見出し画像

動物性タンパク質と植物性タンパク質、あなたの健康と寿命にどのような影響を与えるか


はじめに

今回は、種類の異なるタンパク質が健康にどのような影響を与えるか見ていきます。その研究とは、「Association of Animal and Plant Protein Intake With All-Cause and Cause-Specific Mortality(動物性タンパク質と植物性タンパク質の摂取が全死因及び特定死因との関連)」という、Mingyang Song博士らによるものです。

この研究は、タンパク質の摂取源が私たちの健康と長寿にどのような影響を与えるかを調査したもので、それぞれのタンパク質の摂取が死亡リスクにどのように影響するかを詳しく分析しています。

論文の内容

この論文では、アメリカの看護師や医療関係者など131,342人を対象に、動物性タンパク質と植物性タンパク質の摂取が、全死因および特定の死因とどのように関連しているかを調査しています。この調査は、1980年から2012年までの間に行われた看護師の健康研究(NHS)と、1986年から2012年までの間に行われた医療職員のフォローアップ研究(HPFS)のデータを用いて行われました。

食事の内容はアメリカ人らしいですね。得られるエネルギーの中で、動物性タンパク質が占める割合の中央値は14%(5パーセンタイル-95パーセンタイル、9%-22%)、植物性タンパク質が占める割合の中央値は4%(5パーセンタイル-95パーセンタイル、2%-6%)でした。主な動物性タンパク質の源は、加工肉と未加工肉、鶏肉、乳製品、魚、卵で、植物性タンパク質の源はパン、シリアル、パスタ、ナッツ、豆、レギューム類でした。

研究結果からは、動物性タンパク質の摂取が全死亡率とは関連していない一方で、心血管疾患による死亡とは関連していることが示されました。具体的には、動物性タンパク質の摂取量がエネルギーの10%増加するごとに、心血管疾患による死亡の危険率(HR)が1.08倍に増加しました(95%信頼区間:1.01-1.16、P for trend = .04)。

一方で、植物性タンパク質の摂取は全死因死亡と心血管疾患による死亡の両方と関連していました。植物性タンパク質の摂取量がエネルギーの3%増加するごとに、全死因死亡の危険率(HR)が0.90倍(95%信頼区間:0.86-0.95、P for trend < .001)、心血管疾患による死亡の危険率(HR)が0.88倍に減少しました(95%信頼区間:0.80-0.97、P for trend = .007)。これらの関連性は、喫煙、過度のアルコール摂取、過体重または肥満、運動不足といった少なくとも1つの不健康なライフスタイル要因を持つ参加者に限定されていましたが、これらのリスク要因がない人々にはみられませんでした。

さらに、動物性タンパク質を植物性タンパク質に置き換えることが、死亡率を下げることと関連していることも示されました。具体的には、エネルギーの3%を加工赤肉から植物性タンパク質に置き換えると、全死因死亡の危険率(HR)が0.66倍に減少しました(95%信頼区間:0.59-0.75)。また、未加工赤肉から置き換えると0.88倍(95%信頼区間:0.84-0.92)、卵から置き換えると0.81倍に減少しました(95%信頼区間:0.75-0.88)。

以上の結果から、動物性タンパク質の摂取が心血管疾患による死亡と正の関連があり、植物性タンパク質の摂取が全死因死亡と心血管疾患による死亡との逆の関連があることが示されました。特に、少なくとも1つの不健康なライフスタイル要因を持つ人々の中では、動物性タンパク質を植物性タンパク質に置き換えることが死亡率を下げるという関連性が強く見られました。

これらの結果は、タンパク質の摂取源が健康と長寿に重要な影響を及ぼすことを示しており、健康的な食生活を送るためには、タンパク質の摂取源を意識した食事を心掛けることが大切であることを示唆しています。


感想

最も重要と感じる点は、ただ単にタンパク質を摂取するだけではなく、そのタンパク質の源が重要であるということです。特に、動物性タンパク質と植物性タンパク質の摂取による健康への影響の違いは、今後の食生活を考える上で非常に参考になりました。

研究結果では、動物性タンパク質の摂取が心血管疾患による死亡リスクを高める一方で、植物性タンパク質の摂取が全死因死亡リスクと心血管疾患による死亡リスクを低下させることが示されています。これは、動物性タンパク質が多く含まれる食品が、飽和脂肪酸やコレステロールなどの健康に悪影響を及ぼす成分を多く含む一方、植物性タンパク質が多く含まれる食品は、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの健康に良い成分を多く含むためだと考えられます。

この研究結果を受けて、食生活におけるタンパク質源のバランスを見直すことにしました。具体的には、肉や魚などの動物性タンパク質を摂取する量を少し減らし、その代わりに豆腐や豆類、全粒穀物などの植物性タンパク質を摂取する量を増やすように心掛けています。

また、この研究結果は、タンパク質の摂取源だけでなく、生活習慣全体が健康に大きな影響を及ぼすことを改めて教えてくれました。喫煙や過度のアルコール摂取、過体重や肥満、運動不足といった生活習慣のリスク要因がある人ほど、植物性タンパク質の摂取が健康に良い影響を及ぼし、動物性タンパク質の摂取が健康に悪影響を及ぼす傾向が強くなるという結果は、健康的な食生活だけでなく、生活習慣全体を見直す必要があると感じさせられますね。

この研究の結果を意識して、自己のタンパク質摂取と生活習慣全体のバランスを見直すとともに、植物性タンパク質をもっと美味しく、楽しく摂取できるレシピにも挑戦してみたいと思います。

健康的な食生活は、長期的な視点で考え、日々の積み重ねが重要です。このブログが、皆さんの健康的な食生活に対する一助となれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?