかしかったっけ、と考える4月でした

とか言ってたらきっとすぐ
夏になりますね…

夏は
「終わる」ということに重きを置いた季節な気がして
夏が来ると感じた瞬間から終わりをイメージしてしまうので
心が苦しい季節と思ってしまいます

幻みたいでゆらいでいて
記憶がおぼろげで
全部うだった空気の中揺らめいて消えていくような
残ったのは
お布団の中で起き上がれない自分と虫の音だけ


先日、あるロックフェスに行きました

行きの電車の中で本を読んでいて
曇っていたから太陽の光がどこにあるかはわからないけど
その分眩しくない開けた明るさが窓から差し込んで手元を照らしていて
それがなんか心地が良かった

ロックフェスという喧騒に少しずつ向かっている中で
電車に揺られながら妙に静かな気持ちで本を開いていた

読んでいたのは梶井基次郎さんの短編集で
梶井基次郎さんの憂鬱が
傲慢なのは間違いないけれど
自分に似ている気がして読み始めてすぐにとても引きこまれた

常になんとなく付き纏う憂鬱と
たまにふっと景色がきれいに目に映ると思ったら
余韻を残さずすぐにまた元の憂鬱に戻っていくような

歩いていてこのまま遠くまで行ってしまいたいとぼんやり考えて
よくわからないものに心を惹かれたと思ったら
何もかも耐えられなくなるような


ある駅で小さな女の子とお母さんが乗り込んできて、4人がけボックス席の
私の正面に座った
その女の子のやわらかそうな髪の毛の
きれいな茶色に見入ってしまいそうになった

途中でお母さんは女の子に絵本を読み聞かせを始めた

いい子って泣かない子?
ー 泣いたっていいんだよ、でも泣いているとお母さんも悲しくなるよ
怒ったらきらいになる?馬鹿な子はきらい?
ー とんでもない、どんな○○でも大好きだよ

みたいなお話で
その女の子は落ち着かず窓を見たり姿勢を変えたり
どのくらいこの子にお話が伝わっているのだろうと考えていた
無意識に、心の奥に染み込んでいるのかな
でもお母さんが女の子を愛していることは第三者の私にものすごく伝わった
勝手にすごくわかった気になった

私もおそらくは、そうやって育っただろうにね…
こういう光景を見ると
微笑ましいと同時に
自分が将来こんな頭おかしい人になるとは知らず
こうやって無邪気に生きていた子供の頃の自分を哀れに思ってしまうのと

この子も、今はこうやって何にも知らないけれど
将来なんで生まれてきたのかとか考えてしまうのだろうか
とか勝手に想像してしまう
なので子供は得意じゃないです
もちろんかわいいとは思うけど


フェスにはスピッツ目当てで行ったんだけれど、とても良かった

勇気がなくてライブでなかなか手を上げてリズムに乗ることができず
体を小さく揺らすのが精一杯な私みたいな陰湿な人でも必然と受け入れてもらえるようなあたたかさ
客席を煽ったり、感動的なことを言ったりすることはなく、終始ゆるい雰囲気のMC

その一方で
めちゃくちゃロックでかっこよくて
本当たまらんですね…

スピッツのライブの好きなところのひとつは
「これがラストの曲です」て言わないところ
詳しくないので昔のライブでは言ってたのかもしれないですが…

何にも言わなくても最後らしくめいっぱい盛り上がって
盛り上がりと共に、ああ最後なんだなってなんとなく感じてしまうところが淋しい


スピッツの前に演奏していたバンドもいくつか聴いていたのだけれど
若いバンドはきっとこれからもたくさん出てきて
自分より年下のアーティストさんが増えて
「若い人たちに人気」の「若い人」に
自分がもうすぐ入らなくなってくるんだなあとふと考えていた

Galileo Galileiやplenty、the cabsのような
もう活動が終わっているバンドを聴くことが多い私にとって
スピッツは唯一今と私を繋げてくれているバンドで
現実の中で目印のようなバンドなのだと思った
スピッツが「この世界に在る」ということが生きる上でどんなに安心できるだろうと聴きながら思っていた


私はひねくれているので
もう明るい歌詞や諭すような歌詞は何にも響かないなあとか思ってしまうんですけど
スピッツが生で歌う明るい歌詞には本当に力があって
ロックで力強くて
自然にすっと受け入れられる自分がいるなあとはよく思います
けもの道とかみそかとかですね、、


そして何より、好きなお友達と行けたのが
とても嬉しかった

最初ステージに入った時、思ったより暗くて、
はぐれないようにその子と手を繋いで
音楽が鳴り響いて
現実じゃないみたいだった




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