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やさしい観察眼と透明感

最近、連続して原田マハさんの著作を読んでいる。
何をキッカケで彼女を知ったのか、もう憶えていないのだけど
最初に読んだのは『本日は、お日柄もよく』だった。この1冊から完全に「マハ沼」一直線😳


これまでの私は
「面白い文章」を書く、男性の本ばかり読んでいて
、、、その「面白さ」というのは内容を指していたり、文体を指していたりマチマチだけれど。
はじめて、女性の著作にハマっている気がする。

マハさん自身がとんでもない才女で
知性ある、自立した女性として風を切って颯爽と歩いてきた、というようなイメージの方だから
作中には必ず、しっかりもので芯の通った、もしくは奔放で何ものにもとらわれずに人を愛する女性が登場している。

それは誰もが気付く「特色」なのだけど

私はこの方の綴ることばの、透明感というかニュートラル具合というか
自身の知性をひけらかさない、「ウマい事言ってやろう」感ゼロで
それでいて丁寧でさり気なく、物事の真髄を手短に描写する文体をすっかり好きになってしまった。

この方のもうひとつの肩書きは美術品のキュレーター。
既に没している美術家の遺した作品から
その意図を
自分の主観抜きできちんと受け取って
その想いを他者に伝えていこうとする仕事に携わっていたからこその
この静かな客観性がとても清々しくて

1冊、扉を開いてしまうと
移動中も、仕事の休憩中も読み耽ってしまうのです。

いま、読み進めていてもうすぐ読破しそうなのが「生きるぼくら」。

もう、表紙からして東山魁夷氏の絵じゃないですか。笑
もちろんこの絵は、描かれた風景は
作中、とても大切なキーになっていて
機能不全家族と問題を抱えた子どもの内情、彼らの成長と自立、日本の農村の実情、老人介護など
社会問題と呼ばれる諸々の事に
鮮やかに、ではなく
やさしく、斬り込みながらも
丁寧な描写でそれらが紡がれて
美しい物語が編み上げられていくのが本当に素敵。
どういう結末に向かうのかドキドキしています。
どうしよう。明日読み終わっちゃう。笑

「女性の強さとは」みたいな主題に惹かれる方には
こちらを紹介しておきますね。

最近わたしの身の回りにいる女性たちには
みんなに買って配りたいくらいの気持ちです。
リンク先のあらすじを見ていただいて「ビビッとくるもの」がある人は
ぜひお手に取ってみてください。

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