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夢の中で乗った江ノ電はなぜか大船駅に着いた

「鎌倉や逗子には、いや、鎌倉や逗子に住んでいる人たちには、お金持ち特有の余裕、抜け感、海でしょ山でしょキャンプでしょ感があってどうもいけすかないんだよ」と江ノ電の中で話す友人Aが誇らしい。

学生時代からの友人B (たまにいけすかないがいい人)の家へ向かっている土曜12時の江ノ電は平日朝の東急田園都市線よりも混雑していた。その大半は地元住民じゃなくてインバウンド、そして神奈川県民なのに横浜に住んでると微嘘をつくような人たちと仮定する。

車内では赤ちゃんがぐずりはじめるし、海でテンションが上がっちゃったと思われるサングラスお兄ちゃんは高アルの缶チューハイ飲んでるし、初々しい高校生カップルはここぞとばかりに密着している。いいぞ。これぞシーサイド民度だ!

「民度って言葉、最近よく聞くけど、誰がどんなポジションで度合いを決めてんのかな?」

心とは裏腹なセリフを友人Aに伝えてみる。すると彼はこう返す。

「民度、承認欲求、人財。ざいは財産の財ね。
みんど、しょうにんよっきゅう、じんざい! わたしの好きな言葉です。ふふふふ」

そんなやりとりをしているうちに大船駅に着いた。巨大な観音様は黒光りしていて、なぜか両手を上げてガッツポーズしていた。駅まで迎えに来てくれた友人B (たまいけ)がひそひそ声で語る。

「あそこの住職、最近ガッツ石松になったらしいんだ」

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