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木造新築における防音設計のアプローチ

木造新築住宅の生活防音や音楽防音室(ピアノ室、楽器練習室など)の計画に際して、最も重要なのは「最適な建物構造と間取り」を決めることです。
そのためには、適切な建築業者と音響・防音設計の専門家を見つける必要があります。
本稿は、「新築業者の選択」と「防音設計の専門家探し」について、設計マニュアルには記載されていない留意点によってアプローチします。

あくまでも、私個人の約38年間の経験を踏まえた話なので、参考程度にしてください。複数の専門家・専門業者の情報を勘案してご判断ください。

木造新築業者選択の留意点

建築業者選びで重要なのは、木造軸組在来工法の実績が豊富であること、施主の要望を真摯に受け留めて誠実に対応してくれることであり、前提条件として考えて良いと思います。
これを満足する新築業者を見つけることが出来れば目標の約8割が約束されると言っても過言ではないでしょう。

また、能書きや自慢話・誇大広告が多い、組織が細分化されている会社ほど、時間と経費を浪費する傾向があり、要注意です。

良い会社には、誠実で有能な人材が多く、建築会社にとって「人材は宝」です。腕の良い職人は一朝一夕では育たないので、現場の職人を重視する会社は信頼できます。現場担当の建築士と職人が連携していることも大事です。現場の中間チェックに建築士が殆ど来ないで丸投げするような業者はダメです。

私の既往の事例では、新築業者の下請け業者に丸投げされている現場で、何回も施工ミスを発見しています。私の提携先が担当する現場では、現場担当の建築士が複数回チェックに行きますので、今まで施工ミスは一度もありませんでした。

木造防音設計の専門家探し

専門家探しの重要事項は、私の「まちづくり・建築計画及び研究活動」約38年間の経験(独立開業後の約20年間の防音設計業務を含む)、現場経験を勘案すると、次のように考えられます。
*電話とメールによるレスポンスの中身(電話で概要を即答できないのは専門家ではない)。
*ホームサイトに方法論や担当した実例が記述されていること。
*担当者のブログ投稿記事は、本人の実力や考え方などを判断する重要な材料になる。

また、防音設計以前に、木造住宅・木造音楽室など建物の安全性や快適性をどのように考えているかは、技術者として重要な資質・レベルを示すものであり、見逃せないコンテンツです。
専門バカに陥ると、遮音設計の簡易的な計算式を万能な技術として誤認し、相乗効果や音響の快適性など重要な要素を見落とすリスクが大きくなります。視野の狭い専門家は応用が効かず、フレキシブルな計画変更や軌道修正能力が低くなります。
木材の性質を軽視する専門家は、木造の防音設計者として不適格です。

以上の留意点を参考にしていただければ幸いです。

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