見出し画像

【 ドル円124円台 】 日銀指値オペは諸刃の剣 投資家のFIREへの旅路 ♯358

出典:Google finance

本日のドル円は、1ドル=124円と、円安がさらに加速しています。
この水準は、2015年8月以来およそ6年7カ月ぶりとなります。

その原因は、日銀が行なった「連続指し値オペ」です。
日米の金利差のさらなる開きが見込まれてことから、円売り・ドル買いが進み、円安を招きました。


【 円安 】

1ドル=124円
6年7カ月ぶりの低水準
要因は日銀の連続指し値オペ

円安の要因となっている、日銀の指値オペについてしっかりと理解していきたいと思います。



▶︎  指値オペ 


日本銀行があらかじめ決まった利回りで金融機関から国債を無制限に買い入れる公開市場操作(オペレーション)のこと。

2016年9月の金融政策決定会合で、金融政策の新たな手段として導入されたもので、長短金利の操作によって急速な金利上昇を抑え、10年物国債利回りを日銀が目標とする「0%程度」に誘導するために実施される。

出典:野村證券 証券用語解説集
  • 目的:10年国債利回りを0%へ誘導すること。

  • 原因:米長期金利の上昇に伴う、日本の長期金利の上昇。

  • 手法:長期国債の利率が0.25%になる価格で買うこと。

  • 影響:円安になる


< 目的 >

目的: 10年国債利回りを0%への誘導

10年国債利回りとは、投資家が国に10年間お金を貸す時に受け取る金利のことです。
この水準は市中金利の基準となります。

つまり、
10年国債利回りが上がると、住宅ローンなどの金利の上昇や、
企業が、銀行から借りる資金の金利の水準も上がる
ということです。

これは、日銀の政策とは逆になりますから、これを阻止するために、
指値オペを発動したということです。



< 原因 >

米長期金利の上昇に伴う、日本の長期金利の上昇

米国では、3月のFOMCで、利上げが決定され、今後その利上げ幅はさらに加速するという発信もあります。

長期金利の指標は、10年債利回りでしたね。

利上げが、10年債利回りに影響を与える仕組みを見ていきます。



・債券と利上げの関係

債券=国の借金
10年国債は、10年間国にお金を貸す代わりに、その利子をもらうという取引です。

※債券は、購入した時の金額が返ってきます。
その償還日までの間の債券価格は変動します。


ものすごく簡単、このような債権があったとしましょう。


● 債券A

額面価格:100円 
利率:10%
年数 :1年

この場合、1年後に返ってくるお金は、
額面価格 100円 プラス 利率分 +10円
合計 110円です。

そして、利上げとなり、市中金利が20%に上昇し
新たな債権が発行されたとしましょう。

● 債券 B

額面価格:100円 
利率:20%
年数 :1年
この場合、1年後に返ってくるお金は、
額面価格 100円 プラス 利率分 +20円
合計 120円です。


このような状態なると、利率が高い債券Bが欲しい!!
という人しかいなくなるのは当然です。
そして債券Aは売れなくなります。

この状況を回避するために、調整が行われます。


利上げとなった場合に、

債券Aは、このような内容になります。


● 債券A (利上げ後)

額面価格: 100円 →  価格 90円
利率:10%
年数 :1年
この場合、1年後に返ってくるお金は、
額面価格 100円 (+10円 ) プラス 利率分 +10円
合計 120円です。

このようになります。
債券の価格が90円に下がりますが、返ってくるお金は100円なので、ここでプラス10円となり、
利率の10円と合わせて 120円を1年後に得ることができる。


債券Bと同条件になるのです。

この流れを整理すると、
金利上昇 → 債券価格の下落 となっています。


このような仕組みから、
利上げ局面においては、
債券価格が落ちるということになるのです。

日銀は、この逆をやりたいわけです。


・日銀の狙い

日銀は、債券の価格がどうこうというよりも、
金利上昇により、企業の資金調達や、住宅ローンの支払金額の増加による景気後退を避けたいというわけです。


< 手法 >

長期国債の利率が0.25%になる価格で買うこと。

指値オペとは、具体的に何をするかというと、
長期国債の利率が、0.25%になる価格で債券を購入することです。

国債を大量に買い付ける →
債券価格上昇 →
利率低下

これをやっているということです。

そして、今回の指値オペは、
この利率が0.25%以下になるまで、買い続けるということです。

長期金利が、市中金利の基準となりますから、
米国の利上げの影響を受けて、上昇傾向にあり、日本の金利を下げる効果を発揮するのです。


< 影響 >

円安になる

日銀の指値オペとは、
簡単に考えれば、日本の金利を下げる施策です。

世界の投資マネーは、金利の低い国から、高い国へ流れます。

これは、当然ですね。

米国の金利は、利上げにより2%を超えています。今後もさらに上がる。

日本の金利は、指値オペで、0.25%以上にならないことが確定しています。

こうなると、
米ドル の方がお得なのは明らかです。

そして、円が売られて、米ドルを買う流れになります。


その結果、
円安となるのです。


まさに、今の状況にぴったりです。
今後さらに、米国に利上げは加速しますから、円安も加速することになります。


・円安の影響

円安になると、海外の商品が高くなりますから、
食品、エネルギーなど輸入に頼っているものの価格が上がります。

結果的に、消費者の生活を圧迫することにもなってしまいます。

逆に、米国株など、ドルの資産をもっている日本人は、その資産価値が上がります。

また、海外での売上比率の大きい企業は、利益が大幅に上がります。

このように、円安は、良い面、悪い面の両方を持ち合わせていますから、一概に円高とどっちが良いかという答えはありません。

しかしながら、
現在の円安は、水準が高いことから、デメリットの方が大きく作用すると思われます。


【 まとめ 】

日銀の指値オペについて、考えました。

まさに、諸刃の剣といった印象です。

円安の加速は確実ですから、これを考慮した、投資が必要です。

米国株の買い付けは、普段よりも割高になってしまいますから、
慎重な判断が必要です。

逆に、売却はプラス幅が大きくなりますから、売るなら今かもしれません。

常に変化する状況を、注視して判断していきましょう!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?