数学系YouTuber始めてみた


ご挨拶

2022年5月に大阪なんばにSOU数学ラボというスペースを作りました。その活動報告にTwitterを使っていますが、140字で書けない量のものがあったり、SNSに適してないタイプの情報共有がしたくなった場合もあるだろうと始めてみたこのnoteアカウントですが、以前はてなで書いていた記事『数ⅢCでほぼ0点の私が、なぜ数学を好きになれたか』をnote向けにリメイクしたものを投稿して以来、ずっと記事を公開していませんでした。noteアカウントの存在を忘れていたわけではなく、先の記事をいろいろな場所に引用していたりはしましたが、投稿はご無沙汰でした。大人のための数学教室を含めた数学ラボの運営が忙しく、いろいろな活動報告も多方面にしていたので、こちらまで手が回ってなかったのが実情です。しかし上記の記事を見て通い始める方たちも現れてきて、リアクションはどうあれ発信し続けることの大切さに再認識ので、また記事を書いたり公開してみようと思いました。2024年はnoteをたくさん使ってみようと思います。

動画編集・投稿への興味

大学生のころからYouTubeは見ていました。昔からゲームが好きだったので主にゲーム実況を見ることが多かったです。そんな動画を見ていずれ自分もゲーム実況をやりたいなと思っていました。そのために撮影環境を作ったり編集ソフトの使い方を学んだりはしてました。しかし投稿までには至りませんでした。

その一方で学問系YouTuberが登場してきましたが、彼らにとくに興味を持つこともなく、また彼らのようなことをしたいとも思っていませんでした。彼らに興味がなかったのはもともとYouTubeは娯楽であり何かを学ぶところと思わなかったからです。すでに学問系YouTuberたちを知ったころには大学院生も終盤になっていて、自分が知りたいことはネットを調べても大抵でてこなかったので、知りたいことがわざわざ動画として存在する期待もなかったです。またすでに文字を追う学び方に慣れすぎていて、たとえどれだけ分かりやすかろうがわざわざ時間をかけて動画を見る学び方に非効率ささえ感じていました。

また数学を誰かに伝える活動自体は大学生後半から始めていましたが、彼らのような活動をしたいと思わなかったのは、それまでの活動が彼らに比べて非常に閉鎖的な環境でのものばかりで、自分が出したものが広く一般に公開されることへのリスクの方が大きいと思っていたからです。そんなリスクを負ってまで得られるメリットも思い浮かばず、また活動によって得たいものもなかったです。自分が良い教養ツールだと思っていないプラットフォームにて数学を使ってやりたいことのアイデアもとくに浮かばなかったのも、やりたいと思わなかった一因かもしれません。

動画投稿をしようと思ったきっかけ

動画投稿のことはさておき2022年5月よりSOU数学ラボの運営を始めて、色々と試行錯誤をしてきました。数学ラボのアクセスの良さなどを含めた物件としての価値は十分でしたが、1つの欠点としてそこに存在していることを認知させるのが難しいという問題がありました。大人のための数学教室も同様でその活動内容をより大きくするためには、まず認知度そのものを上げることが課題だと思っていました。出入りの少ない建物の中の4階の奥まった場所にあり、看板などを設置したりも契約上できなくなっています。建物がある場所は人通りの多い道なのに、立て看板1つ置けません。一応お金を払えばSNSなどで広告を出すことも可能ですが、良い費用対効果を見込めませんでした。
そういうわけで宣伝を大きな目的として動画投稿を検討しました。色々な数学系YouTuberやその動画を見てみて、個人レッスンを受けるかどうかは別として、YouTubeにて「数学」と検索する人たちはいるんだと気づきました。もし自分でもそういった方々へ向けて何か有益な情報が発信できるならば、手探りでも始めてみようと思いました。

どんな動画を作ろう?

ちょうど1年前くらいの2023年の年末年始に自分の中でどのような動画を作るのかのアイデア出しが始まりました。まず数学を算数を含めた高校以前の数学と大学からの数学に二分して、主にどちらの動画を作るか考えました。

どちらもそれを扱った動画やそれに特化している方々はたくさんいました。ただ個人的な印象では高校以前の数学のほうが圧倒的に量が多いと思いました。おそらくその方が需要が高いからでしょう。学生はもちろんのこと、大人だって大学からどのような数学が始まるのか知らなければ、学び直しなどで学ぼうとするは高校以前の数学になるのは必然だと思います。また大学からの数学に比べて、(真面目に作ろうとすれば)動画制作に必要な知識の量は高校以前数学のほうが少ないと思われるので、作りやすさという点でも動画が多い理由だと思いました。

では自分自身もどちらに特化するのか、もしくはある程度両立を目指すのか考えた結果、大学からの数学に特化するほうを選びました。宣伝という目的を考えたとき、需要が高いことと埋もれやすさは同じだと思いました。

また私自身のこれまでの経験から高校以前数学への苦手意識があって、いずれその意識は克服するとしても、いま色々なことを抱えている中で克服もしつつ良いコンテンツを作るのは、少し時間も余裕が足りないと思いました。また個人レッスンというサービスとして推していきたいものが大学からの数学に定まりつつあったのもこの時だったというのもあります。

扱う数学が大まかに決まったところで、動画の形式や内容について考え始めました。いろんなチャンネルや動画、そしてそれらを宣伝しているSNS(主にTwitter)などを観察して、以下の項目について考えました。それぞれの点についてアイデアを出しつつ、ほかの項目との関連性などと合わせつつ、消去法的に検討してきました。

  1. 何を宣伝するか?

  2. 講義・授業 or 雑学 or 問題解説 or 要点解説 or 学習指南 or エンタメ?

  3. 単発系 or シリーズモノ?

  4. 自分を映すかどうか

  5. 字幕か声録音か読み上げソフトか

  6. コストパフォーマンスは?

何を宣伝するか?

宣伝といっても数学ラボの活動は私自身の数学の研究から、イベント・勉強会運営、そして個人レッスンなど様々なので、これらのどれを主に、もしくは複合して宣伝するか考えました。もしくは私自身というパターンもあります。人間的魅力が伝わればその人がやっている活動に興味を持つパターンもあるのかなと。ただ私が不特定多数に向かって自己アピールするのが苦手なので、私自身の人格を前面に出すのはいったん候補から外しました。

講義・授業 or 雑学 or 問題解説 or 要点解説 or 学習指南 or エンタメ?

いずれチャレンジする可能性は捨ててませんが、まずどんな動画から作ろうと考えたとき、色々な動画を見漁って、大体この項目名くらいかなと思いました。もしかしたらこれ以外のジャンルもあるかもですが。

まず一番教育系YouTuberとしてありそうな形式が講義・授業タイプです。単にYouTuberとしてではなく、教員の方がその授業を撮影したものを公開しているものもありました。コロナ禍で一番増えたタイプかもしれません。あくまで大学のカリキュラムの補助という形だからか撮影方法や編集を凝ったものは少なかったものの、そもそも教員の方にそこまでの業務外リソースはないため、それは致し方ないのだろうと推察します。個人レッスンでの授業はもちろんのこと、数学ラボ運営開始前後で大学の外ではありますが、講座を開いてみたことが何度かあるので、この形式ならば自分のこれまでの経験を活かせると思いました。

続いて多かった印象のものは雑学タイプでした。つまり本格的な解説というよりは非数学系、ひいては大学に通ったことのない人も対象として、分かりやすさ重視で解説するものです。しかしそれゆえに専門用語を多く使うわけにはいかないため、学問的というよりはトリビア的になりがちな印象を受けました。とにかく再生数を増やし広告収入を狙うならばこのタイプが一番かなと思います。また世間で話題になったネタを取り入れていけばなお良しです。私自身数学の雑学にそこまで興味がなく(というよりここに意識が向きすぎると数学学習に支障がでる性格)、そんな自分が嬉々として話せる話題では少なく、すぐにストックが尽きるとも思いました。数学以外の分野に広げればネタには困りませんが、そうなったときは啓蒙書をまとめたような内容になるしかなく、わざわざ自分が作る必要があるのかともいずれ悩んでしまいそうでした(あと参入者も多そう)。また動画そのもので満足されたら、わざわざ数学ラボについて知ってみよう・行ってみようとは思わないのではないかという懸念もあります。実際私自身ゲーム実況で満足して購入していないゲームのほうが多いわけですし。

雑学タイプの次によく見かけたのは問題解説でしょうか。再生数の少ないもの順で検索するとより多く出てくる印象でした。あと予備校講師や塾講師の方が作っているのを多く見ました。それゆえにどれも高校以前の数学の話題ばかりだったので、とくに参考にはならず。大学からの数学でも可能な形式なのかもしれませんが、イメージ通りあまり検索しても出てこなかったです。

その次が単元ごとなどの要点解説です。これは大学からの数学をテーマにしたものもありました。要点解説だけあってどれも結構原稿作りや演出など凝っている印象です。定期テストや偏差値を固定した受験の対策ならばまとめやすいそうだとは思いましたが、大学からの数学は数学科かどうかだけでもすごく試験の内容や到達目標が変わると思ったので、作るとしてもきちんと視聴者をある程度こちらで限定したうえで作る必要があるのかなと感じました。大学からの数学でまとめるにしても、数学科によってもカリキュラムは似てても進める速度とか違ったりします。なので自分の学生時代を振り返って作っても必ずしも大学からの数学を学びたい多くの人が喜ぶようなものは想像できなかったです。

学習指南、つまり勉強の仕方の解説のような動画もいくつか見かけました。たしかに個人レッスンで伝えているものでもあるので作れるかなと思いましたが、どういう層に向けて作るか考えたときに、これだけだと対象が狭すぎる(見てくれるかどうかは別として)と思いました。ただ大学からの数学の学び方で大学からの数学を使わずに話せる内容はかなり少ない、もしくは数学らしさが無いようなものしか思い浮かばなかったです。そうなると大学からの数学をある程度話題に出すしかなく、結局それならば最初から大学からの数学の話に入りつつ、学び方とかはメインではなくサブにしておけばよいと考えました。

上記すべてに当てはまらない動画も見つけました。その中でも多いのは勝手にエンタメ系と読んでいました。上記すべてが数学的な楽しさを含むとすれば、このタイプはその楽しさよりは非数学的な楽しさ(一般的な楽しさ)に比重を置いている印象。雑にいえば数学を扱っているだけで内容は普通のYouTuberと同じと言えます。雑学系と同じくらい間口が広いジャンルでもあるかと思います。ただこういった動画自体を日頃あまり見ないので、どのようなネタが受けるかのニーズが読めません。また私自身がそういったことをするのも苦手で、さらにそれをカメラに収めて一般公開するのはできそうになかったです。他にはvlogのような数学に関わる人の日常風景のようなものとか、投稿者のプロフィール・プライベートに関わるアンケートとか本の紹介とか色々なものがありました。このあたりになると数学であるかどうかよりもその人自身への興味を前提としているのかなと感じました。

単発系 or シリーズモノ?

これはどちらもで良かったです。とりあえず数学と一緒でまずは手探りでたくさん数をこなすしかないと思っていました。そうなると単発のほうが作りやすいのだろうか?それとも形式を固めてしまってシリーズモノにした方が経験値は上がるのだろうか?などなど色々と考えていました。

自分を映すかどうか

これは内容と合わせてかなり最後まで悩みました。どんな人が話しているかは非常に重要だと思います。その一方で数学を中心的なものとして伝えたいのならば自分の容姿はノイズにしかならないのではないか?(数学のやる気がでる容姿がどのようなものかは別として)などなど考えました。自分の容姿に自信がないというのは本音ですし、自分で自分の声を聴くのすら苦手だった自分にはそんな自分が写った映像の編集は難しかったです。普段個人レッスンの風景をSNSに挙げたりしていますが、最初は拒否感があったものの今では慣れました(マスク有なら)。なので今後慣れていけば自分が写っていようが、どんな自分でも胸張って一般公開できるかもしれませんが、少なくとも今は声だけから慣れていこうと思います。

字幕か声録音か読み上げソフトか

上の話題にもつながりますが、いろいろ見た中でもいろいろな収録方法がありました。一般的な話題ならともかく記号や数式が頻出する数学の動画で、字幕や読み上げソフトの使用は難しいとは思いませんが、編集の工数が増えるような気がしました。どちらも自身の声を編集中などで聴く必要がないという個人的メリットはありましたが、動画編集や投稿はあくまで私個人の専業的タスクではなく副業のような扱いに近いので、それになるべく工数を増やしたくないなと考えていました。ただ手間がかかるというイメージは昔動画編集について勉強していた時のイメージなので、AIも含めた技術進歩した今では数学を扱っていても字幕の挿入なり読み上げソフトなりを使用してももしかすると工数は変わらない、もしくはスラスラ読み上げられる原稿を作るよりは工数が少なっているのかもしれません。

コストパフォーマンスは?

数学ラボの運営を始めてから、数学が関わる活動はどれもこのスペースにも少なからず関わるものに変わりました。そして数学ラボには当たり前ですが維持費がかかります。つまりどんなことをするのか自由ではあるものの、金銭的な意味でそれなりの成果を上げなくてはいけません。動画制作が数学ラボの宣伝を目的としているならば、同じような意識を持たなくてはいけない(というより毎月家賃を払っていれば嫌でも考えてしまう)と思っていました。例えばYouTubeからの広告収入という形で毎月ある程度決まった金額が不労所得のように振り込まれるのであれば、スペース運営にとって価値のある活動だと思います。しかしたとえ数千円でも毎月振り込まれることは、数学を扱わなくても、つまりかなり間口を広げても、ハードルが高いと思っています。推測ですが数学系YouTuberで毎月数万以上の収入を得ている人はわずかではないかと思っています。

またネット有名人でもない自分がそのようなポジションに行くまでには良い動画をアップロードし続けてもかなりの時間がかかる、もしくは永遠にたどり着かない可能性が高いです。なので広告収入である程度のレベルに達することはかなり先の目標にして、まずは別の目標をもつべきと考えました。その中でスペース運営になるべく効果があり、かつ工数が抑えられるもの、もしくは工数がかかったとしても動画を見てもらう以上に価値のある何かを模索すべきではないかと考えていました。

個人レッスンの課題を解決する


あれこれ考えていた割には宣伝は副次的なものになり、まずは以下のような個人レッスンサービスの今ある課題を解決するものを作ろうと思いました。

専用教材がない

もう5年も個人レッスンにて大学からの数学の基礎として集合論と論理学を教えてきて、自分なりのカリキュラムが出来上がりました。もちろん集合論と論理学自体がどの大学数学科でも教える内容なので、まったくのオリジナルな内容はほとんどなく、いろんなテキストなどから自分なりに取捨選択したともとらえられるものです。ただ今知っているテキストたちの中で私とまったく同じ内容・進め方のテキストは存在しません。なので、自分が伝えたいことにフォーカスを当てているテキストや自分が使いたい記法に近いものを、予習復習用の補助教材として2冊ほど挙げて購入を勧めています。しかしレッスンで伝えたことと異なるて意義や説明の仕方をしている箇所に対して質問があったとき、レッスンの内容と合わせつつ説明をしなくてはならず、そんな議論が決して話題として不毛とはいいませんが、学び始めはなるべく1冊の本に集中してノイズを少なくした方が進めやすいではと考えていました。もちろんある程度体系的に学んだあとならば、同じ分野の色々なテキストを横断的に読むことには意味があると思っています。

演習・ゼミまで時間がかかる

大学からの数学の学習では、自分よりも経験・知識豊富な相手の証明を披露して、その証明が正しく書けているかどうか判断してもらうことが、つまり大学数学科において演習やゼミ活動で行われるようなものこそ、(自分が数学科出身だからかもしれませんが)何より大事だと思っています。なので大学からの数学を学びたいと通い始めたお客様には、最終的にゼミ活動ができるようになっていただくことを目標にしています。しかしゼミを始めるには、そもそもそれに必要な知識の習得と、ゼミ発表のお手本となるような私なりの証明のやり方をいくつか見せていく必要があります。つまり自分が数学において一番お客様と共有したいゼミ活動というものは準備にたくさんの時間がかかります。ゼミはスポーツでいうところの試合のようなものだと思っています。そうなると独学は自主練のようなものでしょうか。私だってスポーツをするならば練習も大事だとは思いつつも、試合にだってなるべく早く出たいと思います。そしてレッスンでは最初の無料面談やレッスン序盤において、ゼミ活動がなぜ大事なのか、そのために何が必要なのか、そしてこれから話したい数学がなぜそれらに対して大事なのかをお話しします。この話にどれだけ早く納得していただけるかはお客様の経験にある程度依存します。極端な例ですが数学科卒の人ならばこのような説明は省いても問題ないですし、ゼミはおろか大学で学んだことがない方ならば私が言っていることが単に私が思っているだけではないと多くの言葉で信用してもらわなくてはならず、そうすると有料のレッスンでもそのような話題が続いてしまいます。そしてこのような話は数学が関係しているものの、数学そのものというわけではありません。そのような話で料金をいただくのも相手に悪いので、なるべく早く終わらせられたらずっと考えていました。

話したいことが多すぎる

普段から話し始めたらたくさん話してしまうタイプで、かつこの記事を見てもらえば分かる通り文章を書くときにもそうなってしまいます。もちろん字数が決まっているものならばその範囲に要点をまとめて書きますが、こういった書きたいことをいくらでも書ける媒体では、ついついたくさん書いてしまいます。

そんな性格もありますが、自分が好きな数学が数学基礎論や公理的集合論なので、個人レッスンで扱う集合の話をしていても、それらにつながる話題がたくさんあって、それらについてついつい話したくなってしまいます。もちろん教養的には大事ですが本人が気になったら話せばいいかなとも思ってしまうものの、またそれとは別にこの分野についての話を人から聞ける機会も少ないので、単なるレッスン以上に付加価値を付けるならばそういった話も入れた方が良いのかなとも悩みつつ普段レッスンをしています。

数学ラジオという企画からスタート!


上記の課題を意識しつつ生まれた企画が《数学ラジオ》というものです。これはシリーズものの企画になっていて、その第1弾は個人レッスンにて大学からの数学を学びたいと訪れた方に最序盤から教える《数学の基礎》となりました。第1話でもいくつか紹介していますが、そこに含まれていない個人的にこだわったもの点を紹介します。

まず《専用教材がない》という課題に対して、この動画シリーズが映像教材にするつもりで作っています。また話したいことが抜けたりしないように、原稿を作り、それを見ながら収録することで対応しています。そしてその原稿は単なる手書きメモでなくTeXで作成してPDFとして出力しています。そんなPDFも配布すれば教材として活用してもらえると考えました。このPDFは動画内やSNSでは《配布ノート》と呼称しています。

《演習・ゼミまで時間がかかる》という課題に対しても、動画が充実していけばお客様が受けた先の話題を含む動画も公開されているはずなので、予習をしやすくなりますし、仮にその動画だけで納得・理解できたならば、その部分に関してはレッスンで省略することによって、より先に進めることができます。こうして演習やゼミまでの時間をいくらか短縮する効果が見込めます。

そして《話したいことが多すぎる》という課題も、話したいことがあることだけを伝えておいて、お客様がとくに気になれば動画やPDFを見ていただくことで情報を補足できます。またかなり雑学寄りなものについては配布ノートにて脚注と載せておくことで、私のなかでの重要度を伝えることができると思いました。さらに話したいことが増えたとしても配布ノートの方に追記し、その最新版を常に公開しておくようにすれば対応できます。

よって動画とその配布ノートが専用教材となってサービス向上につながると考えました。またこういったものがあるならばお客様の板書量が減ることでレッスンも進みやすくなり、きちんとタイプライティングされたものであれば復習にも役立つと思います。そしてこの配布ノートをベースの各お客様の進み具合を管理しておけば、話忘れや話題の順番の入れ替えなどなくても、つまり今まで以上にレッスンへの準備時間を減らし、かつ先の話題が配布ノートから分かるので各レッスンを各回どこまで進めるかの予定を立てやすくもなります。またあるお客様からいただいた初学者なりの質問とその答えを配布ノートへ反映しておくことで、他のお客様への先回りという形で対応できます。そうして動画制作やレッスンを進めるごとに教材としての質も上がっていくのではと考えました。

こうして動画やその原稿制作そのものにレッスンのサービス向上という目的が生まれました。
またこれらによって以前悩んでいた形式についてもある程度の答えがでました。

まず《自分を映すかどうか》については映さない方が良いと思いました。なぜならレッスンを受けている時点で対面によって私のことも知っているはずなので、わざわざ教材に私を映す必要はないと考えました。仮にお客様以外の方がレッスンや独学の参考に見たさいでも問題ないと考えました。

また私は字が綺麗な方ではないので、配布ノートの切り取りやパワポを使って伝えたいことを見せようと思いました。なのでホワイトボードの前で話すスタイルは候補から外れました。

ただ数学ラボや個人レッスンの雰囲気が分かるようにと、数学ラボと個人レッスンのCMを製作して、各パートの間に挿入することにしました。YouTubeの仕組みとして強制的に見せているわけではないので、見飽きたならばシークバーで飛ばすことができるのでそこまで不快でないと思っています。また概要欄に各パートのタイムスタンプを書いておくようにしたので、そこからもCMを見ずに見たいパートを見れるように配慮したつもりです。

数学ラジオ以外の動画に関しては必要があれば、企画として必要であれば、一般的なYouTuberのように私が映っていてもいいかなと思います。

また原稿作りに結構時間がかかると思ったので、動画編集作業はなるべくシンプルになるようにしなくては考えました。ホワイトボードの前で話すスタイルではなくなったので、もしPC画面に(TVのワイプのように)私を映すならば2つの動画ファイルを同時に編集する必要がありますが、それも今の自分には難しいので、ある意味自分を映さないのは決定になりました。

《字幕か声録音か読み上げソフトか》についても上の項目からおのずと声を収録することに決まりました。原稿を作ってそこからさらに字幕を入れたり読み上げソフトを使用するのはひと手間増えてしまいます。単純な日本語の文章ならまだしも数式などが混ざると処理に手間がかかると思いました。

《コスパ》についてもレッスンの効率化やレッスンの具体的な内容の紹介につながり、サービス向上にもつながれば大満足です。また宣伝にもつながると思いますし、実際動画を見た方で対面でのレッスンを申し込んでいただいた方も現れ始めたので、宣伝効果を感じています。

今後の目標

ほかのタイプの動画に着手する

作りやすさを重視したので数学ラジオシリーズは画面上の動きが少ない(それを自認して《ラジオ》と名付けている部分もあります)です。見飽きないように細かな編集を加えたいと思ってもいますが、まだ編集スキルも身についていません。なので数学ラジオほどの下準備が必要のない企画を考えて、その変わり編集を凝ったものを作り、編集スキルの習得に役立ちそうな動画を作ってみてもよいと思っています。すでに単発モノとしての企画アイデアも溜まっているので、作りやすそうなもの・反響が見込めそうなものから手を付けていきたいです。

数学の基礎編を完成させ、さらにリメイクする

長い数学経験から始めること・続けることの大事さは身に染みてます。数学ラジオの数学の基礎編は全何話になるのかまだ未定ですが、おそらく30話は余裕で超えるでしょう。
数学の基礎として話したいことを全て話し終えて動画にしたとき全何話になるか私も楽しみです。そのとき全話分の原稿も完成しているはずで、それらは個人レッスンにとっても非常に大事な財産になっているはずです(テキストとして売ってもいいかも)。そしてそのときには1つ上の目標から編集スキルも上がっていると予想します。なので今時点で気になっている・既に指摘されている箇所を修正しつつ、よりよい動画シリーズとしてリメイクして教材としてより良いものにしたいです。それと並行して数学の基礎を飛び越えた内容も同じ形式で作っていけたらと計画しています。

高校以前の数学がテーマの動画を作る

やはり高校以前の数学の方が需要が高いことは承知しています。また個人レッスンでも高校以前の数学の学び直しの依頼があります。高校以前の数学をどう教えればよいのか未だに悩んでいます。もしかすると高校以前の数学は(レベルには寄りますが)対面よりも、かなり丁寧で分かりやすい動画の方がお客様のためになるのではと思っています。なのである程度の動画編集能力や映像制作能力が身につけば、高校以前の数学をテーマとした動画にも着手していきたいと思います。

最後に

数学ラジオの投稿を始めるまででに考えていたことを振り返りながら書いていたら結構長くなってしまいました。その原因の1つとして書いたことがどのように受け取られるかと考えながら書くからですが、こういった数学ラジオとは違う純粋な数学コンテンツではないものは、まずはライブ配信などで質問など受け付けながら話してみて、そのアーカイブを文字起こししてまとめた方が効率は良い、もしくはアーカイブを見やすく編集してとくに文字起こしはしないといったやり方もあったのかなと思いました。動画や配信ならば今までのテキストベースのアウトプットとは異なる色々なやり方があると思うので、そういった技術をこれから動画製作活動で身につけていければと思っています。

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