シンプルライフは欲望の化身

シンプルライフ。

おしゃれな暮らしぶりの代名詞。

齡四十。未だにシンプルライフで欲望を昇華させている。

記憶を辿れば発端は学生だった頃にはじまる。1980年代雑誌オリーブで提唱されていた暮らしがことの発端だった。

ラベンダー、リネン、かご。

田舎暮らしの小娘はおしゃれワードに胸をワクワク踊らされた。しかし、それらを手に入れようとすると、色々と現実の厳しさを知ることとなった。

おじいさんの趣味で立派に育った松の存在感が圧倒的な庭にラベンダーは見当たらず。リネンという麻はないか?と尋ねれば、枯れ葉が入った麻袋が出てくる。かごにおいては竹製和風テイスト満載だった。

大人になったらシンプルライフで暮らす女になる!決めた。

あれから30年が過ぎ、大人になってた今。シンプルな暮らしはしているもののまだまだ物足りなさを感じている。

大人のシンプルライフには上質、品性がなければならない。どちらかが欠けると貧乏くささが目立ち、老いを増長させる。

断捨離ブームでモノを持たない暮らしが脚光を浴びたが、シンプルライフは持たない暮らしとは同義語とは言い切れない。気に入ったモノに囲まれて美しく暮らすのがシンプルライフ。そのためには経済力も必要。思考が追い付かず、欲を捨てた僧侶のように持たない暮らしは、俗世では生き難い。

シンプルライフにまとわりつく欲望。

若く、美しく、知性溢れる女性でいたい。シンプルライフには欲望がまとわりついている。

欲望とは、俗世を生きるための最高のエネルギー。

欲を塵として棄てることがシンプルライフではない。己の欲望に気づき昇華させるのがシンプルライフなのだ。


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