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「次男、舞台に立つ」③

まだまだあった、次男の晴れ舞台の様子。
年少時のクリスマス音楽会のことも残しておこう。

この園の発表会の出し物は長男の時から毎回同じだが、歌に演奏、レコード劇のパターンである。

1学期おわりの次男にとってはじめての音楽会は、惨憺たる結果だったので私としては、2学期のこの時もかなり不安。前回のお誕生会の出し物では、なんとかやってくれて涙ものだったが、はたして今回も同じようにうまくできるかなと、ハラハラしどうしだった。

彼はかなり恥ずかしがりやさんで、人から注目されるのが苦手。とにかく自分のことは、あまりかまわないでくれ、というようなところがあった。

先生から聞くところによると、今回の音楽会のことが決まったときから、練習もけっこう張り切っていたとのこと。「あら、珍しい。どういう心境の変化でしょうかねえ。」などと言いながら、心では「今度はがんばっているな。」とつい、期待もしよう。

しかし本番が近づいてきたある日、皆で練習中、ちょっとした間違いを先生から指摘されたそうなのだが、それだけでもう彼の中では「先生に怒られてしまった。」という大きな失敗としてショックを受け、動揺しているようだった。

音楽会の前日の夜、「明日は劇、がんばってね。」と言うと、「いやだ。」と言う。
ええ~っ、それはないよ、今さら。
「練習ではやけに張り切っていて、上手にやれている」って先生が言っていたから期待は大きくふくらんでいたのに。

当日朝、園に着いてからも、なんだか心もとない様子。そこで私は「今日は頑張ってやるよって、お母さんと約束してくれる?」と、ゆびきりげんまんして別れた。

結果は、他のお母さんたちも私も驚くようなまさかの熱演ぶり。
やればできるじゃないか。お約束を果たしてくれてうれしいよ。

すこしずつ、ゆっくり成長している我が子の姿をなんかじっくり見られた気がした。
家ではお着替えも手伝わないとだめだし、お箸も満足に持てない。

でも、次男の持っている時計のペースで前に進む彼を、もっともっとゆっくり見ていけるのだ。
急がなくても、いつかは大人になる。ひとつひとつ着実にやっていけばよいのだから…。

(本当にその後も、ゆっくりペースの次男。そして現在、いまだに親の心配は尽きず。)


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