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ドイツ・グラモフォン創立125周年 Special Gala Concert(2023.9.5)

サントリーホールで9月5日に開催されたグラモフォンの125周年ガラコンサートは、セイジオザワフェスティバルのBプログラムそのままのプログラムで開催されました。
松本に続き抽選で販売されましたが、一次ではあえなく落選。二次では同行者が何とか当ててくれて、サイトウキネンオーケストラの新たな一面を実際に目にすることができました。
今思い出すと、小澤征爾さんが出演する120周年も抽選に漏れて涙を飲んだのでした。小澤さんのコンサートを逃したのは、かなり久しぶりで、ずいぶん悔しい思いをしました。
今回のコンサートは、小澤征爾さんとの長年の友情と再会のため、映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ御年91歳がサイトウキネンを振るという、とんでもないイベントです。この数年世界的オケとの共演(ウィーンフィル、ベルリンフィル、ミラノスカラ座)を続けていますが、そこに日本のサイトウキネンが並び立ち、さらにボストンポップス以来30年ぶりとなる来日ということで、日本のクラシック音楽のイベントとしてもなかなかに大きなものになったと思います。

この看板も人気のフォトスポットになっていました

もちろん私もジョン・ウィリアムズ世代ですから、インディ・ジョーンズをはじめとするスピルバーグ作品の素晴らしい音楽も、そして最も好きなロサンゼルスオリンピックのファンファーレなど、何度となく聞いて楽しんできたクチですが、特に小澤征爾さんのドキュメンタリーなどにも折に触れて登場するので、「小澤征爾の盟友」の一人としてもテレビでよく目にしていました。そんな「伝説の」ご本人と直接同じ空間を過ごせるとは、夢のような体験でした。

【前半】 指揮:ステファン・ドゥネーヴ
雅の鐘 / Sound the Bells!
Tributes (for Seiji)
『遥かなる大地へ』組曲(映画『遥かなる大地へ』から)
『E.T.』交響組曲(映画『E.T.』から) 
  遥か300万光年の彼方から
  スターゲイザー
  フライング・テーマ

【後半】 指揮:ジョン・ウィリアムズ
スーパーマン・マーチ(映画『スーパー・マン』から)
映画『ハリー・ポッター』より
  ヘドウィグのテーマ
  不死鳥フォークス
  ハリーの不思議な世界
シンドラーのリストのテーマ
映画『スター・ウォーズ』より
  レベリオン・イズ・リボーン
  王女レイアのテーマ
  王座の間とエンドタイトル

アンコール
映画『スター・ウォーズ』より  ヨーダのテーマ
インディ・ジョーンズより レイダースマーチ
映画『スター・ウォーズ』より  帝国のマーチ

当たった席は今まで自分では買ったことのないど真ん中

まずはサイトウキネンオーケストラの面々を暖かく熱烈な拍手が包みます。そして松本以来10日ぶりのステファンが颯爽と登場し、今上天皇のご成婚を祝って作られた雅の鐘を演奏。華やかなファンファーレが鳴り響きました。
マイクを持って日本へのあいさつがあり、続いて小澤征爾とボストン交響楽団にささげられた「For Seiji」を演奏。管弦楽のための協奏曲といった感じの、あちこちからソロが聞こえてくる純音楽的な作品。終わった後ステファンは、楽譜の表紙の「For Seiji」という文字を観客に見せて、小澤さんへの敬意を表していました。
続いてまたステファンからE.T.についての思いが語られました。主人公エリオットとステファンは同じ年だったということで、とても思い入れがあるようです。その前の遥かなる大地へのアイリッシュな雰囲気についても話があり、曲が始まりました。
「遥かなる大地へ」という映画は見たことがなかったので、事前に見ておきました。雄大な風景と、アイルランド、アメリカの開拓時代の雰囲気があふれる、とても良い映画でした。その中から10分ほどの組曲ですが、リズミカルで雄大で、とても良い曲でした。
「E.T.」は何も言うことはありません。フライングテーマが流れた時には、やはり涙ぐんでしまいました。吉野直子さんのハープが神・・・。

前半を終えて、待望の巨匠がステージにゆっくりとした足取りで現れます。それはそうです。91歳ですもの。コンサート翌日に急に行くことになった伯父が、まさに91歳で天寿を全うしたことを考えると、感慨深いところがありました。
ゆっくりと指揮台に進む間に、会場はスタンディングオベーションとなりました。サントリーホールが演奏前に総立ちになるというのは、初めての体験でした。
曲の前にGood evening!と話し始めたジョン。東京に30年ぶりに来られてうれしいこと、そしてスーパーマンの日本語訳は小澤征爾だとの冗談を話し会場を沸かせました。
輝かしいスーパーマンでがっちりと引き寄せられました。サイトウキネンオーケストラの音って、こういうこともできるのかっていう感じです。
もちろんかつてのコアメンバーの世代交代も進み、田中直子さんや店村真澄さんなど片手で足りるくらいで、あとは世界や日本の名だたる奏者たちという感じではありますが、やっぱりスピリットはサイトウキネンです。
ハリーポッターで一気に雰囲気が変わり、サイトウキネンの柔らかい音が響きます。
シンドラーのリストは豊嶋さんのソロ。7月にエルサレムに行ったばかりだったこともあり、シンドラーのリストもその前に見返したりしていました。音楽を聴きながら、いろいろな場面がよみがえり、ウルっとなるのを抑えられませんでした。
最後はスターウォーズ。実はサントラを持っているにもかかわらず、映画を一度も見たことがありません。この曲は単純に楽曲として聞きなじんでいるのです。若いころのジョンの指揮による演奏とは、いくつか店舗や揺らし方が変わっていたのが印象的でした。映画のサントラではない音楽としての描き方なのだろうと推察します。
観衆総立ちの中プログラムは終了。カーテンコールを何度もすることはなく、すぐにアンコールへと入ります。観客席に「ヨーダ」との声。スターウォーズからヨーダのテーマです。ジャック・ズーンのフルートが冴えわたりました。
今度は「インディアナ・ジョーンズ」と声をかけ、観衆は沸き立ちます。レイダースマーチです。これまた、7月に行ったペトラ遺跡のイメージを頭に浮かべながら、馬で走り回っているような気持になりながら、心臓バクバクで聞きました。
最後の最後、マイクを持って暗い声で「ダースベイダ~」と宣うレジェンド。またまた歓声が上がり、あの名曲のリズムが刻まれると、さらに歓声が起きました。
めいっぱい指揮をしていただいて、21:20終演となりました。いつものおねんねポーズをして舞台に下がる巨匠。拍手は鳴りやまず、オーケストラが2度も舞台に呼び戻されました。巨匠は現れませんでしたが、皆さんの興奮が伝わったというか、ホール全体の興奮を浴びるようにして帰ってきました。

とんでもないコンサートに参加できたことは一生の宝物の一つになりそうです。

一生物のコンサートだからか、着飾った人が多かった開演前

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