見出し画像

2024年版「中小企業白書」が公開されました

2024年5月、中小企業白書(2024年版)が公開されました。
この記事では、中小企業の事業承継、海外展開、人材不足対策、デジタル技術の活用に焦点を当て、その概要を纏めています。


中小企業の事業承継の傾向

取り巻く環境
中小企業の多くが後継者不足に直面しています。2018年をピークに減少傾向にあるものの、2023年の後継者不在率は54.5%と高いままです。
また、中小企業庁が公表したデータによると、2025年までに約245万人の経営者が70歳に達する見込みであり、経営者の高齢化が進んでいます。

中小企業白書(2024年版)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdfより抜粋
中小企業白書(2024年版)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdfより抜粋


事業承継の傾向
従業員以外にも、第三者への事業承継(M&A)が増加しており、事業の継続と成長を図るための重要な手段となっています。政府は、法人版事業承継税制や個人版事業承継税制などの支援策を強化しており、円滑な事業承継を支援しています。

中小企業白書(2024年版)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdfより抜粋


中小企業の海外展開の傾向

中小企業も主にアジア市場をターゲットにしており、中国や東南アジア諸国への進出が目立ちます。​現地法人を設立する企業も増えており、現地のニーズに応じた商品開発やサービス提供が行われています​。
なお、政府も「新規輸出1万者支援プログラム」という制度を創設し、新たに輸出に挑戦する事業者を支援しています。2022 年開始後、2023 年9月には、登録者1万者を超えています。

中小企業白書(2024年版)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdfより抜粋

中小企業の人材不足対策とその傾向

中小企業は労働環境の改善や労働条件の見直しを行い、労働力不足に対応しています。特に技能実習生の受け入れが進んでいます。ただし、2024年の入管法改正により、技能実習制度が廃止されることが決定されました。新たに創設された「育成制度」をどう活用していくかは、今後の課題と言えます。
また、生産性向上のためにデジタル技術や自動化技術の導入が進んでおり、省力化が図られています​ ​。なお、中小企業庁からは、中小企業・小規模事業者向けの「人材活用ガイドライン」も公表されており、人材の採用・育成に関する具体的な対応策や成功事例が紹介されています​​。

中小企業白書(2024年版)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdfより抜粋

デジタル技術の活用

ECサイトの利用

中小企業がECサイトを利用する理由として、販路拡大や新規顧客の獲得が挙げられます。
ただし、ECサイトの運営に関するトラブルとして、契約の成立時期や消費者の操作ミスによる購入キャンセルなどがあります。これらのトラブルに対処するためには、電子商取引に関する法令を遵守することが重要です​。中小企業庁の「EC活用支援ポータルサイト」では、ECサイトの運営に関するアドバイスや支援策が提供されています​。

中小企業白書(2024年版)https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdfより抜粋

今後の課題と展望

  1. 生産性向上:

    • 労働力不足が深刻化する中で、省力化投資や単価の引き上げを通じて生産性を向上させることが求められています。

  2. 国際競争力の維持:

    • 国際競争力を維持するためには、デジタル技術の活用や研究開発への投資が不可欠です​。

  3. 持続可能な成長:

    • 持続可能な成長を実現するために、資金調達手段の確保や支援機関の活用が重要です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?