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中小企業向け資金繰り支援の今後の展開について

2024年6月7日、金融庁と財務省とは、「中小企業向けの新たな資金繰り支援策」を共同発表しました。経済産業省も同時に、中小企業と地域経済の活性化を目指した支援策を打ち出し、官民の金融機関に対して、コロナ資金繰り支援策からの転換を踏まえた支援の徹底を要請しました。


1.今後の中小企業向け資金繰り支援

コロナ関連の支援策は終了。ただし、コロナ禍の影響に苦しむ事業者への再生支援を強化。また、円安等の経済情勢で苦しむ事業者向けの制度も継続。

2.官民金融機関等に対する要請について

コロナ資金繰り支援策の転換点を迎えたことを受けて、関係省庁と共に官民金融機関に対して、事業者支援の徹底を要請しました。その概要は、以下の通りです。

(1)背景と概要

  • 正常化: 社会経済活動の正常化が進み、コロナ資金繰り支援は転換点を迎えている。

  • 方向性: 2024年7月以降、コロナ前の水準に戻し、経営改善・再生支援に重点を置いた資金繰り支援に移行。

  • 対象地域: 能登半島地震の被災地には特別な配慮。

(2)要請事項
①コロナ資金繰り支援策の転換

  • 資金繰り支援を事業者に最大限寄り添い、丁寧かつ親身に対応。

  • コロナ借換保証制度は原則終了するが、他の保証制度を活用して支援を継続。

  • 日本政策金融公庫等は災害貸付金利を適用し、コロナ特別貸付を延長。

  • 経営改善・再生支援に資する資金繰り支援策の活用を検討。

②信用保証協会による支援の強化

  • 経営支援の効果検証指標を設定し、PDCAを徹底。

  • 再生支援・スポンサー探しの円滑化を図る。

  • 中小企業庁と共に信用保証の仕組みを検討。

③再生ファンド等の活用

  • 資本性資金の供給等を活用した事業者の成長・再生を支援。

  • 政府系金融機関と民間金融機関の協調融資商品の組成拡大。

④信用保証付融資における経営者保証

  • 経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を周知し、活用を促す。

⑤事業再生情報ネットワークを活用した支援

  • 事業者の公租公課の納付状況を把握し、資金繰り計画の策定支援。

  • 「事業再生情報ネットワーク」を活用し、適切な情報共有。

⑥能登半島地震に関する事業者支援

  • 特別貸付等を活用し、被災した事業者の資金繰り支援。

  • 二重債務問題への対応、復興支援ファンドの設立と活用。

3.事業再生情報ネットワーク

2024年6月17日から「事業再生情報ネットワーク」の運用が開始されます。このネットワークは、中小企業の再生支援を目的としており、公租公課の確実な納付と事業再生の両立を図るための情報共有と支援を行います。
詳細は、こちらをご参照ください。

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