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逆噴射小説大賞2020・自分の作品の解説とか反省とか

 初めての方は初めまして、ご存知の方はお久しぶりです。仲津優希と申します。「よーぐると」とも名乗っております。
 今回『逆噴射小説大賞』に参加させていただきました。
 このエントリはライナーノーツというか自作の解説というか自己反省会というか、だいたいそんな内容です。

なぜ今年は参加することにしたのか?

 5月にnoteのアカウントを作ったのはいいもののそれきり放置状態になり、これでは自分が書いて遺したくなったものも遺せない…変わることが出来ない…と悶々とした時に偶然今年の逆噴射小説大賞の開催のお知らせを目にしたため(存在はかねてより承知していました)、書き物のきっかけとして参加しようと考えた次第です。

 目的の第一段階として「自分の脳内の堆積物を形にしてアウトプットする」ことがあり、そのために1人あたりの投稿枠5本分(の冒頭部分)を期間中にひねり出すことを命題としました。

自作についての解説とか反省

 上記通り、基本的に今まで自分の頭の中で考えていた、あるいは書き出そうとしていたお話のアウトプットになります。
 改めて並べてみるとそれぞれの話のタイトル奇をてらってフックが少ないような気がします。
 説明は「初挑戦の奴がそんなこと考えてたんだな」的な感じで見て頂ければ幸いです。

① 白薔薇園の呪われし氏族(Eduard in curced familiar)

 1本目。深い森林の中にたたずむ孤児院として使われる白薔薇の生垣に囲まれた屋敷、その秘密を知りそこから脱出しようとするエデュアルド少年のお話。
 イメージのインスパイア元としては大昔に見た映画『エコール』があると思います。年端もいかぬ少女達が森の中の屋敷に集められて共同生活をしながらズルズルしたりなんかなったりする耽美的な映画ですね。(期待とは違ってあんま面白くなかった記憶がある)
 最近の近似している作品だと「○束のネバー○ンド」とかでしょうか。

 これは5月ごろからコロナの自粛期間中になにか自分の頭の中に漂っている物語の断片的なものを小説の形でアウトプットしようとして、書き出して3ヶ月くらいで筆が止まっているものの冒頭部分になります。元々noteにもこれを連載と言う形で投げて行こうと考えていたので、数か月越しで想定通りの形として(?)世に出ました。
 現状書き出されている物としては25000字くらいになります。全体でだいたい7万字くらいになるかなぁ、と考えていました。
 …今までまともに小説なんて書いたことがないのにいきなり徒手空拳でそんな長さのものを書こうとするの、改めて無謀だと思いました。(案の定途中で詰まった)
 投稿された部分までで元々は1400字くらいあったはずなので、レギュレーションに合わせた形で結構圧縮しています。

 この冒頭部分はお話の中盤に相当する場面を先行して見せている箇所になります。
 お話の流れとしては主人公のエデュアルドが父親を殺し…ではなくて家族を喪った後資産家の『ヒュスカーク家』に迎えられ、自分と似た様な境遇の少年少女が数十人集う白薔薇の屋敷に入ります。
 ですが屋敷に集う少年少女たちは誰しも『呪い』と称される特殊な能力を持っており、その為に一度屋敷に入った者は外に出られない、出ようとすると白薔薇に囚われて死に至る制約を課せられることをエデュアルドは知ってしまいます。そこから屋敷の地下で更なる秘密を知ったことで、タイミングを見て脱走を決行する…というところまでで、投稿された場面となります。
 もう一人の登場人物のアリアナは屋敷のハウスキーパーかつ、入園者たちの生活を補助しつつ監視する管理者の総代です。主人公にとって直接的な障害となるポジションですね。
 この場面の後想定している流れでは、エデュアルドはアリアナにボコボコにされて一度は脱走失敗、屋敷の地下の保護室(と言う名前の独房じみたところ)に叩き込まれます。そこまでの話はまだ書けてませんが。


② 超次元時空遡行員『スピードレイカー』Mk-6の最期

 2本目。これはタイムトラベルと言うか、異世界トラベル物と言うか、そんな感じのSFヒーローアクションものを想定した作品。
 主人公の彦次郎(ひこじろう)が偶然超次元時空遡行員『スピードレイカー』と次元犯罪者の戦いに巻き込まれ結果的に彼自身もスピードレイカーの一員として戦わざるを得なくなる、と言うのが基本設定で、短話形式でいろんな異次元・異世界や時代での彦次郎の戦いを描くと言うのを想定していました。
 一方で話の縦軸として想定していたのが彦次郎が本来自分がいたはずの世界に帰ることを目的とし、その為にスピードレイカーの使命を利用して手がかりとなる情報を探るというものであり、起点としてどの場面から始めたらいいのか?と考えた結果出力されたのが投稿された「転移と戦いを続けて自分の目的意識を喪失し一人黄昏る姿」になりました。

 お決まりに近い設定開示となる前段部と、後半のそれに準じて憔悴しきった彦次郎の姿のコントラストを意識したのですが、改めて見返すと800字内のストーリーの展開としてはほとんど動きが無い形になっている気がします。ここは自分の中での要反省点です。

 この作品はこちらの記事で紹介して頂きました。ありがとうございます。
 「彦次郎」も「宮子」も明治~大正時代あたりの人間を想定した名前になります。

③ スケイルズ・レポート ‐可能性の波濤‐(Reports of "SCALES")

 3本目。とある国の島の研究施設で開発されていた魚人型生体兵器『スケイルズ』を巡るお話。関係者それぞれの聴取記録によって、この冒頭部分で示唆された生体兵器『スケイルズ』の誕生と叛逆の真相を探る、という形式になります。

 イメージのインスパイア元として頭にあったのは数年前にやった「ゴジラ」のアニメ映画のノベライズ版の「怪獣黙示録」「プロジェクト・メカゴジラ」ですね。怪獣が出現した世界での人々の体験記を綴ったレポート、という形式の小説でした。
 各人の記録を章ごとに1人称形式で連ねていくのを想定していた(5、6章前後?)のですが、単純に尋問にたいしてべらべら証言しているシーンにするのもあんまり…?と思ったので、本文中で出てくる記憶を調べる「双方向記憶走査投影機」をガジェットとして、主人公に相当する『私』が対象者の記憶を無理やり回想「させていく」形式のお話になるかと考えています。自分でこれはこれでかなり難しいと思います。

 付いているタグが「4本目」になっているのですが、この後説明する『Cosmic gates in the sky(青空への門)』と並行して執筆していました。(着手したのはこっちが後)
 ですが前2作を投稿した後他の方々の投稿作品を目にした自分の中で

((パルプとは…?ロウブロウとは…?自分が求めるパルプ的なものとは…ここでなにを成そうとしているのだ…?生命とは…?))

という疑念が渦を巻き始め、かなりSFというかジュブナイルというかそんな雰囲気の強い『Cosmic gates~』よりもいわゆるパルプ的な胡乱さが強いのでは…?という考えからこちらを先に投げる格好になりました。タグは本文中に書いていたのをコピペしてつけたのですが直し忘れ、結局そのままでした。(4本目までは投げるんだし同じだろうという判断)

 自分としては割と自信を持って投げたのですが、かえってスカしたか、思ったように伝わってなかったかなという感触です。あと見返した点ではやはり2本目と同様に800字内で話そのものがほとんど動いていないのではないか、というのもあります。これも要反省点でしょう。

④ Cosmic gates in the sky(青空への門)

 4本目(先述の理由で「3本目」のタグが付いてる)。
 この本文中の視点キャラである『チュニカ』がいるのは巨大な世代宇宙船(播種船)の中であり、最後に出てきた青い髪の少年『シンジ』(※本文中では名前は出てません)は宇宙船の中枢システムと連動して地球の情報や出発からの記録を蓄積・伝承するための人造人間で、話の狂言回しになるキャラです。
 数百光年先の植民惑星を目指して旅立った世代宇宙船の中で、シンジが目覚めるたびに目にした宇宙船内での世代の移り変わりを描くお話になります(3~4章程度?)。投稿した部分ですでに5、6世代(1世代を30年とする)は経過して倫理や価値観も変動しているものと仮定しています。
 3本目であまり話自体の動きが無い、と感じたのでこちらでは視点キャラのチュニカを軸とし説明を最小限、話の流れを意識して構成したのですが、投稿された部分ではチュニカ・シンジ・読者の間で認識のズレが3重になっている状態で話が進む(最初に書いた時点ではシンジははっきり「フネ」「宇宙船」と言っていましたが推敲で削りました)ため、雰囲気でなぞっていく格好になってかなり解りづらい形になったなぁ、と考えています。

 各世代間のお話はまだほとんど考えていない(多分内容的にも描写的にも断絶した形になる)のですがオチ自体は一応考えてあります。そこにたどり着ければ御の字かな、と思っています。じき続きを形にしたいです。
 なおチュニカはこの冒頭部分に相当する章以降は出て来ません。彼女の子孫とか先祖とかは出てくるはずだと思います。


⑤ 君が望んだ私の幻影(Images with the light-colored shade)

 5本目。望まずして裏社会に身を置き、そして足抜けする格好になった女性『京華(キョウカ)』が、偶然にも高校時代の友人の一人『アカネ』(※本文中では名前は出てません)に再会し彼女の家で一緒に暮らし始めるも次第に違和感を覚え…と言う感じのお話。
 完全版の最終的なジャンルとしては百合…ということでいいのでしょうか?他の方も指摘されていましたが今回は百合めいた作品が多く見受けられましたね。正直その流れに乗ろうとしたスケベ心はあります。冒頭ではまだ匂わせる段階までしか話が進んでいませんが。

 5作目は先ほどの((パルプとは…?))という疑念が続いた状態で手を付け始め、最初はもっとパルプ的な形で書いた方がいいのでは…という考えから京華と本文中に出てくる彼女の『師匠』をメインにして話を進めようとしたのですが、状況を動かす際の転換部分で詰まってしまい(適当な展開が思い浮かばなかった)、結局本来の考えにそって冒頭部分を形にしました。

 …本当はこれは少しずつ表現とかを練って3週目の期間に投稿しようと考えていたのですが、日付と日数を読み間違ってうっかり2週目の期間で投稿していました。後の祭りです。

 これについては現在続き(完全版)を書き進めており、だいたい8000時くらいのお話になる見込みです。最初に着手したのは見積もりでこれが一番短い分量で纏められると推量したためです。
 なお完全版では諸事情で主人公の名前を『京子(キョウコ)』に変更しています。

(番外) リモートワーク・サンタ

 「よし、少しうっかりしたが当初の目論見通り5本分投稿できたな…ここからは他の参加者の作品を見ながら創作意欲を高めていくことが肝要だろう…」などと考えていたのですが、twitterのタイムラインを眺めていると偶然目にしたニュースがありました。

 「まぁサンタクロースこそ夢と希望を与える存在だからクリスマスを中止するなんて言いだしたりはしないよな…」と軽く納得して流したのですが、

((もし仮にサンタクロースがクリスマスを中止せざるを得ない事態となったら?そもそもサンタクロースはどうやって、どうしてそりを飛ばしてプレゼントを届けているのだ?))

という考えが浮かびました。

 浮かんだ考えは頭の中に煮凝りとして沈んで残り、最終日に続々と作品が投稿されてくる様子を見て再び浮かび上がってきました。

((サンタクロースとは夢と希望に連なる奇跡の伝承者であり、クリスマスを中止せざるを得ない事態となったらサンタのお勤めを完遂するために何某かの人知を超えた奇跡の力を行使するのでは…??))

 変質して浮かび上がってきた考えを処理するために、他の作品を読むこともそこそこに土曜のBSの映画やTOKYO MXのアニメを観ながらほとんど勢いだけで出力したものがこの『リモートワーク・サンタ』になります。

 上記の通り5本目の『君が望んだ~』を3週目の期間にタイミングを計りつつ投げる想定があったのですが、その間にこのニュースを見て『リモート~』のアイデアが頭に浮かんできた場合、おそらくこちらを一旦まとめた後で冒頭を800字フォーマットに狩りこんで5本目として投げていたと思われます。そういう意味ではこいつは番外のボツ作扱いと言えましょうか。言います。(800字でだいたいサンタ長老が大サンタのもとへの同道を促すあたりまでまとめられる)

未来…

 とりあえず現状としては5本目『君が望んだ~』の完全版を完成させることを直近の目標としています。見込みとしては11月上旬中でしょうか。
 その後は3本目の『スケイルズ・レポート』か4本目の『Cosmic gates~』のどちらかを一旦連作として形にしたいと考えています。1作目の『呪われし氏族』も一番スキがついたのでちゃんとまとめるか考えますね…
 来年度の催しがあった際には参加するかどうかはまだ不明ですが創作を続けていれば参加したいところです。その場合は今回の反省を生かせる形にしたいですね。

 この後に他の方の作品で気になったものを幾つか挙げる項を入れたかったのですが、ここまでで長くなったので別エントリで投稿したいと思います。

【今回はここで終わりです】