見出し画像

カレー粉を使い分ける?

文・撮影/長尾謙一
料理/横田渉

今さらだが、カレー粉とはカレーパウダーのこと。多様化するニーズに合わせて、カレーパウダーのバリエーションは広がった。

・カレー(赤缶カレー粉)
・セレクトスパイス ベーシックカレーパウダー
・セレクトスパイス カレーパウダー
・セレクトスパイス スペシャルカレーパウダー
・セレクトスパイス 甘口カレーパウダー
・セレクトスパイス 辛くないカレーアロマ〈カレーパウダー〉

(素材のちから第39号より)

画像7

そもそもカレー粉とは……

つい最近までカレー粉とカレーパウダーは違うものだと思っていた。しかし、カレー粉とカレーパウダーは呼び方が違うだけで同じものだ。そもそもカレー粉はイギリス発祥のミックススパイスで、カレーの本場インドには存在していなかった。

カレーパウダーは何十種類ものスパイスやハーブでつくられるが、ブレンドする種類や比率に決まりはなくメーカーによって異なる。ただ決定的なスパイスとしてターメリックは必ず使われる。カレーの黄色はこのターメリックによるものなのだ。

日本で初めて純国産のカレーパウダーが誕生したのは、1923年(大正12年)のことで、エスビー食品創業者の山崎峯次郎によってつくられた。今もその当時に確立された秘伝の製法をベースに製造される「赤缶カレー粉」は日本中で愛され続け、今年で70周年を迎える。

カレーの多様化がどんどん進む

さて、ここから 〝カレー粉を使い分ける?〟という本題に入ろう。
日本人の国民食と言われるカレーは、子供から大人まで世代を超えて朝昼晩を問わず、立ち食い店から居酒屋、高級ホテルやレストラン、給食業態までとにかく幅広く提供される。加える具材も肉ならば牛、豚、鶏が使われ、最近では羊なども当たり前になった。甘口から激辛まで味のふり幅は大きく広がり、食感もとろりとしたものもあれば、さらりととろみのないものも増えた。カレーも多様化したのだ。ならば当然カレーパウダーにも多様化が求められるのは自明の理である。

画像2

そこでご紹介したいのがエスビー食品(株)の「セレクトスパイス」カレーパウダーシリーズである。「セレクト」のカレーパウダー5種はそれぞれが違った方向性の風味を持ち、「赤缶」と合わせると6種が揃う。それにしてもカレーパウダーが6種類もあることに驚いた。

メニューを差別化するためにはカレーパウダーにも明快なコンセプトが必要

カレーパウダーは見た目にはそれほど差はないが、香りと辛さは大きく違っている。

それぞれを確認してみると、「赤缶」は昔から変わらないカレーの定番、「セレクト カレーパウダー」は標準タイプ、「セレクト スペシャルカレーパウダー」は熟成させた重厚感を持つ。さらに「セレクト ベーシックカレーパウダー」は他のスパイスを加えることで個性的なカレーにアレンジできるベーシックなものだ。またカレーから辛みの要素を抑えた「セレクト 甘口カレーパウダー」やカレーの香りだけが使える辛みのない「セレクト 辛くないカレーアロマ」と、それぞれが明快なコンセプトを持っている。

画像7

さらにパッケージも振り出し口のある缶タイプと袋のタイプがあり、内容量も100gから1kgと、形態別・内容量別に品揃えは充実していて勝手がいい。これならカレーを差別化したいというニーズに応えメニューの幅も広げてくれる。

〝カレー粉を使い分ける?〟の意味はお分かりいただけただろうか。
さて、ラインナップされた6種のカレーパウダーの中に気になるカレーパウダーがある。次ではそれらを掘り下げたい。

辛みのない子供向けカレーメニューも、個性的なカレーも自由自在。

カレーの世界へ引き込まれる

それでは気になるカレーパウダーを使ってメニュー試作してみる。まずは「セレクト 甘口カレーパウダー」である。

お子様キーマカレー

画像3

〝甘口〟の意味は、甘い味がするということではなく辛みの要素を抜いているということなのだ。それならばと 〝お子様キーマカレー〟を試作してみた。

細かく切った玉ねぎ、ニンジンを油で炒め、牛豚の合いびき肉を加えてさらに炒める。「セレクト 甘口カレーパウダー」を加えてなじませ、トマトケチャップ、ウスターソース、ひたひたの水を加え軽く煮込み、塩で味を調えた。

カレーの風味が凄く立ち上がってくるが、辛みを抑えているため肉と野菜の旨みがしっかりと味わえてとてもおいしい。これなら辛みを受け付けない子供もキーマカレーが楽しめるし、辛みが苦手な大人も大丈夫だ。

次に「セレクト 辛くないカレーアロマ」を使って〝ジャーマンポテト カレー風味〟をつくってみた。

ジャーマンポテト カレー風味

画像4

油を敷いたフライパンでベーコン、玉ねぎ、茹でたじゃがいもを炒め、「セレクト 辛くないカレーアロマ」と塩で仕上げただけだが、この仕上がりには少し驚いた。〝アロマ〟と名前がつくように、カレーの香りだけがじゃがいもに移った感じで、じゃがいもが甘い。メニューがカレーに支配されていなくてこれはいい。

最後は「セレクト ベーシックカレーパウダー」である。他のスパイスを加えて個性的なカレーにアレンジできるというのがコンセプトだ。そこで、とことんコリアンダーにこだわった鶏肉カレーをつくってみることにした。

鶏肉のコリアンダーカレー

画像7

ニンニク、生姜を炒めて香りが立ったら玉ねぎとコリアンダーパウダーを加え、さらに鶏モモ肉、じゃがいもを加え炒め、トマト、塩、「セレクト ベーシックカレーパウダー」を加える。全体にカレーパウダーが回ったら水を加え煮込む。コリアンダーシードの風味を油に移しテンパリングし、コリアンダーの葉/パクチーを添えてカレーライスに仕上げた。

画像7

コリアンダー尽くしのカレーは実にさわやかでスパイシーだ。コリアンダーの特長が存分に発揮されている。軽い風味でいくらでも食べられそうだ。それにしてもこれだけコリアンダーにふっても「セレクト ベーシックカレーパウダー」は基本的なカレーとしてのバランスを崩さず、加えた要素を支えているように感じた。

こうしてカレーパウダーの使い分けをしていると、どんどんカレーの世界に引き込まれてしまう。

協力/お問い合わせ:エスビー食品株式会社

(2020年11月30日発行「素材のちから」第39号掲載記事)

「素材のちから」本誌をPDFでご覧になりたい方はこちら

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
素材の生産者や食品メーカー、輸入者の皆さんの商品への深い思い入れを料理人の皆さまにお伝えしたく、2010年より外食店向けの食材情報誌「素材のちから」の発行を続けています。そして2021年noteでも発信をスタートさせます。http://www.sozainochikara.jp/