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なんで「医療用麻薬」って言い方をするの?

~冒頭~

医療用麻薬って聞くと物々しいですよね。
私の場合はモルヒネとかを想起するんですけど、
私も8月下旬に「オキファスト」という医療用麻薬の
お世話になる日が来ました。
でも、なんか麻薬って言われると中毒性があって、
怖いイメージがあるんです。
でも、ほかの薬と同じ薬じゃないですか?
痛み止めと何が違うの?
麻薬の定義ってそもそも何?
安心のためにも疑問に思ったことは調べてみよう。
という事で、調べた内容を書いていきます。

~薬物・麻薬の定義~

まずは何か定義を確認します。
ちなみに以下、ドツボにはまります。。
・薬
これにはあまりしっかりした定義がなさそうですね。
いわゆる日常的に使わられる広義な意味での
総称的な言い方と捉えてイイ感じがします。
・薬品
精製あるいは配合されて何らかの用途に利用可能な状態とした化学物質のうち、少量で使用するもののことを言うそうです。
化学物質というと、地球上のほぼすべての物質はその点で化学物質ですが、何かしらの化学的・生物学的な働きを持ったもののことを言うそうです。
少量の定義とか書くとキリなさそうなのでやめます。
薬品の小分類として、医薬品、農薬、試薬と分けられるそうです。
医薬品は医療を目的とした薬品で医薬品医療機器等法で規制。
農薬は農作物や園芸作物の防虫・防病・消毒などを目的とした薬品で、農薬取締法により規制。
試薬は化学実験・研究を目的とした薬品。
と定義されています。
・薬物
薬物とは、そもそもの意味は薬そのものなので、薬品と使われ方は元来同じようなのですが、
特にその薬品の内、それを用いることで危険な依存性をもたらす
アヘン、マリファナ、ヘロインなどの依存性薬物の略称として
使われることが多く、麻薬や覚醒剤など、
薬物依存の対象となるようなもの。
・覚醒剤
英語で書くとAwakening Drug。
日本では覚醒剤取締法で定義をされている。

第二条 この法律で「覚せい剤」とは、左に掲げる物をいう。
一 フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類
二 前号に掲げる物と同種の覚せい作用を有する物であつて政令で指定するもの
三 前二号に掲げる物のいずれかを含有する物

脳神経系に作用して心身の働きを一時的に活性化させる。
覚醒剤精神病と呼ばれる中毒症状を起こすことがある。
「医療および研究上の使用は認められている」と第三条に規定されています。
ただし、規制法は「覚醒剤取締法」です。
・麻薬
通常はモルヒネやヘロインのようなケシから生成される
麻薬性鎮痛薬のオピエートやオピオイドを指すが、
日本では法律上の用語として、
法律で規制された薬物を指して用いられることもある用語である。
日本では「麻薬及び向精神薬取締法」(麻薬取締法)で定義をされている。
※76項目あります。正確性の為、載せていますが、ぶっ飛ばしてください。

第2条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 麻薬 別表第一に掲げる物をいう。
以下、別表第一
一 三―アセトキシ―六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニルヘプタン(別名アセチルメタドール)及びその塩類
二 α―三―アセトキシ―六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニルヘプタン(別名アルファアセチルメタドール)及びその塩類
三 β―三―アセトキシ―六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニルヘプタン(別名ベータアセチルメタドール)及びその塩類
四 α―三―アセトキシ―六―メチルアミノ―四・四―ジフェニルヘプタン(別名ノルアシメタドール)及びその塩類
五 一―〔二―(四―アミノフェニル)エチル〕―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名アニレリジン)及びその塩類
六 N―アリルノルモルヒネ(別名ナロルフィン)、そのエステル及びこれらの塩類
七 三―アリル―一―メチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名アリルプロジン)及びその塩類
八 エクゴニン及びその塩類
九 三―(N―エチル―N―メチルアミノ)―一・一―ジ―(二―チエニル)―一―ブテン(別名エチルメチルチアンブテン)及びその塩類
十 α―三―エチル―一―メチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名アルファメプロジン)及びその塩類
十一 β―三―エチル―一―メチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名ベータメプロジン)及びその塩類
十二 二―(四―クロロベンジル)―一―(ジエチルアミノ)エチル―五―ニトロベンズイミダゾール(別名クロニタゼン)及びその塩類
十三 コカインその他エクゴニンのエステル及びその塩類
十四 コカ葉
十五 コデイン、エチルモルヒネその他モルヒネのエーテル及びその塩類
十六 ジアセチルモルヒネ(別名ヘロイン)その他モルヒネのエステル及びその塩類
十七 一―(三―シアノ―三・三―ジフェニルプロピル)―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名ジフェノキシレート)及びその塩類
十八 四―シアノ―二―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニルブタン(別名メサドン中間体)及びその塩類
十九 四―シアノ―一―メチル―四―フェニルピペリジン(別名ペチジン中間体A)及びその塩類
二十 一―(ジエチルアミノ)エチル―二―(四―エトキシベンジル)―五―ニトロベンズイミダゾール(別名エトニタゼン)及びその塩類
二十一 三―ジエチルアミノ―一・一―ジ―(二―チエニル)―一―ブテン(別名ジエチルチアンブテン)及びその塩類
二十二 ジヒドロコデイノン(別名ヒドロコドン)、そのエステル及びこれらの塩類
二十三 ジヒドロコデイン、そのエステル及びこれらの塩類
二十四 ジヒドロデオキシモルヒネ(別名デソモルヒネ)、そのエステル及びこれらの塩類
二十五 ジヒドロヒドロキシコデイノン(別名オキシコドン)、そのエステル及びこれらの塩類
二十六 ジヒドロヒドロキシモルヒノン(別名オキシモルフォン)及びその塩類
二十七 ジヒドロモルヒネ、そのエステル及びこれらの塩類
二十八 ジヒドロモルヒノン(別名ヒドロモルフォン)、そのエステル及びこれらの塩類
二十九 四・四―ジフェニル―六―ピペリジノ―三―ヘプタノン(別名ジピパノン)及びその塩類
三十 (二―ジメチルアミノ)エチル 一―エトキシ―一・一―ジフェニルアセテート(別名ジメノキサドール)及びその塩類
三十一 三―ジメチルアミノ―一・一―ジ―(二―チエニル)―一―ブテン(別名ジメチルチアンブテン)及びその塩類
三十二 六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘキサノン(別名ノルメサドン)及びその塩類
三十三 六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノール(別名ジメフェプタノール)及びその塩類
三十四 α―六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノール(別名アルファメタドール)及びその塩類
三十五 β―六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノール(別名ベータメタドール)及びその塩類
三十六 六―ジメチルアミノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノン(別名メサドン)及びその塩類
三十七 四―ジメチルアミノ―三―メチル―一・二―ジフェニル―二―(プロピオニルオキシ)ブタン(別名プロポキシフェン)及びその塩類
三十八 六―ジメチルアミノ―五―メチル―四・四―ジフェニル―三―ヘキサノン(別名イソメサドン)及びその塩類
三十九 一・三―ジメチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)アザシクロヘプタン(別名プロヘプタジン)及びその塩類
四十 α―一・三―ジメチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名アルファプロジン)及びその塩類
四十一 β―一・三―ジメチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名ベータプロジン)及びその塩類
四十二 テバイン及びその塩類
四十三 一・二・五―トリメチル―四―フェニル―四―(プロピオニルオキシ)ピペリジン(別名トリメペリジン)及びその塩類
四十四 六―ニコチニルコデイン(別名ニココジン)及びその塩類
四十五 ノルモルヒネ(別名デメチルモルヒネ)、そのエーテル及びこれらの塩類
四十六 一―〔二―(二―ヒドロキシエトキシ)エチル〕―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名エトキセリジン)及びその塩類
四十七 十四―ヒドロキシジヒドロモルヒネ(別名ヒドロモルヒノール)及びその塩類
四十八 三―ヒドロキシ―N―フェナシルモルヒナン(右旋性のものを除く。)及びその塩類
四十九 一―(三―ヒドロキシ―三―フェニルプロピル)―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名フェノペリジン)及びその塩類
五十 四―(三―ヒドロキシフェニル)―一―メチル―四―ピペリジルエチルケトン(別名ケトベミドン)及びその塩類
五十一 四―(三―ヒドロキシフェニル)―一―メチルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名ヒドロキシペチジン)及びその塩類
五十二 三―ヒドロキシ―N―フェネチルモルヒナン(別名フェノモルファン)及びその塩類
五十三 三―ヒドロキシ―N―メチルモルヒナン(右旋性のものを除く。)及びその塩類
五十四 三―ヒドロキシモルヒナン(右旋性のものを除く。)及びその塩類五十五 四―フェニル―一―〔二―(テトラヒドロフルフリルオキシ)エチル〕ピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名フレチジン)及びその塩類
五十六 四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名ペチジン中間体B)及びその塩類
五十七 四―フェニル―一―(三―フェニルアミノプロピル)ピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名ピミノジン)及びその塩類
五十八 一・二・三・四・五・六―ヘキサヒドロ―八―ヒドロキシ―六・十一―ジメチル―三―フェネチル―二・六―メタノ―三―ベンザゾシン(別名フェナゾシン)及びその塩類
五十九 一・二・三・四・五・六―ヘキサヒドロ―八―ヒドロキシ―三・六・十一―トリメチル―二・六―メタノ―三―ベンザゾシン(別名メタゾシン)及びその塩類
六十 一―〔二―(ベンジルオキシ)エチル〕―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名ベンゼチジン)及びその塩類
六十一 六―メチルジヒドロモルヒネ(別名メチルジヒドロモルヒネ)及びその塩類
六十二 メチルジヒドロモルヒノン(別名メトポン)、そのエステル及びこれらの塩類
六十三 六―メチル―⊿―六―デオキシモルヒネ(別名メチルデソルフィン)及びその塩類
六十四 N―(一―メチル―二―ピペリジノエチル)プロピオンアニリド(別名フェナンプロミド)及びその塩類
六十五 一―メチル―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エステル及びその塩類
六十六 N―〔二―(メチルフェネチルアミノ)プロピル〕プロピオンアニリド(別名ジアンプロミド)及びその塩類
六十七 〔(三―メチル―四―モルフォリノ―二・二―ジフェニル)ブチリル〕ピロリジン及びその塩類
六十八 三―メチル―四―モルフォリノ―二・二―ジフェニル酪酸(別名モラミド中間体)及びその塩類
六十九 三―メトキシ―N―メチルモルヒナン(右旋性のものを除く。)及びその塩類
七十 モルヒネ及びその塩類
七十一 モルヒネ―N―オキシドその他五価窒素モルヒネ及びその誘導体
七十二 一―(二―モルフォリノエチル)―四―フェニルピペリジン―四―カルボン酸エチルエステル(別名モルフェリジン)及びその塩類
七十三 六―モルフォリノ―四・四―ジフェニル―三―ヘプタノン(別名フェナドキソン)及びその塩類
七十四 四―モルフォリノ―二・二―ジフェニル酪酸エチルエステル(別名ジオキサフェチルブチレート)及びその塩類
七十五 前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用がある物であつて、政令で定めるもの
七十六 前各号に掲げる物のいずれかを含有する物であつて、あへん以外のもの。ただし、次に掲げるものを除く。
イ 千分中十分以下のコデイン、ジヒドロコデイン又はこれらの塩類を含有する物であつて、これら以外の前各号に掲げる物を含有しないもの
ロ 麻薬原料植物以外の植物(その一部分を含む。)

大変長々と失礼いたしました。
日本における違法薬物の取り締まりは主に
「あへん法」、「大麻取締法」と先に記載した「覚醒剤取締法」に加え
今回の麻薬及び向精神薬取締法などがありますが、規制物質の「あへん」、「大麻」、「フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類」を除くと、ほとんどがこの「麻薬取締法」で規制されるため、
このように定義が広くなっています。
いわゆる、「危険ドラッグ」などが増えれば増えるほど麻薬の定義はどんどん大きくなります。
これ以上の説明はドツボにはまりそうなので、ここら辺にしておきます。

何となーくのイメージがつけばと。。

~定義が難しいので、改めて医療の観点から考える~

簡単に言えば、法律で規制をされている薬物ですが、
医療の観点から必要なので適正管理の元利用をする。
それが「医療麻薬」です。
ちなみに「医療大麻」もありますが、2020年9月現在、これは日本では所持・使用は医療用でも禁止されています。

日本には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(旧名:薬事法)(略すと薬機法とか言うらしいです。)にて
日本における医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品に関する運用などを定めた法律があります。
それに加えて、先に述べたような麻薬などは「麻薬及び向精神薬取締法」にて運用管理が定めらているという感じです。

普通薬に関しては表示義務がありませんが、
毒薬、劇薬、麻薬、向精神薬に関しては表示義務があります。

「麻薬及び向精神薬取締法」第33条、第34条、第39条にて、
麻薬の管理は、
麻薬の受払いを記録する帳簿を備え、
麻薬の受払いを記録する必要がある。
2名以上の麻薬施用者が診療に従事する
麻薬診療施設では麻薬管理者を置き、
麻薬管理者が麻薬の受払いの管理や帳簿への記録を行う必要がある。
麻薬の保管には、鍵のかかる堅固な保管庫を使用する。
麻薬保管庫には麻薬のほか、覚せい剤を一緒に保管することはできるが、
それ以外の医薬品や帳簿等を保管することはできない。

こんな感じで保管管理自体の方法に特別な保管管理が必要です。

ちなみに聞くと「家庭麻薬」というものもあるらしいです。
家庭麻薬とは、1%以下のコデイン、ジヒドロコデインのことで、
「麻薬及び向精神薬取締法」の取り締まる麻薬ではないらしいです。

~末尾~

結論が出ました。
「麻薬」という言葉を使うのは保管管理等が必要な
法律で定められたものというだけです。

モルヒネだろうがロキソニンだろうが、すべては医薬品です。
そして、そのどちらもが適正に利用する必要があります。

特に患者側目線で考えれば、それだけの話です。

医療用麻薬は、米国等では適正使用量の2倍以上を消費しているのに対し、
日本では、治療上の必要量に対して15.54%と
先進諸国のなかでは最も少ない割合となっています。
(引用:https://www.jpsmjournal.com/article/S0885-3924(13)00272-8/fulltext)

麻薬と聞くと、「怖い」が先行してしまいます。

大事なことは
「違法に使わず」
「適正に怖がり」
「適正に利用する」
です。

依存性に関しては担当医に使用量と依存性についてを
確認してください。
依存性を全く否定してしまうのは間違いかと思いますが、
それを含めて、緩和ケアをどのように考えるかは
個々の患者にとってとても大事なことです。

全員が全員、成分に関して知識に長けているわけではありません。
だからこそ、こういった細分化された法律により管理されており、
医療大麻など現在認可されていないものに関しては議論が
続けれれている訳です。

少しこういう予備知識があるだけで、
新しい議論している内容に興味が持てるかも知れません。

何か興味のとっかかりになればと
こんな感じで書いてみましたが、
薬事や医師、看護関係は本当に難しい。
でも、細部に渡って色々な方が考えたものが、
体系化されているっていうことですね。

あなたがもし医療麻薬を使う機会があったら、
積極的に聞きましょう。
何故必要なのか?
何か不安点はないのか?
そして、理解をしたら、しっかりと治療に励みましょう。

長文失礼いたしました。

それではさようなら~!