業界のコンパクト防音設計
コンパクトな防音設計技術は防音職人が開発したものではありませんが、住宅及び木造防音室における「コンパクトな防音設計」は、私が開発した独自の設計仕様です。
歴史的に見ると薄型のコンパクト防音仕様は、車業界が先に開発しました。
防音職人は、これに機械工学と土木業界のメーカーが開発した防音材を組合せて、担当現場において、提携先に音響透過損失の精密測定を自腹で依頼して計測した結果を踏まえて、独自の仕様・施工要領を確立しました。
なので、主力の防音材メーカーは、建築業界とは別の業界で開発された製品をベースに建築用に製品化したものを受注生産で納品しています。
*ただし、最近は量販品を大手のホームセンターや代理店で一部販売しています。
私自身は経済力がなかったので、契約先のメーカーに試験データなどの資料を提供していただき、あるメーカーの担当者に個人的に試作品の試験データなど内部資料も内緒でいただきました・笑。
すでに、その担当者は独立開業されたり、退職されていますので、その資料は私だけが保有して活用しています。
車業界のコンパクト防音設計
車業界の製品は自動車の遮音設計が課題でしたが、車体の軽量化と社内の静音化という2つの技術的な課題をクリアするため、遮音材は薄いスチール、吸音・制振材は高密度フェルトと軟質ウレタン素材を使用しています。
現在、取引先のメーカーが製品化して販売している受注生産品は、「高密度フェルト」と「軟質ウレタン」です。これに土木業界が開発したアスファルト基材の遮音材を組合せています。
建築業界では、大半が専門メーカーの受注生産品です。
また、従来型の遮音ゴム製品は経年劣化が弱点だったため、現在の遮音材は大半が樹脂(塩ビ含む)を使用した「遮音ゴムマット」という総称で生産されています。
*厚さ3ミリから4ミリの遮音材が生産されていますが、音響透過損失は右肩上がりの性能を示しており、空気音に関しては弱点がありません。
建築業界のコンパクト防音設計
建築業界におけるコンパクト防音設計の主な用途は「マンションと木造建物」です。
通常の住宅や木造音楽室は、大半が小規模であり、天井・壁・床の構造体を比較的薄い構造で構築する必要があり、生活防音や音楽防音室の設計も「薄いコンパクト仕様」が必要でした。
防音職人は、この「コンパクト防音設計」の開発に約10年かかりました。
多くの依頼者(施主)のご協力で防音効果を検証させていただき、担当現場の測定や依頼者の体感報告を分析して、設計仕様と施工要領を作りました。
その検証作業プロセスの中で、使用する防音材も厳選して、現在の取引先3社に絞り込みました。
吸音材に関しては、市販品の中から選定して費用対効果の高いものを指定しています。
*ただし、施主のシックハウスやアレルギー対策としてクリアした吸音材は市販品の中には存在しなかったので、取引先メーカーの製品から2つ選びました。化学物質揮発検査においても、空気中の揮発が検出されていない安全な製品です。
この2つの製品は、車業界が開発した製品をベースにして加工したものです。
なお、販売開始当初は、類似の既製品のほうが、防音材の単価としては安かったのですが、建築資材や市販の防音材が値上がり続けて、受注生産品よりも大幅に値上げされたため、現在では受注製品のほうが単価が安くなっています。※ただし、受注製品のほうが準備に時間がかかるため、余裕を持って予約する必要があります。原則として契約現場にしか納品できません。
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