「ぼくが鬼さんにあった日~次男の独り言」
きょうは、ようちえんでまめまきがあった。せんせいが、すこしまえから「もくようびはせつぶん、まめまきをしま~す。みんな、おにさんがきたら、まめをなげてわるいおにさんをおいだそうね」って、いってた。
そのときから、ぼくはと~っても≪ゆううつ≫なきもちになった。
だってさ、おにがくるんだよ!ようちえんに、ぼくのきょうしつに!こんなおそろしいことってないよ!
そりゃあ、まめまきのときにあたまからかぶる≪おめん≫もつくったさ。
ぼくひとりじゃない、ともだちみんなやせんせいといっしょっていうことはしってる。
それでも、こわいものはこわいんだよ!
まえのばんに「あした、もくようび?」っておかあさんにたずねると、「そうよ。せつぶんでまめまきがあるよ」っていったあと、ぼくのひょうじょうがくもったのにきづいたおかあさんは、
「なあに?もしかしておにさんがこわいの?」とすっかりおみとおしのようだった。
「やあねえ、まめをぶつけないと、おにさん、にげていかないよ。がんばってまめをなげなきゃ!」だって。
はっぱかけてるつもりだろうけど、そんなこといわれても、からだじゅうあかいいろで、つのはやした≪おに≫がくるんだよ!
「きっとたなかせんせいやたしろせんせいじゃないの?あれって」などと、きやすめをいったりする。
でも、まてよ・・・?あんがい、そうなのかもしれない!
ぼくは、けさになっておかあさんにねんのため、もいちどきいてみた。
「ねえ、おかあさん。≪おに≫ってさあ、なかにだれかはいってるの?」
「まだそんなこといってるの?がんばってまめをぶつけないと、おにさんでていかないよ。それとも、※※くんのうしろにかくれてなげたら?」
なあんて、ちょっとはぐらかされてしまった。
しかたない。かくごはきめた。けど・・・もし、ぼくのほうにきたら、どうしよう・・・。やだなあ・・・。
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さて、その日の午後である。
お帰りのバスも家の近くまできた。
バス停につき、昇降ドアがあいた。
「どうもお世話になりました~。おかえり~」
「あ、こんにちは。お母さん、〇〇くん、今日はもうかたまってましたよ~。ふふふ」
「はあ…、昨日からすっごく憂鬱そうでしたから。鬼が怖いといって」
「じゃあ、さようなら~」
手をつないで、家までの帰り道。
「やっぱり豆まきできなかった?」
「ちょっとは投げたけど、ステージの上に逃げてかたまってた…」
これは、もう大人になった次男の年長さん時、幼稚園で催される豆まきを事前からやたらと怖がる様子を見て、こんな感じに思っているんじゃないかな、と当時の次男の心の声を勝手ながら想像して日記を書いたものである。
(この年も、節分の日がたまたま木曜日だったという偶然に驚く。)
そんな次男のことをどこかおもしろがっている母親。
でも小心者の次男は、やはり私に似て怖がりのようだ…。
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