はりぼて感想

映画「はりぼて」は、富山市の政治の不正を描いたドキュメンタリー映画。小さな地方TV局のチューリップテレビが制作している。
おもしろかった。
どこかの誰かも言っていたけど、壮大なコントのようだったからというのがまず一つ。政治家が不正な金の使い込みをした、、、正直、通常笑えないし、市民としては怒らなければいけない。
もちろん、怒りと何かしらの使命感がなければこのように忖度なしの作品は作れないに違いない。
ただ、「もう大丈夫」「信じてください」と自信満々にカメラに宣言した人たちの不正が次々と発覚していく様は、笑わずにはいられない。
フリとオチのついている編集。どこか滑稽な音楽。やや悪意のあるカメラ。
たしかに、どこかの頭の良い人も言っていたけど、政治家にキャラクターやコメディアン的な要素があるのはたしかだと思う。それは揶揄しているわけではなく、あれだけ堂々とキャッチコピーのように政策や約束をされたら、どんなにそれが立派な話でもきっと前振りになってしまうのだ。
もちろん、それが守られればなによりだし、地味で堅実な政策を掲げる人もいるのだと思う。
そして、ツッコミはマスコミであり市民だ。
ただ、ツッコミであるはずのマスコミも最近はツッコミの役割を担いきれていなくなっているのではないだろうか?ウソ、大袈裟、紛らわしい。そして忖度。そんな報道や番組も取り糺されるようになって久しい。
そんなテレビなどのマスの役割についてもきっと考えられた作品に違いないと思った。なぜなら、この作品内でチューリップテレビの取材記者は「大丈夫!?」と思うくらいガンガンいく。
そして、時たまカメラは不正を犯した政治家と、取材記者を一緒に引いて撮るシーンがある。真ん中にはマイク(記者が政治家に向けている)。
そう、漫才だ。
最後には、この壮大なコントであり漫才の出演者として、記者たちのシーンがある。彼らの裏の葛藤や苦労を思わせる。

本当におもしろいコントや漫才は本気の人でないと生まれないと思っている。
不正を犯した人たちを擁護する気は全くないけど、この映画に映っている人たちは、全員本気だと思った。
だからこそ、最後まで目が離せなかった。

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