誇り

3年間付き合ってきた生徒たちが、卒業します。
卒業式で生徒に伝えたいこと、覚書。


人間抱く感情の総称として、「喜怒哀楽」という言葉がある。「喜」「怒」「哀」「楽」、4種類?いやいや。数えきれないくらいの複雑な感情を人は抱く。その中で、僕が最も美しいと思う感情、それが「誇り」。今僕が君たちに対して抱いている感情だ。

「誇り」とは、言わば「他人に対して自信を持つ」という感情だ。おかしいよね? 「自信」という字は、「自分を信じる」と書くのに、そんな気持ちを自分じゃない人に対して抱くなんて。

最終学年にして、コロナの影が全世界を覆った。できないことも多くなった。学校生活の中で、あれもできない、これもできない。我慢を強いて子供たちには申し訳なかった。こんな声も聞こえてくる。だけど、僕はそうは思わない。君たちはコロナに負けず、むしろそれを追い風に変えて、果敢にチャレンジしてきた。体育祭では綱引きはできなかったが、バケツリレーで団結を示した。屋久島への修学旅行には行けなかったが、自分たちの力で学年全体が楽しめる企画を練り上げ、100人で楽しい時間を過ごした。知覧の特攻資料館には行けなかったが、平和学習では次世代の平和の担い手として申し分ない学びを見せてくれた。卒業式で合唱はできなかったが、唯一無二のミュージック・ビデオを作り上げた。

逆境の中でこそ、人間の真価が問われる。君たちは真価をみせつけてくれた。君たちに対して抱く感情は「申し訳ない」じゃない。「誇り」だ。

君たちには価値がある。君たちには無限の可能性がある。そのことを信じて疑わない人間がここに、最低でも一人いる。そのことを忘れないでほしい。僕は君たちを自慢したい。こんなにも優秀で、こんなにも思いやりに溢れる、未来の担い手がここにいるぞ!と、全世界に自慢したい。早く高校に、日本に、世界に、知らしめたい。

君たちは人を幸せにすることができる人だ。だって君たちと3年間付き合ってきたことに僕はこんなにも幸せを感じているんだから。君たちがテストでどんなにひどい点を取ろうが、どんなに悪いことをして叱られようが、この事実は変わらない。君たちと共に歩み、成長してこられた3年間は、僕にとって本当に幸せな時間だった。ありがとう。

君たちを心から誇りに思う。


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