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全国大学生俳句合宿2023
9月17日(日)から9月18日(月)にかけて湯宿温泉で行われた、全国大学生俳句合宿2023に参加してきました! 全国の大学から集まった20人強の参加者の方々と俳句を書いては読んだ2日間は、とっても楽しかったです。
【簡易報告・大学生俳句合宿2023】
— 大橋弘典 (@opashipironori) September 18, 2023
俳句合宿@群馬・湯宿温泉 無事終えてきました!
まずは開催できて、そして充実度MAXの合宿になって良かったです!
書きたいことは無限にあるので、ここでは写真を四枚ピックアップ!
後日参加者(僕含め)各自がいろいろな媒体に感想アップしてくれます! pic.twitter.com/Atc0OOupfQ
せっかく参加させていただいたので、幹事をしてくださった方々への感謝の念もこめて、合宿の感想を書いておこうと思います。
なお、今回の合宿で行われた句会に投句された句は、すべて既発表として取り扱うことになりました。この記事で句会提出句を引用する場合は、この合意に基づいていることを付記しておきます。
多行俳句について
1日目、宿に到着するとすぐに第一句会でした。この句会の題は、講師として参加して下さった林桂氏の評論集『俳句・彼方への現在』の指定箇所を読んで句を作る、というもの。指定箇所に高柳重信を論じた章が入っていたため、一行で書く句に加えて、多行俳句も歓迎するという触れ込みでした。私はこれまで一行の俳句と多行俳句が入り混じる句会に参加したことがなかったためどうなることかと思っていたのですが、実際の句会では多行で書くことの良し悪しがフラットに議論されていて、どこか新鮮に感じました。
多行俳句について、林桂氏は自著で以下のように言及しています。
前句(筆者注:杭のごとくに/墓/たちならび/打ちこまれ)は一九五五年の砂川基地闘争に取材したものであり、後句(筆者注:軍鼓鳴り/荒涼と/秋の/痣となる)は一九五〇年の朝鮮戦争がベースにあるという。(中略)個人と時代がホットな関係を持ち、政治的な前衛と芸術的な前衛がクロスし、学生運動が社会的前線に位置した時代の刻印を、高柳重信作品も濃厚に持っていたのだという指摘は、今後高柳の初期多行作品を読む上で、思慮されなければならない問題であろう。
「個人と時代がホットな関係を持ち、政治的な前衛と芸術的な前衛がクロス」するというのは、いわは創作と思想が表裏一体になり、互いに補い合うような状況を指すのでしょう。多行俳句をはじめとするいわゆる前衛俳句がこのような文脈を持っていたとすると、現在において句の文体はどのような思想のあらわれになることができるのか、あるいはなることができないのか、などと私はいろいろと考えてしまいます。
しかし、第一句会では、そのような思想は抜きに、句を書くときにあり得る表記方法の1つとして多行俳句をとらえていたような気がします。その姿勢は、俳句を楽しむということと繋がっている気がして、なんだか嬉しかったです。
俳句の力について
2日目の午前中は、午後の第二句会に向けた吟行でした。地元の方に案内していただいて散策したのですが、案内してくださった方の中に短歌をされる方がいて、短歌にまつわる話をしてくださいました。曰く、その方の知り合いのお母さまが認知症になってしまい、一時は子供のことも分からないようになってしまっていたけれど、その方と短歌の話をしているうちにだんだん回復してきたとのこと。科学的なメカニズムは自分には分かりませんが、創作にはそのような、創作者を癒す力があるのかもしれません。
ある句が好きか嫌いか、あるいは優れているか月並みか、といった読者側からの評価軸とは別に、作者が句を書くことに感じている切実さを見過ごしてはいけないように思います。それは得てしてすこぶる私的で、作品の表面には表れてこないかもしれないけれど、一方で俳句の豊かさを下支えしているのはそういった書き手の思いであるような気もする。いずれにせよ、ある作品の成否にこだわることと同時に、書き手の私的な領域の存在も忘れずにいたいと思わされる吟行でした。
おまけ
お風呂のお湯がおそろしく熱く、みんなで叫びながら入りました。宿の方には申し訳なかったです。
1日目の夜は参加者全員で即吟句会。途中からは半ば大喜利大会のようでした。
2日目の昼ご飯で食べた鯰のから揚げがめちゃめちゃ美味しかったです。川魚って淡白な味でいいですね。
2日目朝の箸袋に書いてあったのですが、群馬県のマスコットキャラクターである「ぐんまちゃん」の誕生日は2月22日らしい。馬なのに猫の日生まれなんですね。
吟行はたくみの里から初越のこみちを回りました。風が気持ちよく、草花も咲き乱れていて、気持ちの良い時間でした。
第二句会投句一覧に〈対岸の窓割りにけり爽やかに/関灯之介〉とあり笑ってしまいました。爽やかとか言ってる場合なんでしょうか……。
コロナ禍にオンライン句会をご一緒した方や俳句甲子園つながりの方、各種SNSでつながっていた方ともお話しできました。
講師の林先生や宿の方、地元の方々はじめ、協力してくださった方々のご厚意がありがたかったです。
最後になりますが、幹事を担当してくださった北大俳句会「えぞりす」の大橋さん・関西俳句会「ふらここ」の日向さん・慶應義塾大学俳句研究会の東郷さんと参加者の方々には、たいへんお世話になりました。また機会があればお会いしたいです! ありがとうございました!
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