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名作

最近フト思い至った。

わたしは、母の「よく出来た作品だな」と

今のように情報が簡単に手に入らなかったし
有益な情報というのが 向こうからやってくる時代でもなかったのに

初産で出来たわたしを
絶壁アタマにならないようにと必死に
コロコロ転がして頭蓋骨の形を完璧に整え

虫歯にならないようにとキチンと考えて
口移しや自分の使ったスプーンを使って食べさせたりしないようにし

太ったりジャンクフード好きに育たないように
安易に市販のお菓子やケーキ類を与えないようにし

巷に溢れる「下品な」情報に毒されないよう
また、食事を摂ることを疎かにしないようにと
見せるテレビの番組や時間帯を制限して

確かに私は彼女自身が持つコンプレックスや
彼女の幼少期に施されたものが生んだ結果と、
わたしの育つ環境に新たに生まれた「毒」をみて
その「回避」を試みたテストケースだった。
彼女はわたしの「育ちかた」を完全にコントロールしていたと思う

おかげさまで、わたしは
失敗の許されない、一人っ子として
ある程度 その努力が実を結んだカタチで大きくなった

制限の多い環境は
思春期のわたしをトコトン不自由にし
時間に自由を与えられなかったわたしは
放課後にクラスメイトたちと連れ立って遊びに行くこともなくまっすぐ帰り
中高6年間の楽しかった思い出が本当に、無い。
伴って、ティーンエイジの思い出を共有できる友達も、殆どいない。

本当に恨みつらみが多かったし
蓄積したソレを爆発させたその方法は
とても自滅的で
意図的に破壊力をもって親子関係の呪縛を崩そうとしたものだった。

その時に彼女は「私の育て方が間違っていたのかしら」と零し

ムスメが自分の意思でいろんなことを決断する40過ぎになっても
いまだに時々口にする
まぁそれは事実そうなんだけど
そうじゃない部分ももちろん多分に、有る

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家庭環境というものには色々な形があって
本当に大変な思いをしながら大人になった友人たちの生い立ちを知るにつけ

わたしはきっと恵まれていたのだし
そこは感謝せねばならない部分なのだなと思う

一方で自分も歳を重ねて
同年代や、もっと歳下の友人たちが
「ヒトの親」になって その責任と重圧に
日々悩み、苦しんでいる姿も視界に入るようになってきた

みんな自分の「理想」をこどもに託す
もしくは
思い通りにはならないけれど
刻々と「育って」いくこどもへの接し方に惑う

ただ餌を取ってきて 与えて
命をただ、キープするだけで
いつかは巣立っていくまでの「最低限のお役目」を果たすだけ、では済まない
ニンゲン特有の義務感に

どんな親も心を砕いたのだと思う
というか、思いたい

これを読んだあなたが
自分に命を与えた親といういきもののした事に
どんな感情をもっているかは「それぞれ」だと思う

けれどソレナリの長さを生きてきたニンゲンとして伝えたい

きっと、それでも
必死だったのだと思う
正解だったかどうかはわからないけど

だからあなたは今、生きていて
これを読んでいる

「肉体はただの魂の乗り物」なんていう言説がある

だとしたら
運転席に座ってハンドルを握るのはあなた

どうか、安全運転で。
ドライブを楽しもうよ

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