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95. 鼻血が出た!どうする?

ミュージカル好き救急医の独白 vol.95
- The Monologue of a Musical-Loving Emergency Physician -

はじめに

みなさん, 鼻血が出たことがあるでしょうか. 一度は経験ありますよね. 鼻血が出た際, どのようにして止めていますか?ティッシュを鼻に詰め込んで?上を向いて?首をトントンして?色々な都市伝説的な止め方もありますが, 止め方はいたってシンプルです. 今回はその辺りのお話を.


救急外来あるある

80歳男性(BOさん)が, 鼻血が止まらないため救急外来を受診しました.
来院時, 鼻にティッシュを詰め, 下の写真の様に鼻の根本を抑えています.

Dr.S:「今日はどうされたのですか?」
Pt.BO:「鼻血が止まらなくて…」
Dr.S:「どのように止めていましたか?」
Pt.BO:「とりあえずティッシュ詰めて, 押さえていたのですがなかなか…」
Dr.S:「何か飲んでいる薬はありますか?」
Pt.BO:「あ, これですね(薬手帳). 」
Dr.S:「なるほど…」

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鼻血の好発部位

鼻血が出る位置は決まっています. キーゼルバッハ(Kiesselbach)部位と言われる, 鼻の穴からすぐの部分からの出血が圧倒的に多いのです. 後ろの方からでることもあるのですが, 稀なのです. この事実を知っていれば, 押さえる位置はわかりますよね?

鼻血の止め方

鼻血に関わらず, 血が出てしまった場合の止め方の基本は, 「出ているところを圧迫する」ことです. 頭をぶつけて血が出た, 指を切ってしまって血がでた, このような場合には出ているところをピンポイントでぐっと押さえれば大抵の場合は止まります.
鼻血の場合には, 鼻の前方から出ていることが多いため, BOさんの様な押さえ方では圧迫できていないのです. 正しい止め方は, 鼻翼(鼻の先端)をぐっと押さえ, 下を向くことです.

焦ってはいけない

鼻血が止まらない理由は主に2つです. 1つ目は前述した圧迫部位の誤りですが, もう一つは圧迫時間の不足です. ティッシュを詰め圧迫したとしても, すぐに止まるわけではありません. 明確な基準はありませんが, まずは15分程度は圧迫を続けましょう. 数分で止まったか否かを判断しようと圧迫を解除してしまい, 再度出血してしまうことはよくあります. まずはぐっと押さえてこらえましょう.
また, 時々鼻をかむように息を鼻から吐き出してしまうと, その勢いで再び出血してしまうことがあります. 圧迫して, ぐっとこらえ, 下を向きながら安静にしておきましょう.
ワルファリンやバイアスピリンなど, いわゆるサラサラ薬を飲んでいる方では, 飲んでいない方に比べて血は止まりづらいですが, 圧迫時間を延ばせば大抵は止まります.
これでも止まらなければ病院へ行くことをお勧めします.

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