異国の地にわたしはいる ナイフとフォークでご飯を食べる 初対面の人と頬にキスをしあう 春にお庭に咲くのはシロツメクサではなくてマーガレット お線香や柔軟剤の香りではなくて香水の香りがする その二つの違いを楽しむことが本当に好き * だけどやっぱり とてもとても寂しくなる時がある 体調が悪い時、なんだか何もかもがうまくいかない時、傷ついた時 だけではなく ふっとした時に 食べたい 見たい 嗅ぎたい 聞きたい と強く思うのは ふるさとの慣れ親しんだものたちなのである
晴れ渡る夕方の頬を撫でる温かい風のような人 芳しくてその美しさと温かさで私を泣かせるそんな人 彼女は小柄で、可愛らしくて、いつもくすくすと口元を隠して笑う 私の拙い話をいつも一生懸命に聞いてくれるそんな子 か弱そうに見えるけど その優しい瞳の奥に凜とした強さを持っている 私が育ったのはよくある田舎の港町で、小学校は2つ、中学校は1つだった 小学生の時から同じ方の学校に通って行った私たち あんまり話すことはなかったように思う 私は決まったグループに6年間所属して
息を吸い込んで吐き出すと、目の前の空がより澄んで見える わたしの家庭はいわゆるシングルマザーで、わたしが小さな頃から母は一生懸命に働いていた その関係でわたしはほぼ全ての週末、また平日も1ヶ月に数回の頻度で祖母の家に泊まっていた 小学4年生になった頃からだろうか 骨折をした祖父と持病持ちの祖母は散歩の習慣を始めた とことこ歩く 何度もこの道を通ったはずなのに、毎日違う気持ち とことこ歩く いつも猫を探す 祖父は猫に好かれる 猫も居心地良さそうにこちらを見る ど
やさしくてあったかいものが必要な時 たくさんの選択肢があるけれど わたしにはカーディガンが必要 朝も昼も夜も わたしの心と体の温度を守ってくれる カーディガンを着て、そよ風に当たると心地よいしひなたぼっこがもっと好きになる 風や太陽や土の香り 植物たちの息遣い 人々の朗らかな声 カーディガンはそんな美しいものを吸収して心に届ける手伝いをしてくれてるみたいだ このカーディガンはどんなときもわたしやあなたのそばにある だから安心して、今日を生きることが出来る や