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2.児童精神科につながるまで

強迫性障害は薬による治療と認知行動療法がある。

僅か9歳の子に、薬による治療が考え付かなかった。

この時点ではまだちゃんと病気を理解できていなかった。

子供の強迫性障害の研究と、認知行動療法を行っている大学の研究室を見つけて予約をした。

ぴぃの症状は悪化の一途で、私自身も精神が崩壊していく、

情けない事に、ぴぃよりも先に精神科を受診する。

薬の力を借りてでも私は立ってなきゃいけないと必死だった。

6月上旬、親だけ別室にて面談を行う。

その間ぴぃは、女性の学生さんがお相手をしてくれていた。

古くて傷だらけのおもちゃで不安そうに遊んでいた。

その日から2回ほど面談には行ったけど、

行動療法に介入する前に、ぴぃの限界は来てしまう。

家でも、何かにふれ強迫観念にとらわれ続け、

パニックを起こし、家を飛び出し、もう嫌だとマンションの階段を駆け上がる。

あの時、必死に追いかけたけど、どうしようとしたのかは分からない。

分かりたくない。

ただ、もう絶望しかなかった。

自分が菌だらけだと思い込み、不安で怖いと泣き叫ぶぴぃを抱きしめてやることもできなくなっていた。

楽しくて、明るくて、やさしいぴぃが別人のように見えた。

すぐに研究室へ連絡すると、医療機関での薬による治療をすすめられた。

児童精神科はすぐに予約が取れなかったので、取り急ぎ普通の精神科にかかる。

表情のない精神科医が、不安で震える9歳のぴぃに、難しい話を淡々としている。

ここには認知行動療法を行ってはいないとのことで、

すぐさま県内の児童精神科を検討する。

なぜかわからないけど、児童精神科の予約は簡単ではない。

県内に数ヵ所あるが、そのどこもが、

予約受付電話の日時が特定されていること

その日が1ヶ月に一回や3ヶ月に一回しかないこと

各所から電話が集中するのでつながらない場合もあること

予約できても初診に1〜3カ月かかること

今すぐにでも助けてほしい、ただその思いのまま、

7月上旬の予約受付日まで待ち、県内の某総合病院の児童精神科に電話をかける。

ここの病院ではまず、

受付担当の方につながるまで何度でも電話する。

そこにつながることができたら、今度は児童精神科の科長につないでもらう。

科長とタイミングが合わなければ、たとえ受付につながっても一旦切られてしまう。

これを親の手を借りて大人4人がかりで何度も繰り返した。

受付で切られそうなになった時に、パパがもう一度だけと食い下がってくれたおかげでなんとかつながった。

初診予約は8月の中旬・・・1ヶ月半も先・・・

正直、そこまで私たち家族が持ち堪えられるか自信がなかった。

ところが、最初の病院で処方された薬が効いてきたのか、

学校が夏休みにはいって、不登校の罪悪感から逃れたのか、

いったん背負っていたストレスから解放されたように、

ぴぃの症状は少しずつ落ち着いていく。

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