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アマゾンプライムレビュー#3:奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ

2014年公開のフランス映画。原作は実話を基にしているそうです。

あらすじ:フランス郊外にある高校に通う落ちこぼれ生徒達。そこへ新たに担任になった女性がやってくる。生徒達はナチスのホロコーストについて学び、それをまとめて発表するコンテストに出場することになる。学びながら、自分達も成長を遂げる。といったところでしょうか。

この生徒達もそうなのだが、歴史を勉強する意味がわからないということは学生にはよくあることだと思う。私も高校くらいまではそう思っていた。

歴史は遠い過去の話で、私には関係ない。人はそう思いがちですよね。だから若い人には見て欲しいと思います。

映画の中でわかりづらかったところがあったので、これを理解する為に補足として少し解説しておきます。見てないとわからないし、見ててもわからなそうなので。

1時間22分のシーン。

「救えたかもしれない。子供たちだ。ドイツは16歳未満を不要とした。ラバルは最低な野郎だ。親が居る強制収容所に子供たちも送ってたんだ。しかも親は既に殺されていた。誰も何もしなかった。奴が子供と赤ん坊を殺した。救えたのに。」

突然、一人の生徒がドアを勢いよく開けて教師に向かって言ったセリフです。

当時のフランスもホロコーストに関わっていて、それを知った学生がそのことを教師に言い、怒りをぶつけるシーンなんですね。

まずラバルっていうのは、ホロコーストが起こっていたときにフランス政府(ヴィシー政権下)の首相だったピエール・ラヴァルのこと。

私はフランス人ではないし、フランスでラバルかどのような取り扱いを受けているのか、どのようなイメージがあるのかわからないのですが…

ラバルという人はナチスドイツに協力していたんですよね。この映画の中の生徒はそれを最初はあまり知らずにホロコーストのことを調べていくんです。

子供達がアウシュビッツに送られることになったことを調べていくうちにラバルに辿り着いたときの男子生徒のセリフなんです。

私もそうですが、ホロコーストはナチスドイツだけがしたと思いがちですよね。そうじゃないんですよね…

ここで監督が示したかったことは、多分、歴史というのは自分達とは無関係なことではなく、繋がっているんだ、と。自分自身が知ることによって、新たな視点が切り開かれる。それは素敵なことだけじゃないんだと。

子供が死ぬって、それ程辛く悲しく、あってはならない事だから。それは誰しもが知っていることだから。

自分達の国がそんなことに加担していて、それを止めようともしていなかったなんて!そんな感じなのかな。

解釈は間違っているのかあってるのかわからないけど、このセリフのラバルっていう人のことを知らないとこのシーンはわからないから、少し解説しました。

作中には、監督や原案脚本を書いた人が若い人に考えて欲しいと思っていることがしばしば登場します。

女生徒が宗教上の理由でスカーフを巻いているんですが、それを学校側は認めておらず、おかしいと訴えているシーンがあります。

女生徒が男子生徒に服装が派手で露出が多いことを咎められ、(これも宗教上の理由から)セクハラを受けるシーンがあります。

男子生徒同士で礼拝に行かなかったことや服装のこと、髭のとこなど、ネチネチ言われるシーンもあります。

見る人にはホロコースト以外にも今考えて欲しいといった監督からのメッセージなのでしょう。差別等の問題が提起されています。

皆さんも知っている通り、ユダヤ人に対する殺戮は人種差別、宗教差別であったことが認識されていますが、今現在、同じようなちいさな人種差別、宗教差別があります。

そして今なお、そのようなことが原因で戦争や紛争、内乱が起きていますよね。

今だったら、アメリカの黒人差別問題で、デモや暴動が起きたりしていますよね。

日本はそんなこととは無縁と思うなら、それ違うんじゃないでしょうか。日本にもありますよ、人種差別、宗教差別。あと、性差別。

日本はずっと韓国、北朝鮮、中国と隣ですから揉めてますよね。ロシアもですが。

コロナウィルスが武漢で最初にパンデミックになってからは、アジア人に対する目線は厳しいものがありましたよね。

それでなくても、昼間のワイドショーでは反韓反中のニュースが多いのに、こんなことになって、日本にいる在日の方はさぞ心を痛めたでしょうね。

政治的なあれこれは抜きにして、日本でも差別、偏見の類はたくさんあるんです。

人種差別でなくても、例えばLGBT等の問題は、日本ではなかなか話し合われませんよね。同性婚も認められていないし、トランスジェンダーについても、タレントさんは認められても、あくまでタレントとして。

同じクラスの、隣の家の、同じ職場にいる人間のセクシャリティについてはどうなんでしょうか。尊重されている社会なんでしょうか。

コロナで差別、偏見をしないようにというメッセージを政府からの広告等で見たことはありますよね。私は実際にそういったことを目の当たりにしことがなかったので、我が事として実感できずにいました。

そんなとき、私の知り合いで、小売業に従事している人が差別的発言を受けたといっていました。それを聞いてびっくりしました。以下だいたいの内容。

〇〇さんは〇〇で仕事してるから、伝染る可能性が高いでしょ? うちの子に感染したらどうしようかね。やめて欲しいわぁ、伝染さないで欲しいわぁ。

なんか普通の会話っぽいですけど、めっちゃ人を傷つける発言ですからね、それ!

感染リスクを下げる為には人との接触は控えたほうがよいけど…人に言うもんじゃないよね。

むしろこんな中で仕事をしなくてはならない心労を察してねぎらうべきなのに。

その発言をした側もされた側も私は知っているので、とても心が痛みました。

歴史は今を良くするための、見本です。過去を手本に、こういうことが今起こったらどうするべきか、考えて対処できますよね。

歴史は過去のことだけど、今に繋がっているし、今を理解するためには過去がわからないといけない。

ネットの関連サイトをまとめるだけじゃダメよ…あなたがたはどう思うの? ネットだけじゃダメよ。ネットから入ってもいいけど、もっと出来るはずよ。

だから私はこれからも向き合っていきたいです。

私も知らないことはたくさんあります。だからもっと知りたいし、理解したい。

歴史は学ぶものじゃないの、理解するものなの。

引用元:奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ









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