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『学校に行かなくても豊かな人生を送れる』現役校長の立場から語る、学校の中に留まらない学びのあり方とは。〜後編〜

みなさん明けましておめでとうございます!SOZOW PRチームのひじです。
2024年は、令和6年能登半島地震から始まるとても衝撃的な幕開けでした。
子どもたちに関わるSOZOWとしても、改めて今何が出来るのか、考えていきます。

さて、新年一発目のnoteは、前回に引き続き、島根県隠岐の島の中学校で校長先生を務める傍ら、学校外でも不登校の子たちのために活動をしている渡部校長と、SOZOW代表小助川の非公開対談、後編の内容となります。

2人の対談は、渡部校長のプライベートな子育ての話から、不登校を経験した子どもたちの進路の話題・SOZOWスクール高等部の話へと流れるように展開していきます。
ぜひ後編記事も、お楽しみください!


娘さんが不登校になった当時、リアルに葛藤していたこと

小助川:当時お子さんが不登校だった時期のリアルな葛藤・またお子さんとのコミュニケーションについて、お話できる範囲で教えていただけますでしょうか。

渡部校長の子育ての経験談に、話題は切り替わります

渡部校長:渦中にいるときは、ただただ辛かったですよね。まず一番辛いのは、本人。そして、次に辛いのが妻。自分自身も、何もしてあげられない無力感を感じました。

色んな葛藤があり、子どもも妻も感情が昂ることもありました。
それに対して腹を立ててしまう自分もいましたが、それを出せない俯瞰した視点もありました。
当時、娘と同い年の子たちを隣の学校で担任していたので、「学校の教員なのに、娘が不登校」という周りの視線から来る居づらさを感じることも、正直ありました。
でもそんなつらさより、10倍100倍もつらいのは、本人。その本人にどれだけ寄り添ってあげられたのかなと今でも思うことはあります。

当時のことを振り返り、表情を曇らせる渡部校長

小助川:私も子どもが学校に通わない時期があったので、その気持ちはとてもよくわかります。
当時の娘さんへの声かけ・接し方などに関しては、どのようなことを意識されていましたか?

渡部校長:ある時夫婦で話をしたのが、ある意味、諦めようということ。
要は、自分の娘にはこうなってもらいたい、みたいな親の願いを諦めようと。例えば妻は、部活動をみにいきたかった、音楽会をみにいきたかったという願いはありましたが、それを手放して「それで良いじゃん」と受け入れようと決めたんです。勇気のいる決断でしたが、これがよかったと思いました。

それと、娘が結婚式のスピーチで言ってくれた言葉が、「選択肢を広げてくれたことが有り難かった」ということなんです。
与えたわけではなく、選択肢を広げて提案した上で、娘が選び取った選択肢を、親としての責任を持つ覚悟を決めて、18歳になるまで応援しました。

小助川:整理させていただくと、
・親が持っている子どもへの期待を手放すこと
・子どもが興味ありそうな選択肢を提示はするが、選択の決定権は子どもに
という2点が大事だったのですね。

渡部校長:SOZOWスクールの魅力はまさにそこですよね。様々な選択肢の中から、自ら選ぶ自由が担保されている。ここがとても大事に思います。

小助川:まだまだその点は課題でして、もっと色んな選択肢を提供できたらなと思っていますね。

不登校を経験した子どもの進路・地域格差。高校で本当に必要な学びとは

小助川:お子さんの不登校期間も経験された渡部先生の視点から、
中学まで学校に通っていない子どもの高校以降の進路、選択肢についての現状の課題について、感じることがあれば教えてください。

渡部校長:地方においては、N高さんを筆頭とする広域性の通信制高校の存在であっても、あまり知られていないのが現状です。
都会に比べると、やはり中山間地では選ぶ時の選択肢が少ない・知らないというのが実態。その点では、通信制高校の存在には助けられています。

また、実際にやってみたけど合わなかった、ということはありますよね。
基本的に高校は3年間やっていくというイメージがありますが、自分に合うところを見つける時間という感覚でもいいんじゃないかと思っています。
必ずしも3年間同じ高校に行く必要はないですよね。

小助川:高校での転校が比較的容易な、オランダのような教育システムもありますよね。渡部さんの子育ての経験と、これまでの教育経験を踏まえて、高校で本当に必要な学びとは、どんなものだと考えますか?

渡部校長:例えば、インドネシアのバリ島グリーンスクールみたいなのは、良い事例かなと。実践・協働・体験が大きな柱になってくる。

座学中心ではなく、もっともっと社会に出て行って、社会から隔離するのではなく、混ざり合った末の実践であること。
こういったものが通信制高校に求められていくのではないかなと。
また、点と点を繋げていくような、ご縁が広がる繋がりが増えていくといいんじゃないかと思っています。
人生の転機になった人たちって、ずっと仲良しだった人ではなく、ちょっとした出逢いによって巡り合った人たちだったりしませんか?

小助川:社会と混ざり合う、人との繋がり、実践。これが大事なんですね。
私自身が起業を目指したキッカケも、実は大学生の時に、たまたま京セラの稲森さんの講演を聞いて衝撃を受けたことなんです。
同質性の高いコミュニティから離れ、違う人・違うコミュニティに行ってみることで、人って変化しますよね。隠岐島にいった子どもたちも、きっとそうなんでしょうね。

渡部校長:僕の娘もまさにそうだと思います。娘は中学の頃から家を出たので、色んな良い人・悪い人と出逢いながら、学んでいったと思うんですよね。海外に行ったりもしていましたし、多くの出逢いの中・環境の中で学んでいったんだと思います。
私と小助川さんもそうですが、オンラインで生まれた繋がりから、その後どんな関係性をつくって行けるかもとても大切ですよね。

SOZOWスクール高等部に求められるもの、その可能性について 

小助川:実はSOZOWも、来年4月にSOZOWスクール高等部を開校予定です。少しこちらもご紹介させてください。

SOZOWスクールは通信制のサポート校です。SOZOWスクール高等部に入学するには、提携校である中央国際高等学校にも入学する必要があります。
まずは高校卒業をしっかりサポート。その中で「好き」が似ている仲間と繋がれます。
身近な出来事を学びに変える「SOZOWライブ」、活動内容や強みを可視化していく「個性ファインダー」というツールがあり、これは大学のAO入試や就活にも活かせる自己PRとして活用できるものです。
「好き活・プロ活」といった活動を通じて社会と繋がる学びを体験したり、ゆくゆくはたくさんの企業とコラボしつつより社会に直結する学びを届けていきたいと考えています。
不登校だったとしても、こんなものが作れるよ・こんな活動をして来たよと人に伝えられるような「個性キャンバス」というものを3年かけて作っていきます。
SOZOWスクール高等部は、自分の余白の時間を多く作れるのも魅力です。
年間5日登校だけでOK。それで卒業資格が取れる。
学ぶことは効率的に、自分の好きなことはとことんやっていけるという仕組みづくりを大切にしています。
なお、これは現時点での構想なので、今後どんどんアップデートしていく予定です!

高等部について、熱く語る小助川

渡部校長:いいですね。色んな通信制高等学校と提携を組んで、どんどん広げていってほしいですね。
探究的な学びはすごく大事だと思っていますが、たとえば何か成果発表会の機会などはあるのですか?

小助川:あります。SOZOWスクール小中等部のオンライン文化祭をアップデートしつつ、実際に自分の作品を世の中に対して発表していけるような場を作っていくことも考えています。

渡部校長:いいですよね。たとえば不登校新聞さんのTikTokでの取り組みはとても面白いなと思いました。
不登校ということに関心がない人もそれを見る、ということになれば、社会を変えていくムーブメントの後押しや材料になっていきますよね。

小助川:まさにそうですね。来年以降は、SOZOW FESなどの機会で、高校部門の子たちが発表できる機会もつくっていきたいですね。

渡部校長:全日制の学校に通っている子たちが、「こっちの方がいいな!」と思う選択肢になっていけるといいですよね。そうすると社会全体の学校システムが変わる可能性があると思うんです。
これまでは企業努力がなくても集まって来た高等学校に対しても、刺激になると思いますし、そこに通う子どもたちが地団駄踏んで悔しがるような学校になることを願っています(笑)

小助川:隠岐の島にSOZOWの高校生たちがいくとかも、面白いですよね。
他にも高校生の得意なもので、小中等部のスタッフとしてアルバイトをするとか。憧れや人との繋がりをつくっていったり、はたらく経験を学びにすることを、高等部ではできるといいなと。

渡部校長:たとえばSOZOWの子が、全国色んなところに出かけて色んな活動をすることが、SOZOWの一つのプログラムになっていく。まさに娘が経験したような機会を、SOZOWの生態系の中で学んでいけるようなシステムが出来たらとっても面白いですよね。

小助川:今後もっと力を入れていきたいのは、色んなリアルな場ですよね。
たとえば地方の廃校とか、リモートワークに変わっている企業のオフィス空間をお借りするとか。

渡部校長:田舎の統廃合で、空いている学校はいっぱいあるんです。そういうところとの連携はすごく面白そうだと思います。

小助川:そうですよね。廃校が全国でどんどん増えていく現状もありますし、子どもたちのアイデアを借りながらリノベーションしたり、文化祭したりとか出来たら楽しいですよね。

渡部校長:SOZOWに、不登校の子どもたちを会社の構成メンバーとして迎え入れちゃってもいいですよね。僕らも、実際に学校に行ってない子たちと一緒に色々考えながら活動をしていきたいと思っているんです。

小助川:まさに。「学ぶ」「働く」「遊ぶ」が分断されていたこれまでの社会から、それらの分断を無くして融合していく場にしていくことが大事だと思っています。

渡部校長:学校が面白くなくなったのは、時間割をつくってしまったことが失敗だと思っているんです。勉強時間・遊びの時間という分断をしてしまったことが、今の現状を産み出しているのではないかと思うんです。元々遊びも勉強も、スタートは一緒だと思うんですよね。「混ざり合う」という言葉を大事にしたいですね。

小助川:社会人で自分らしく働いて楽しそうにしている人も、「働く」「遊ぶ」「学ぶ」がワークライフミックスしてますよね。SOZOWとしては「ボーダーの無い社会」を目指して行きたいと願っています。

本日はあっという間の1時間でしたね。ありがとうございました!

笑顔が素敵な渡部校長!ぜひ五反田のSOZOWオフィスでお会いしたいです^ ^

編集後記

現役校長先生でありながら、過去にお子さんの不登校と向き合った経験から語られる、渡部校長のお話は、これからの教育のあり方について多くの示唆に富んだものでした。
「学校内で学べること」だけに目を向けず、「学校だけに囚われず、子どもたちにとってどんな学びの環境が大切か」ということを、SOZOWとしてもこれから一緒に考えていき、様々な取り組みを一緒に仕掛けていければと思います。
ここまでお読みいただいた皆さま、ありがとうございました!

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