“お客さまは神様”マインドから脱け出す
先日、スーパーマーケットで買い物し、レジに並んでいたときのことです。
私の前の人が延々と支払いができなくて困っていました。
どうやらレジの機械の故障のよう。レジの担当者も困っているのですが、うんともすんともいかず。
私は次の順番なので、しばらく成り行きを見守っていましたが、そうこうしているうちにレジに長蛇の列が。
「日本だったら、他の店員さんが他のレジに誘導するよね。なんでそのまま並ばせちゃうんだろう」
と、待たされて少しイラつき始めた私はそんなことをつぶやきました。
すると、息子が
「ここは日本じゃないんだよ。しょうがないじゃん。学校のカフェテリアもしょっちゅうこんな感じ。ぼくはもう慣れてるから」
と、だいぶ大人なセリフを言い放ちました。
たしかに、並んでる人たち、とくにイラついても焦ってもいない…。子供に諭されて恥ずかしくなったと共に、いまだに日本のふつうを求めてしまう自分を反省しました。(ちなみに数分後に、無事レジの機械は復活し、会計できました)
客も評価されるということ
こんなこともありました。
こちらの移動ではGrabというライドシェアタイプのタクシーを利用することが多いのですが(UBERみたいなもの)、これは乗るたびにドライバーを星5つ満点で評価する仕組みで、特にトラブルがないときはそのままスルーしたりしていました。
そしてGrabでは乗客も評価されます。ある日、何気なく自分の評価をチェックしてみたらかなり低い!
予約をキャンセルしたり、ピックアップ場所を間違えたりするとぐっと評価が下がるらしく、一時期、交通事情が悪くて連続キャンセルしていたのが原因かな、と思いつつ、「態度が悪い」とか思われても評価は下がるので「知らぬ間に感じ悪い振る舞いをしたのかしら・・」わりと落ち込みました。
しかもこの評価で、配車の際の優先度が下がるなどのデメリットがあるらしく、可及的速やかに改善をしなければなりません。
それからしばらくはGRAB修行。どんなに待たされてもキャンセルせず、ドライバーにはにこやかに挨拶し、降りたら評価をフィードバック。どれが効き目があったのかわかりませんが、しばらくしたらぐんぐんと評価が上がっていきました。そうしたら心なしか、配車までの待ち時間も短い。これからはずっとこの姿勢を貫く所存です。
この相互評価システム、UBERもあるようで、世間的には一般的な制度のようです。
お金を払えば偉いってこと?
そもそも日本は客の立場が強すぎる。
カフェのスタッフの人に横柄な口の聞き方をしたり、コンビニでも自分の満足のいく対応をされないと悪態をついたり、それこそタクシーのドライバーに怒鳴り散らしたり。
もちろん、そこまでひどくない人が大半とはいえ、私のように
「お金を払ったんだから、それ相応の対応を期待するでしょ」
というマインドをうっすら持っている人は少なくないはず。
でもお金を払っている方が偉い、という意識は日本以外ではほぼ通用しないのですね。
お金を払っている方が偉い世界は、本当にかなりの額を払った時にその対価として享受できるもので、タクシーやカフェやコンビニ程度では、買わせていただく、乗らせていただく、くらいのマインドがちょうどいいのかも。
コスパの良さで陥るスパイラル
そしてこのマインド、日本の長年つづくデフレと賃金が上がらなかった背景にもある気がします。
金額の大小関わらず、高い品質やおもてなしを求める風潮と、それに応えようとする企業努力。だから、安くても良い品・サービスを得ることができるコスパのいい国。
それが日本の美徳、とも捉えられますが、このアンバランスな消費活動が経済的な成長を鈍くさせた気がしてなりません。
こちらでも、「春休みに日本に旅行に行く」という人がとても増えています。インバウンダーにとってコスパの良さは魅力の一つではあるけど、日本の人たちが健全に働ける環境を持続させることが何より大切なはず。
そろそろ「お客さまは神様」マインドを、払う側・提供する側ともに払拭することが必要な気がします。
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