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「次男、舞台に立つ」①

我が息子たちが通った幼稚園は、音楽系の園で、年間に行われる音楽発表会は他の園よりも断然多い。日常的に先生方は、楽器演奏の指導を園児たちに行っていて、その成果を発表する機会も当然多くなる。

うちの子どもたちに、特別楽器が上手くなってほしいとかの希望があったわけではない。でも、みんなで協力してひとつのことを成し遂げる、というのを経験することは無駄じゃないよね。

そんな発表会だが、次男に関してはいろいろあったなと日記を読んであらためて思った。

まずは次男の年少さんの時のお誕生会。1学期中に4か月分の誕生月の園児が、そのお誕生会で歌と合奏を披露するものだ。

この日次男もステージに立つことになっていた。私は、心配はしても期待することは前もってなかった。

なぜならそれより前に行われた初めての発表会の時、次男に関してはさんざんだったからだ。

お遊戯も歌も、何もせずただ突っ立っているだけだったのだ。こっちはビデオカメラをまわしているのに少しも動かないのである。

後で本人に聞いたら、大勢の前に出るのが恥ずかしかったらしい。まあ、そういうことはあるよね。わかるよ。他にも動けずにいた園児はいるにはいたからね。

ゆえに、今回も同じかと半ば諦めてはいるものの、少しはがんばってくれと幼稚園に行く前にはっぱをかけていた。

しかしだ。さすがに慣れてきたのか、みんなといっしょに「めだかの兄妹」を歌い「虫の声」を木琴で弾いていた。なんとか頑張っているじゃないかと、ちょっと見直しやっと次男もこれで1人前かと感無量だった。

前回の発表会の時は、「このあと何回みんなの前にたてば、ちゃんとやれるようになるのだろう。」と情けない思いだったが、「少しは成長しているじゃないの。」と思わぬ成果にうるうると、小さなことでも感激してしまう。

やはり、子どもって親が考えているほどいつまでもただ小さいだけじゃないのね。心配せずとも立派にやっていけるのだ。そう再確認した感動的な日であった。

そして月日は過ぎ、年長さんでの最初の音楽会。次男たちも恒例の合奏をやった。2段ハーモニカと鍵盤ハーモニカとアコーディオン、マリンバ、ティンパニなどのけっこう難しい楽器を使っての演奏なのだ。

すでに何十年と繰り返されている園の慣習で、長男の時から何度も観てきたが、毎年、年長になってすぐの時期に、よくぞここまで演奏できるなあと感心してしまう。

曲目は民謡の「おてもやん」とベートーベンの「歓びの歌」。
「おてもやん」は演奏途中に合いの手を子どもたちが歌うのだ。「嫁入りしたこたあ、したばってん」とか「村役、とび役、肝いりどん」など。小さい子たちがやると、これがなかなかに可愛い。

「歓びの歌」はけっこう長くて難しく、後半ソ・ミ・ソ・ミ・ソ・ミ・・・♪と果てしなく続くのではないかと思うような音の連続を、ちゃんと頭の中で数えて、みんな正確に同じ音を出せるからすごい。

次男も曲ごとに、2段ハーモニカだったりアコーディオンだったり立ち位置の移動も大変だったが、はたしてちゃんと音を出していたかは疑問だ。こんな時は女の子たちの方が、ちゃんと演奏できている。(これは長男の頃から見てきているので確信できる)立派に演奏できていたのは彼女らのおかげ。のちに、本人たちがほとんど弾けなかったと白状した。

なんとか演奏の形になっていたので、とりあえずナイス。先生も、「これから最後の卒園発表会までずっと練習していきますのでだんだん上手くなっていくと思いますよ」とおっしゃってくれた。(ホントかよ~~)

ただ感じたことは、少子化のあおりで園のほうも園児数が年々少なくなってきており、演奏もそのせいか上の子どもたちのそれよりだんだん、音のバラつきが目立つようになってきているような気がした。こればかりは仕方のないことなのかもしれない。大勢の方が音の厚みはでるし、ごまかしも効くからね。ま、この小さな子らにしては頑張った・・・としておこう。つづく。

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