大学からの数学学習に大事なのは国語力

はじめに

以前『数学系YouTuber始めてみた』という記事を書きました。その記事ではどういった考えでYouTubeチャンネルを作り、《数学ラジオ》という動画シリーズを製作し始めたか書きました。この記事執筆時点で第8話まで投稿しています⇒ 再生リスト
また2024年1月末よりライブ配信にも挑戦し始めて、2月2日には大人のための数学教室お客様との対談配信もやりました。普段どのような雰囲気でレッスンをしているのかの参考にしてください。
各話にて撮影前に原稿を作って、スライドを作り、その原稿を見ながら収録しています。その原稿はPDF化してGoogle Driveに配置して公開し、各話の概要欄にそのURLを載せるようにしています。それらを予習・復習用教材や動画視聴中の資料にしてもらえたらと考えたからです。その原稿を区切れが良いところでまとめて、このnoteアカウントにも載せてみようと思いました。

公開している原稿(配布ノート)には脚注などに追加情報を書いていたり、誤字脱字があれば常に更新していたりします。是非、動画や概要欄から入手できる原稿(配布ノート)もご覧いただければ嬉しいです。この原稿は第1話の息抜きパートのものです。

↓ここから動画の原稿↓

個人レッスンでは最初に無料で面談(ホームページではカッコつけてカウンセリングなんて書いてますが)をしていて、そこでどんな申し込み動機をお聞きしたり、レッスンの進め方についての事務的な話をしたりします。
その面談では「大人が大学からの数学を学ぶためにどんなもの(準備や能力、環境など)が必要ですか?」とよく聞かれます。
自分自身も含めて数学科の中で色んな学生・研究者を、そして個人レッスンでたくさんのお客様を見てきた中で、必要、もしくはあればあるほど学習が捗ると感じたものを、第1話の息抜きパートでは1つ紹介します。
ただし時間や精神的余裕などの数学だけでなく、他の趣味や活動にも共通するものは省きます。

今回紹介するものは国語力です。
意外かどうか分かりませんが、大学からの数学(大学からの他の学問もそうだと思いますが)では国語力は非常に重要で、なぜなら証明という営みが中心になっていくからです。
そしてその営みの目的は、証明を披露した相手にこちらの証明が正しいと納得してもらわなければならず、そのためには日本語をキチンと運用できなくてはいけないからです。
ただ数学の証明において使う言葉はある程度限られていて、感情を揺さぶるような詩的文章を書く必要もない(むしろ書かない方がよいと思っています)ので、国語力といっても国語や現代文の学力テストや入試に求められるような、漢字の知識量であったり四字熟語などの語彙力はそこまで必要ありません。学生時代に「まったく勉強しなくても現代文の読解問題は点が取れた」なんて方であれば、大学からの数学にはかなり向いていると思います。

国語教育の専門家ではないのであくまで個人的な感想レベルの話ですが、文章読解能力は本を読んだ量にある程度影響を受けると思うので、テストでの得点は別として普段からの読書量が多い方も向いているかもしれません。
ただし読書量とはいっても私は小説であれ漫画であれ気に入ったものを何度も読むタイプなので、読んだことのある作品の数はめちゃくちゃ少ないです。なので個人的な経験から読書量と多読量は別なのかもとも思っています。
何より数学書という本に長い時間向き合わなければいけない以上、本を読む・活字を目で追いかけることへの苦手意識はなければないほど有利です。その証拠に普段からよく本を読むお客様は数学の上達が早い印象があります。

さらに読む力だけでなく書く力も大学からの数学には必要です。なので読書はそんなにしなくても、仕事の中でたくさんのメールのやりとりをしたり、多くの人が読むことを意識した文章を書く機会が多いお客様も、上達が早い印象があります。
また仕事でなくても今の時代ならブログやSNSなどである程度の長文をよく書く人も当てはまるかもしれません。私自身修士課程終了後一度は会社勤めをしたことがありますが、ドキュメントを書く機会が多かったので、分かりやすさ・伝わりやすさを意識して書く経験によって、数学を学ぶ能力はさらに上がったと思っています。
そしてホームページやイベント告知ページを作ったりと、数学ラボを開く前後で文章を書く機会も増えたので、それらの経験から今の自分の数学力があると思います。

よって今時点で数学に苦手意識があったとしても、普段から読んだり書いたりしたりして、日本語に触れる機会が多いければ多いほど、大学からの数学への有利になり、より楽しめると思います。

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