「懺悔」
私は罪を犯した。
私はいい年である。体もそれなりにあちこちとガタがきている。
肩こりに悩まされ、運動不足もあって、体力も落ちてきた。
視力がいいせいか、老眼も早い。
目がすぐに疲れてしまって、PCはもちろんのこと、読書やビデオ・TVの類も長時間は無理になってきた。
本当にトホホ…である。
この日記を書いたのはもうずいぶん前のことであるのに、すでにこのありさまであった。
でも!!
気だけは若いからついつい無理してしまう。
そしてついつい見栄をはってしまう。
かなり前から息子たちに私の年齢をごまかしてきた。
それこそ幼稚園時代くらいからだ。
何かにつけ
「お母さんの年は28歳よ」
という、大人気ないことを言っていた。
ほんのお遊びのつもりであった。
そのことについては以前の記事でもふれている。
でも心の底には、「若いお母さんでありたい」
「お友達のお母さんたちと比べて年上でごめんね」
という気持ちもあったかもしれない。
それに息子たちがまだ幼すぎてよくわかってない、というのもあった。
おかげで毎年、私の年齢は“28歳”だった。
それでも息子たちが単にオバカだからだろうか。
彼らは何の疑問も持っていなかった。
しかし、長男は大きくなるにつれてそんな年齢詐称を自然と見抜き、
あえて言わなくても私の本当の年齢を普通に知っていた。
それまでの詐称を責めるいうこともなく…。
ただ次男は違っていた!
小学校低学年の頃、さすがの次男も知恵がついてきたらしい。
年齢と言うものは毎年更新するものだということに遅ればせながら気づいたようで、
あるときから28歳に1歳足し始め、それから30歳、31歳と毎年更新を忘れなくなった。
その年も「お母さんは今年33歳だね」とすてきな笑顔で言うので、多少の罪悪感はあるものの
「そうだよん♪」
と応える私に横から茶々を入れてくる奴らがいた。
夫と長男である。
「おまえはバカか!?こんな年食ったのより、おまえの同級生のお母さんの方が年上なんて言ったら怒られるぞ!」
とけなし、あげくに
「だったらじいちゃんに聞いてみろ!お母さんの年を!!」
とまで言う始末。
前の年もやはりそんなことを言っては、次男に「目を覚ませ!よく考えろ!」
という風に助言してきた夫たち。
「うそだもん。おかあさん、若いのにね~」という次男に、横目でニヤニヤしている私の図…だったのだが。
さすがの、さすがの次男も夫のあまりの言及もあり、また私の年齢から長男の年齢を差し引くということにも気づいたらしく
「お母さん…って、まさか16歳くらいで結婚したわけじゃないよね?」
とついに言ってきた。
そうきたか!!
とうとうこの時が来てしまった。もうさすがにウソがつけない。
「次男くん。ついに君に秘密を明かす時がきてしまったようだね。
実はね…お母さんの本当の年齢は…○歳なんだよ」
と告白。
「え?…本当?」
「うん、本当」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
じわぁ~…っと、次男の眼が涙目に。
このときほど罪悪感を持ったことはなかった。
「ごめんね…」と神妙に謝った。
次男が
「だって、もうクラスじゅうが知っているのに。おかあさんの年齢。33歳って。
○○さんなんか、絶対家でお母さんに言ってる!」
「だ…大丈夫って!誰も信じちゃいないって!」
と苦し紛れの慰めに終始。
あちゃ~~。
あの涙には参った。次男、小学六年生の夏のことだった。
私の職場ではずっとこの問題が「次男くん、かわいい~~」とか
「まだ本当のこと、話してないの?」とか
よく話題になっていたのだ。
それにナンダカンダ言っても夫は、私の本当の年齢を明かすことはなかったので、この単純な次男のことを楽しんでいたのだと思う。
しかし職場のある一人の同僚がご家族にこのことを話したら、彼女のご主人が
「かわいそうなこと、するよな~。いかんよ。子どもにそんなことをしたら。お母さんのことは絶対!の子どもに対して…」
と非難されたそうで、確かに!確かにいけないことしてしまった。
すごく反省している私であった。
ま、当の本人は、あれから何事もなかったように過ごしてはいるが。
でもちょっとばかり私の信頼度が落ちたかもね。
いたいけな子どもに、たとえかわいいウソでも度を越さないようにしよう。
(自戒を込めて…)
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