オランダの学校教育の特徴⑤<転校が認められる>
前回の記事で、オランダの教育制度には学区制がないということについて触れました。
オランダの学校教育の特徴④<学区制がない>
https://note.com/naom_27/n/n8f817839485b
学区制がない。ということはどういうことかというと「学校が自由に選択できる」ということです。
しかし、同時に「学校が自由に選択できる」というのは、「学年の途中でも学校を変えられる」つまり、「転校ができる」という意味にもなるのがオランダの教育です。
日本で「転校」というのは、なかなか認められるものではありません。
最も多い理由としては、「家庭の事情による転校」が挙げられるのではないでしょうか。
ひょっとすると最近では、「いじめ」や「不登校」による消極的な転校の数も増えてきているかもしれません。
オランダでもいじめや不登校が全くない。という訳ではありません。
国が管轄する教育に関する統計サイトによると、2014年から2018年にかけて小学校(支援学校も含む)におけるいじめの件数は減少傾向にあるものの、2018年の「月に少なくとも1回いじめられている生徒の数」は全体の10%にのぼることがわかっています。
Percentage kinderen dat gepest wordt binnen het p(s)o
https://www.onderwijsincijfers.nl/themas/pesten-op-school
オランダにおける転校の理由には、「いじめや不登校」のような消極的な転校もあるとは思いますが、
・かねてから第一希望だった小学校に空きが出た
・子どもにもっと合う教育/小学校を見つけた
というような理由もあります。
学校生活を送る中で、保護者が、
「子どもの能力を十分に伸ばしてやれていない」と感じたり、
「子どもにとってもっと合う教育方針があるのではないか」というような思いを抱いた場合、オランダでは小学校を変えることが出来ます。
また、時に学校側から、
「この子にはもっと別の教育が合っているかもしれない」
というアドバイスを貰うこともあるそうです。
もちろん、子ども自身が
「私にはこの学校は合わない」
というようにして意見することもあるかもしれません。
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現実的に転校はよくある話ではあります。
しかし、学校に通い始めて数ヶ月から1〜2年程度の話であれば、転校の可能性を比較的簡単に考えられるかもしれませんが、子ども自身が学校を気に入り、人間関係が出来てくると、いくら保護者が教育方針に疑問を抱いたとしても、子どもとの話し合いも必要になってくるかもしれません。
子どもの性格を考えると、新しい環境にすぐ順応できる子もいれば、そうでない子もいます。そういった意味で、保護者は子どもの性格や特性をしっかり観察し、学校側ともよく話し合って転校の可能性を探る必要がありそうです。
また、ある小学校の校長先生の話によると、
「オランダでは転校はよくある。と言われるけれど、実は政府から受け取る子ども一人あたりの予算はgroep1(最小学年)から入学してくれないと満額受け取ることができません。よって、途中から転入生徒を受け入れると、groep1から生徒が在籍しているよりも少ない予算になってしまいます。だから、小学校はgroep1からの生徒をたくさん集め、出来るだけ生徒の転入学がないように心がけたいというところはあります」
とのことでした。
つまり、小学校が学校予算を最も得ることができるのは、groep1から順当に生徒が学年を進めていく場合。ということになります。
途中で転校する生徒がいたり、転入する生徒がいると、受給できる学校予算に変化がでてしまう。ということなのかもしれません。
しかしながら、オランダの学校教育において「転校」は比較的よくあることで、子どもの入れ替わりはそこまで珍しいことではありません。
教育の自由が大きく認められているオランダでは、子どもや保護者の中に「現状」に対して何か思うことがあれば、学校を変えることができる。という自由が認められています。
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