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12歳おめでとう。君の毎日も幸せでありますように。

今日、ぴぃは12歳の誕生日を迎えた。

昨日の夜は、サプライズでお祝いしてくれたCちゃんの誕生日が来月だから、明日はプレゼントを買いに行きたいと言っていた。

「おいおい、自分の誕生日だよ」と思いながらも、ぴぃが誰かのために何かを買いたいと言ったのは、たぶん初めてだったから、なんだか嬉しかった。

今までは、お誕生日プレゼントをあげた子はいるけど、私発信だったことが多いし、そもそも友達であっても誕生日というものに興味がないようだった。

今回、初めてお友達にサプライズをしてもらったことが、とても嬉しかったぴぃは、そのお返しがしたいという衝動に駆られたんだという。

Cちゃんの誕生日はまだ先だけど、はやる気持ちを抑えきれない、早く買いたいと意欲満々だった。

朝から2人で街に繰り出し、気に入ったものが見つかるまで、ショッピングモールを3件、ファンシーショップや雑貨屋を何十店舗もはしごした。

私はもともとショッピングは大好きで、買わずにブラブラすることも好きだった。

いっぽう今までのぴぃは、一緒に行っても、付き合わされてる感丸出しで、すぐに疲れて帰りたがる流れ。

それが今日は、あそこへ行こう、あそこも行ってみよう、あそこに無かったらあそこに戻ればいいと、Cちゃんへのプレゼントのことで頭がいっぱいのようだった。

結局、予算1000円だからと、2箇所で500円ずつ買った。

ぴぃの誕生日ってことも忘れないでねと、私の母から預かったプレゼント資金を手に、安めの雑貨屋さんで爆買いもした。

私は、ぴぃのお付き合いだったけど、ショッピングモールを2人ではしごするなんて夢のようで、「楽しいな〜嬉しいな〜幸せだな〜」と終始声を出さずにはいられなかった。

ぴぃはその都度「楽しいのはこれからだよ〜」と言い、まだまだ楽しむつもりでいた。

おしゃべりをしながら歩いている時も、「ママ、産んでくれてありがとうね。」「ぴぃ、生まれてきてくれてありがとうね」と何度も言い合って笑った。

ぴぃの大好きなチョコレートケーキを買い、ぴぃの大好きなばくだん丼をテイクアウトし、夜は家族でしっぽりパーティーを始めようという時、ぴぃが言った。

「ママ、これから楽しいことがはじまるね!!」

するとパパが不在ボックスに荷物があると言って、取りに行った。

戻ってきたパパが持っていたのは、クラスの子がポストに入れにきてくれたらしいかわいいペンとお手紙、義父母が買ってくれたゲームソフト、私がネット注文した日用品と、謎の大きな箱。

私が注文したもの以外は全部ぴぃのものだと思うと、この子は本当に幸せ者だと噛み締めた。

するとパパが大きな謎の箱を私に渡す。

なんで私がと思いながら開けてみると、中から出てきたのは、私が五十肩で寝苦しいからとつい最近欲しがった抱き枕だった。

「ママ、母の日、何もあげてなかったから、パパに頼んで2人で買ったよ。今日ずっと、楽しみはこれからだよ、って言ってたのは、これの伏線だったんだよ。」

とぴぃは言って、お手紙も一緒にくれた。

ママへ
いつもありがとう!
ひさしぶりだけど、てがみを書きます。
ママにはかんしゃしていることがたくさんあります。
ぴぃはこのびょうきをなおして、たくさんかぞくとあそびたいです。
そのためにがんばろうと思います。
そして、はやくママのかたがなおるといいね。
おたがいがんばろうね!!
これはパパとぴぃからのプレゼントだよ!
(かんじとかもじとかへただけどがんばったよ!)
                         ぴぃより

もう、2行目あたりから涙涙で読めなかった。

ぴぃが強迫症を発症してからの2年、それまで毎年何かをもらえていた母の日はなかったことのようにすぎた。

期待しない、欲張らない、そんな年頃になっただけ。そう思って諦めていた。

読もうとすればするほど嗚咽が出て、満足そうにしている2人に笑われるほどだった。

ぴぃは、自分の誕生日に、自分以外の人に喜んでもらうことしか考えていなかった。

そういやショッピングの途中、ご自由にどうぞの短冊に、「家族が毎日幸せでありますように」と書いたぴぃ。

今日一日中ぴぃとおしゃべりしてて、本当に優しい子だな、素敵な12歳になったなと思ったことがたくさんあった。

心から、生まれてきてくれてありがとうと思ったし、この子は絶対に幸せになる、幸せにならなければならないと強く思った。

12歳なのに、相変わらずひらがなばかりの字。頑張って思い出して書いたらしい「書」と「思」。

それらも含めて愛しさ半端ない。

私が持ち歩いているあの悲痛な手紙は大切にしまって、今日からこの手紙を持ち歩こう。

ぴぃ、12歳、本当におめでとう。大好きだよ。

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