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4.意欲的になっていった

11月、ぴぃはすっかり学校には行かなくなっていた。

行きたいのに行けない自分を責めて過ごしているように感じた。

行かなくてもお家でできることはある。

この時の私は、ゲームやYouTubeに制限をかけ、

家の中でも体を動かせる習慣をつけたり、

学校に行けないことで失っていく自信を必死に繋ぎ止めようとしていた。


症状が落ち着き始めた11月の下旬頃、オンラインの習い事を始めた。

絵を描いたり、物を作ったりするのが好きなぴぃに向いてるのではと友達に勧められた。

興味をひかれた一番の理由は、

学校に行ってない時間にできるってこと。


『こども色彩知育』

子供の創造力、分析力、プレゼン力を育むというもの。

色彩に基づいて、与えられた教材を使って、〇〇を作ろう。

ってだけのこと。

そこに正解はなくて、こうしなきゃいけないとかもない。

やり直しもなければ、宿題もない。

ただ、自分が感じたままを、表現してくれればいい。

そこに対して、先生が言葉がけをしてくれる。

そこは赤く塗ったんだね

いっぱい青で塗ったね

黄色がテンテンテンってついてるのは何?

濃い色で喜びを表現したんだね

お気に入りのポイントはどこ?

色をきっかけにして、見たままの、本人が表現したままをなぞる言葉がけ。

これがまさに、子供を認めるというそのものに紐づいていて、

認められた本人は、作品を作ってる間も、作り終えた後も誇らしげ。

とにかく、活き活きとしていくのがわかった。


年が明けて、少しづつエネルギーを貯め始めたぴぃは、

色彩知育の展覧会で、久しぶりに人前で自分の作品を発表する。

学校でのぴぃは元々、よく発表したり、リーダー役を担って人前に立つことを率先してやるような子で。

そんなぴぃらしいところを、久しぶりに見た感動は今も焼き付いてる。

この辺りからどんどん意欲的になっていったぴぃ。

このころは毎日毎時間、逆立ちか側転をしていた。

嫌がるかなと思ったけど、試しに体操教室を勧めてみたら、思った以上に興味を持った。

そして、体験を経て体操教室に入会した。

体を動かすのが好きなぴぃ、広いマットで思い切り体を動かした。

学校に行っていない時間に、少し離れた公園に散歩に行ったり、

わざわざ、学校の校舎裏を通ってジュースを買いに行ったり。

この、みんなが学校に行っている時間に外に出るってことが、

その一歩が大きな大きな喜びと自信になった。

友達に誘われて、週に一回1時間、塾にも通い出した。

5年生からは学校に行きたいんだ

と、そのための準備をしているかのようだった。


そして、コロナがやってくる。


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