社会のゾンビにならないために

今回は、「仮固定」と「アップデート」のついて書きたいと思う。「仮固定」という概念は現代の小説家、哲学者として知られる千葉雅也氏の「勉強の哲学 来るべきバカのために」から引用したものである。個人的意見としては「仮固定」とはカントの「仮象」の概念から取ったものであると思う。千葉雅也氏は同書の冒頭で「アイロニー」と「ユーモア」のついても述べていて、非常に面白いので読んでみてほしい。
 本題の「仮固定」について。「仮固定」とは自身の価値観を仮で固定しておくというものだ。今自分が持っている価値観は常に変わるものでなくてはならない。自分の持っている意見、ものの見方、行動原理は常に仮のものであるということが意識されなくてはいけない。(この考えも「仮固定」されたものであるので、一時間後に変わる可能性もあるし、明日さらに変わる可能性もある)
当たり前のことを言っていると思った人も多いであろう。しかし実践するとなるとかなり難しいものである。現在私は大学の授業でダイバーシティ経営に関することを学ぶ授業をとっていて、日本の有名企業の役員の方や、中小企業の社長の講義を受けている。ダイバーシティ経営とは、その名の通り社会的な待遇としての男女格差や障がい者の雇用、外国人労働者や性的マイノリティの従業員への取り組みを指すことが多いのだが、老年の方のほうがこういった会社内の改革に否定的な意見を示す傾向があると伺った。それはなぜか?
「仮固定」と「アップデート」の意識が足りてないからではないか?
このような観点からも「仮固定」するための知識を得るためのツールとして読書は有効であるように思う。いま、多くの人間がスマホやパソコンを活用している。しかし30年後、50年後これらのツールはまだ使われているだろうか?「スマホのほうが良かった。」、「今の若い人間は…。」と言わないように自分にとって新しい価値観を吟味したうえで「仮固定」と「アップデート」を意識的に行っていきたい。

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