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#1 『THE ROTARY』

山口大空と申します、記憶を紡ぐためにSOUMATOUといった映像を作っております。

心を動かした人や場所・モノをテーマを、多くの人達と関わりながら残していくこのプロジェクト。
第1弾は、群馬県新前橋駅にあるハンバーガ屋さんのTHE ROTARY

THE ROTARY


オーナーの河ちゃんさん(河原さん )とは、2021年の開店当初からの付き合いで、結婚式ムービーやウエディングフォトを撮らせていただいたり、仲間達の憩いの場としてお店を使わせてもらっています。

かつてのウエディングフォト

多くの思い出が生まれ、経験をさせていただいたこの場は、私の人生においての大切な居場所。


しかし残念なことに、今年の8月にて営業を終了してしまいます。

先日一人で伺った際、閉店の事実を知りかなりのショックを受けました。そこで何としてでも、河ちゃんさんとお店に関わった人たちの記憶を形に残せないかを考え、SOUMATOUにすることを決めました。

河ちゃんさん


The ROTARYとの出会い


専門時代、担任講師が「前橋に新しいハンバーガ屋さんができたよ」と紹介してくれたのがきっかけでした。
学校の友人達と、街灯が反射する18時過ぎに訪れます。
雨と対照の暖色がとても温かくて、お洒落な雰囲気。
少し大人になったような優越感に浸ったのを覚えています。

2021年の初来店時

壁一面の黒板にお客さんが絵やメッセージを書ける遊び心。当時イラストの仕事をしていた友人は、白のチョークで悟空を書いていました。

誰でも描ける黒板

そして、お料理が出てきます。マックやモスしか辞書にない一同は、あまりの美味しさに言葉を失い、ハンバーガーの概念が変わりました。


乗り換え時。暇を持て余していた駅でしたので、未来に期待感を持てました。

2021年の初来店時

背中を押してもらえた駆け出し時期

当時、独立を考えながらも実績が少なかったので河ちゃんさんに「PVを作らせて欲しい」とお願いをしました。

信用を得られるキャリアも作品もありませんでしたが、快く受け入れてくださったのを覚えています。親戚や当時のバイトメンバーを呼んでくださり、駆け出しクリエイターには勿体ないほどの手厚い準備をしてもらいました。

当時の撮影風景

クオリティは学生並みの作品ですが、前向きな言葉とSNSに掲載してもらって、嬉しかったのを覚えております。

名もない学生の背中を押してくださり、本当にありがとうございました。


初のウェディングのお仕事

それから約1年後。河ちゃんさんから連絡がありウエディングの前撮りをさせていただくことになりました。海風靡く写真と、かつて働いていたハンバーガーショップに連れていってもらったことは一生の思い出です。

ハンバーガーショップ

お二人がコナンを好きなのもあり、映画をオマージュしたオープニングムービーも制作させてもらいました。初めてのウェディング関係のお仕事。

大切な瞬間に関わることができ、幸せを分けてもらいました。


親友の挫折を救ってくれたお店  

そのお仕事をした直後、料理人の友人が苦悩を抱えておりました。

彼は料理の夢を追っていましたが、旅館の厨房で働く中で「作った料理を食べている姿が見れない」ことや「お客さんと話せない」ことへのストレスを抱えて過ごしていました。

幾つも夜を明かすほどに苦悩を耳にしていましたので、いつからか「何かできないだろうか?」と自分事で考えるように。

「きっと河ちゃんさんの人柄なら」
「きっとTHE ROTARYなら」

そんな親友を救えるのはこの場所だと信じ、彼を誘ってハンバーガーを食べに向かったのです。

お客さんと話せる環境と料理に感動した彼は、すぐさま仕事を辞め、この場所で働くことを決意します。あの日の帰り道、カウンター席の魅力を語ってくれた輝いた目を覚えています。

親友の彼(右)を初めて自宅に呼んだ日、ロータリーの一式を着ていた

以前は切羽詰まっていて、生活にも余裕がないように思えました。

もし転職をしていなければ、私たちの多くの思い出も生まれていなかったかもしれません。

親友の背中

一人で店を任されたことを嬉しそうに語っていましたね。
イベント出店や、他のお店のオーナーさんに会える経験を有難いと話していましたね。

お客さんと話せる環境になった彼は、様々な事柄を自分事で捉えるようになり、頻繁に未来を語るように変わりました。

その後、さらに夢を追うため創作和食のお店に転職しましたが、河ちゃんさん、私の親友の苦悩の時期を支えてくれてありがとうございました。

振り返ると数々の思い出達

MVを撮るようになり、県外から機材と共に帰った日。閉店間際に食べたBBQバーガーに泣きそうになったのはいい思い出です。

同居人と専門の親友、現在はチームにいる二人が出会ったのも新前橋駅のイベントです。

そんなチームを共に設立した親友とサッカー観戦をした日。
THE ROTARYのスタグルで、お腹を満たしました。

前橋まちなかのイベント、親友が一生懸命開発したドーナツを食べたのは懐かしいです。彼は、試作とまかないで見違えるほどに丸くなっていました。

今も仲良くしているイラストレーターのペおこちゃんに出会えたのも、このお店が展示していたことがきっかけでした。表現をする大切な仲間です。

ペおこちゃんの作品

県外のクリエイターや新潟大学の友人が来た時に連れて行ったのもこの場所でした。

まだまだ。
ここには書けないほどに、数えきれないほどの思い出が存在します。

なくなる話を耳にした時。これからの未来、この場所で思い出を作れない残酷さに触れました。今のうちに鮮明な姿を残さないと、大きな後悔を生む予感がしてSOUMATOUでの映像制作を企画したのです。

今作の楽曲について。

この作品は、シンガーソングライターの渡ケントさんの「ガラクタなまいにち」という楽曲を使わせていただきました。

実は河ちゃんさんと彼は、高校の同級生。「せっかくこの店を映像にするなら、河ちゃんさんと縁のある人物にしたい」伝えたときに、紹介していただきました。

その後、「大切なお店がなくなってしまうので、映像作品として残したい!」と渡さんに企画を投げると、快く許可をしてくださりました。

この度は、ご協力ありがとうございました。

最後に

まずSOUMATOUは、私自身やこのプロジェクトに関わってくれた人のための作品です。今回で言えば、THE ROTARYや河ちゃんさん、そして共にこの場で過ごした人達の大切な思い出になればいい。記憶は鮮明さを保ちませんから、この映像が思い出を運んでくれると嬉しいのです。

そして、もう一つは全ての人に向けてのメッセージ。
誰でもスマートフォンで記録できる時代。
大切なものは必ず残しておきましょう。映像でも写真でもいい。

記憶とは些細で無意味に思われる日常すらも、自身の背中を少しだけ押してくれます。過去の全てが懐かしくて、当たり前だと思っていた時間を取り戻したいと振り返る日が来るかもしれません。

しかし、私たち人間は気づかぬうちに忘れてしまう。
忘れた事さえも認識できずに。

ネガティブや悲しい出来事も多い世ですが、誰しもが記録できることの価値は計り知れないと思うのです。

それが網膜に映る1フレームだけでなく、映像として声や仕草、表情の動きも残せる時代。

その日常の1シーンを失う前に記録しませんか?

走馬灯に流れるかもしれないあなたの時間を、いつかの自分に、残しましょう。

SOUMATOU#1 『THE ROTARY』 / 山口大空

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