見出し画像

草薬庵 nature flow のはじまり

こんにちは。
草薬庵 nature flow 店主の工藤です。

ここでは、これまで薬剤師として医療機関等で勤めてきた私が、なぜこの小さな薬店を作るに至ったか、そしてどのような想いで立ち上げたかを書かせていただきます。


調剤薬局でのお仕事時代・・・

私の薬剤師人生の大半は、調剤薬局で過ごしています。
大学時代から、知り合いの伝手で調剤薬局でバイトをさせていただいたのが薬剤師としての仕事の最初の一歩だったと思います。

調剤薬局は、医師の処方箋に基づいて監査・調剤・投薬(お薬をお渡しすること)がメインのお仕事です。

薬剤師の仕事で一般的に一番重要とされているのは「監査」。処方箋上にミスがないかをチェックし、疑問点や不審点があれば医師に確認等行う、もちろん重要なお仕事の一つです。

ですが、実際に何よりもエネルギーや知識・知恵を費やすのは「投薬」と言われる、患者様と直接やりとりをして薬をお渡しする仕事だと私は思っています。

実際に、監査で処方箋上におかしなことがなくても、患者様とお話をしたり、顔色など総合的なご様子を拝見するうちに「ん?」と疑問を感じて医師に確認すると全く違う薬が処方されていた(処方箋作成時の操作・入力ミス、勘違い等で)というケースも少なくはありません。

私が薬剤師として勤務している間にも機械化は一気に進み、処方上のおかしなチェックはある程度ですが機械が知らせてくれるようにもなりました。

だからこそ、薬剤師の職能の本質とも言える

患者様が薬を飲むことに対する疑問や不信感をなるべく解除すること、表面上の言葉だけでなく些細なことも見過ごさずに観察していくことに全力を・・・・

とはいっても、それはそれで実は本当に難しいです。

どんどん積み上げられていく投薬・監査待ちのトレー。
満席になり、ソワソワし出す待合室。
「急がなきゃ・・・」ドキドキし出す私の鼓動。

「薬くれればそれでいいから!」
「薬飲んでるから大丈夫です」

そう言われてしまうと何のためにここに居るのかわからなくて、息が出来なくなりそうな気持ちになりますが、ただ・・それ以上に

おそらく、この方が本当に求めているのは「薬」ではない。

という確信でした。

この時期を思い出すと、休みの日は講習会やセミナー参加で学びが多くあったものの、日々心の疲れだけが溜まって「充実感」とは程遠い感覚でした。

よし、自分の薬局を建てよう!

「だって・・・」「でも」「○○でなかったら・・・」

大好きなお酒を飲みながら愚痴が出るようになった自分が嫌でした。
おそらくストレスからくるであろう症状も様々現れて、

色々ともう・・・限界でした。

それなら、兼ねてから頭の片隅にあった自分の薬局を建てよう!
そう思いついたのが起業の道への始まりです。

当初、「薬のない薬局」を作りたい!と、起業関連のセミナーを様々受講して自分のビジョンや願いなどを確認。

かといって、じゃあ何を売るの?何をするの?は未定のまま・・・

薬膳の資格を取得するのに関東の学校に通ったり、カフェや木工房で働いたり、断食施設を巡ったり・・・

目まぐるしい日々で、明日はどうするという状況で不安はありましたが、これこそ「生きてる!」と感じる充実感と共に倒れるように眠っていました。

そうこうしている間に結婚、出産、田舎(私の地元)へ移住。

その後は木工業を経営している主人の雑貨販売ショップを好きにやらせてもらうようになりました。どうせ置くなら、(万一売れなくても)自分も子供たちも安心して使えるもの又は使ってるもの、自然を想って作られた商品・・・

私自身の生活においては、精油もハーブも欠かせないものでした。

ある日、ふと思いついて精油の持つ特徴を、これまで学んできた東洋医学の思想に当てはめてみたら、これまた奥が深く・・・

好奇心がメラメラ燃え上がった状態で、子供達が寝静まった夜中にひっそりと起きてきては、ひたすら考えを書き続けるということを1年以上繰り返していました。

今の心や身体の状態にあった香水を作ってみよう!と主人や知り合い、友人などにお試しさせてもらいながら、どの方法が一番良いのか探っていきました。

全く初見のお客様の香り作りも行うようになり、新聞で「薬剤師が香りを調合」と記事を載せていただいたことがきっかけで、様々な不調の相談を受けているうちに以前やろうと思っていた想いが再燃します。

出来る?出来ない・・・でも、やりたい。

当時、子供達は午前保育。
移住して4年が経とうとしていましたが、まだまだ安定しない日々。

主人は「やってみたら?」と軽く言うものの、リスクが大きく見えてストップをかける自分の方がやはり強かったです。

でも、精油での香りを作るカウンセリング予約が急遽同日に2件続けて入った日がありました。その日のカウンセリングの内容は、どちらもお話を伺っているこちらの心にも肉体にもズンっとした重さを感じるほど苦しいもので・・・

精油ももちろん力にはなれるけど、ここまで不調が大きくなってしまっているなら、この方に合う漢方薬がこの場にあれば・・・

そして、初めて会う私にこんなにも深い部分をお話ししてくださる方に、私のこれまでの経験を生かして、もっと出来ることがあるのなら・・・

やりたい。
頑張ってみたい。
求めてくださる方がいるなら誠心誠意それにお応えしたい。

それまであった不安は、気がついたらとっても小さくなっていました。
5年前から思うことがあるたび書き続けていた開業ノートをもう一度開き、いざ開業の道へと臨むのでした・・・



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?