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PA人生 スタート

仕事を辞めてからしばらく2ヶ月程経った。
すっかり体調も戻った私は、ある日友人と飲みに出かけてた。

私たちはまだ入ったことの無い楽しげなお店を見つけては覗いて、開拓していくのが好きだった。

そんな中、広めで懐かしい洋楽のご機嫌な音楽が流れているアメリカンBARを見つけたので、カウンターで飲んでいた。
その頃によく流行っていた落花生がアテで出てきて、剥いた殻を足元に落としていき、床は殻でザックザクに積もっているスタイルのお店だった。

何気なく友人とお話していたのだが、友人の背後の壁のチラシが私の目に入った。

PA 募集中!!
初心者 歓迎。

なに、これ。
このタイミングで遭遇する!?

一度就職に挫折した私は、もう新卒でもなんでもないし就職に拘らなくても、好きな仕事を見つけたらいいと思っていた矢先だった。

これ、まだ募集しているんだろうか。
カウンターのバーテンさんに確認する。
すぐ様、担当の人に繋いでくれた。
面談の日を決めた。

トイレから戻ってきた友人に、面談の日を決めたことを伝えると、え?今の間に!?早い!とビックリしていた。

悩む理由がなかった。
初心者歓迎のPA募集なんて、早々無いだろうと分かっているからだ。
ましてや、こんな素敵なBARで働けるかもなんて願ったり叶ったりだ。

そうして、私は後日、このお店の近くの喫茶店で担当の人と面談するのであった。

確認されたことはこれだけだった。

○時給の支払いになるよ。1時間800円ね。
-はい。

○今の状況は?
-他でアルバイトしています。
でも、こちらの仕事が決まればこのお店中心に変更させてもらいます。

○夜中まで開いてるお店だけど、大丈夫?
-始発まで時間潰します。何とかします。

○音楽が好きなの?音が好きなの?
-音が好きです!!

はい、採用! 即、決まった。
この短い面談中の担当の方が言った

「住んでいる場所とかも才能のひとつだと思うよ。」

と言う言葉がすごく残っていた。

こうして、私のPAという仕事がスタートしたのであった。

20歳の頃だった。

次回、PA人生スタート 後半に

つづく。

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