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【祈り】ノベルセラピー作品

作  サラ


わたしの名前はボム。
3人兄弟の真ん中で、5歳の女の子。仲のよいお兄ちゃんと弟がいます。


ボムはちょっと恥ずかしがりやでこわがりだけど、内にとても強いものを秘めていて、誰からも愛されるやさしい子。
髪にピンクのリボンをつけ、お気に入りのオーバーオールを着るのが大好きです。
ボムは心で色々なものを感じる事が得意でした。
人の考えていること、思っていることがわかるのです。


ボムの住む町はその昔、争いがあり家が焼かれ、多くの人々が亡くなりました。町には草1本生えていないほど、何もなくなったとボムのお母さんはボム達に語ります。
ボムは心を痛め、いつも人々の幸せをお祈りするようになりました。


今では町は大きく広がり、そんな面影はなく、本当にそんな事があったなどとはわからないくらいです。
家や建物が建ち並び、たくさんの物にあふれ、にぎわい、人々は幸せそうです。


けれど、町の人達は"ないない病"にでもかかったかのように、いつも何かを探し求めていました。
手に入れると一時は安心しますが、すぐにこれではないと、また別のものを探し始めます。


ボムは人々の心の不安を感じ、人々が、本当には幸せではないように感じていました。


いつしかそんな人々を見てボムも不安になり、次から次に何かを探し求めるようになります。


あれじゃない、これじゃない
心は悲鳴をあげます。
この不安をどうにかしたい。
本当の幸せってなんだろう?


ボムは本当の幸せを探しに心の旅に出ました。
ボムは"ないない病"にかかっている人々に次から次へと出会います。
不安が大きく膨らみ、押しつぶされそうです。


ボムは祈りました。
「この不安を消してください!」
。。。


すると、どこからか風が吹いてきて
風がボムの耳元でささやきます。


「いま身体はどんな風に感じる?
不安という名前がついているけれど、身体はなんて言ってる?」


ボムは身体に意識を傾け、
その様子を少しずつ感じてみました。


「胸が、胸が、何か重いものがのしかかっているようだと言ってる……モクモクと煙のような、モヤモヤ感も広がってるって言ってる…

みぞおちが…みぞおちはキューっとしぼられてるみたいで、苦しいと言ってるみたい……」


身体に耳を澄ますと、身体から声がしたように感じました。


風は言いました。
「それを感じ続けてごらん。」


ボムは、
胸の声の
"何か重いものがのしかかっている感じ"と
"モクモクと煙のようなモヤモヤ感"


みぞおちの声の
"キューっとしぼられてるみたいな苦しい感じ"

これらをしばらく感じ続けました。


すると……

あれ?

そこにあったものが
スーッ と消えていきます。


そして、やさしく暖かな風のようなものが吹き、ボムの胸とみぞおちはやさしさと暖かさでいっぱいになりました。
ボムの心は安らぎ、何かに包まれているような安心で、いっぱいになりました。


なんて幸せなんだろう。。。

心が満ち満ちている。。。


ボムは自分の中に安らぎや安心を感じ、幸せは自分の中にあることに気づきました。


本当の幸せは探さなくても、ここに
ここにあるんだ!!
いつも、いつも、あるんだ!!
いま ここに。。。


ボムはうれしくなりました。


その後ボムは"ないない病"にかかっている人々に会っても、心が満ち満ちて、安らぎと安心を感じます。


不安はボムの中にあるものだった
という事にも気づきました。


ボムの前に現れた"ないない病"にかかっている人々が、ボムにその事を気づかせてくれました。


ボムがいまここに安らぎ満ち満ちて幸せでいると、"ないない病"にかかっている人々は、次々に安らいでいって、温泉に入っているようなぽかぽかと暖かいくつろぎを感じるようになり、幸せを感じます。


ボムはいま幸せです。


どこにも行かず
いま ここにいて


ボムもボムを囲む人々も
みんなみんな幸せだからです。


ありがとう


風に感謝
人々に感謝
全てに感謝


ボムの感謝を捧げる祈りは
いまもずっと続いています。


おしまい

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