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情報と人材は宝(防音工事)

ウェブサイトなどのプラットフォーム構築・運営やRPGなどクラウド型の娯楽では、最新情報がとても重要であり、それを出来る限り反映させることがユーザーやメーカーの生命線になることが多いです。
私の本業のリアルの事業運営や設計でも「情報と人材は宝」という事を、約40年の建築・都市計画業務の中で痛感してきました。

中でも、木造の防音工事は「防音設計と現場建築士・職人の技術が噛み合わないとうまく行かない」という事実は、東京など首都圏だけでなく地方の現場でも共通の重要事項です。
建築士や職人など人材、防音設計担当者の技術・情報のどちらが欠けても成立しない世界です。

情報力は人材のネットワークで決まる

マンションの防音設計に限定しても、入門書は沢山出版されていますが、実際に現場の設計及び施工を担当した専門業者が出版した専門書は殆どありません。机上の設計理論と現場の防音効果が乖離するという事例が多いのは、このような背景がありそうです。

私の防音相談にお出でになるユーザー(施主・相談者)は、ネットで検索したり専門書を探しても、実例が殆ど出てこないと言います。実例は、複数の専門業者(防音材メーカーを含む)や建築業者のネットワークの中に存在する内部情報が多く、表に出てきません。

このため、人脈や取引先との関係で内部情報をいかにして集めることが出来るかが問題です。お互いの信頼がなければ、企業秘密に近い情報を入手することは出来ません。自分の保有する実例に関する情報と交換するような方法でないと、引き出すことが出来ないのです。
特にマンションの防音事例は、最新の工法にも対応できるような設計仕様を含んでいないと使えません。これが木造防音とは異なる点です。

防音設計・工事は温故知新

一方、昔の伝統技術が継承されないと木造そのものが成立しませんし、まして防音工事という比較的特殊な分野は、新しい技術と伝統的工法がマッチしないと、うまく行かないのです。
このため、「情報と人材」を軽視する専門業者には対応できない分野だと、私は断言します。

木造の防音設計・防音工事については、伝統的な工法と最新技術のミックス型と言えるかもしれません。
なので、ベテランの防音設計技術者でも、新しい知識は必要です。取引先の防音材の最新状況を把握する必要があります。

技術の歴史的変遷を踏まえながら、工法の変遷を追いかけることによって新しい技術が生まれることもあります。

防音工事は「専門情報(担当者の防音設計理論・経験値)」と「現場の担当者である人材」の両方が揃って初めて成立するものだと、私は考えています。課題は後継者の育成と技術の継承です。私を含めて高齢化していく中で、その代限りで消えていく特殊な技術もあります。
流石に頭の中身を第三者に継承することは不可能であり、この分野の特殊性を考えると難しい課題なのかなと思います。

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