HSPを理解する助けになる本【基本・中級・上級編】
こんにちは。HSPサステナワークプログラム「そういう個と。」編集チームです。
HSPのことをもっとよく知りたいので本を紹介してください、と言う方向けにHSPの基本的特性について知るための本をご紹介いたします。
基礎編
①ご存知アーロン博士のこのHSP学説発表の一番最初の本です。
HSPという世界的なムーブメントは1996年に出版されたこの一冊の本からはじまりました。
一昨年まで『ささいなことにも動揺してしまうあなたへ』というタイトルででていましたが、25周年エディションとしてアーロン博士ご自身によって加筆された本です。
100万部以上売れていて、世界で30数カ国語の言語に翻訳されています。
正しいHSPの知識にアプローチしたいすべての方に、まずはおすすめしたい本です。
②日本の精神科医でHSPの権威・長沼睦雄先生の本
長沼先生ご自身がHSPでいらっしゃいます。
温厚な先生にはとってもたくさんのファンがいて、北海道の診察室はいつも混んでいるようです。2019,2020年夏にNHKでHSCちゃんの特集がありましたが(「敏感くんの夏」)、長沼先生が監修・出演をされていました。
トラウマ治療などにも造詣が深く、わたしも5〜6回講座に参加させていただいています。
こちらは先生の最新本・極度の疲労には脳の炎症が関わっているという知見が載っています。「疲れすぎ!」と思う方はご一読をお勧めします。
③心理学者で関西大学教授 串崎真志先生の本
串崎先生は若者の支援にも力をいれておられ、いつもその暖かい眼差しにほっとします。
こちらもどうぞ 大阪の寺子屋ヒュッゲ
④デンマークのイルセ・サン女史(心理学者)による日本でもよく売れているHSP本。
2019年8月にデンマークでお会いすることができました。とっても素敵な内向的な女性でした。心理カウンセラーであり、心理学者さんです。
細やかな息遣いにあふれ、牧師さんでもあるイルセ・サン女史は、HSPであってHSS(刺激追求型)ではない、もっとも内向的な方です。
HSSがかけあわせになっている方は、ちょっと違うタイプだなと思われるかもしれません。
上記の第2弾。人の心理の深いところに触れたものすごくいい著作だと思います。
⑤HSPに関して直接書いてある本ではないのですが
愛着障害によって過敏さや傷つきやすさが倍増している人を扱った精神科医・岡田尊司先生の本。
この本はとても重要な本です。
HSPの敏感さの表出は、生まれつきの神経系によってだけつくられるものではない、後天的な影響も50%あるというのはアーロン博士も触れているところですが、
HSP的感覚過敏や敏感さは、後天的な愛着障害に助長されていることがとてもとても多いです。
参考記事:HSPの敏感性の2重構造について
⑥HSCの子どもを持つ親のための本
アーロン博士が上記の「ささいなことにも動揺してしまうあなたへ」の次に発表した HSCの本。大人が読んでも発達段階や育ちのメカニズムがよくわかります。
⑦上記「ひといちばい敏感な子」の訳者でいらっしゃり、日本でHSP/HSCのご相談が集中する臨床家 富山の精神科医・明橋大二先生
明橋先生は、ご自身はHSPではないとおっしゃっていました。
でも奥様がHSPなので飲み会から帰ってくると、今日は天ぷらだったのか、居酒屋だったのか当てられるほどの嗅覚を持っている、とか(笑)
HSPでない人にとって、こういう言い方をしてもらえるとわかりやすい、ということを端的に示してくださってありがたいです。
学校の先生やHSCの子供をとりまくおとなが「じゃあ、どうすればいいの?」という疑問を持つときに、とても参考になる本です。19章は著作権フリーにしてありますよ、とおっしゃっていました。
⑧長沼睦雄先生のHSCのための本
10代むけにはこちら
⑨武田友紀さんの「繊細さんシリーズ」が、日本で繊細さんを広めてくださった功績はほんとうにすごいですね!感謝の気持ちでいっぱいです。
そしてこの本は最近もっとも感動した本でした。↓↓↓
この本がすごかった!!と友紀さんにメールを送ったら、
「エッセイがこんなに骨が折れるものだとは知らなかったわ」
と軽やかにおっしゃっていました。
繊細な人が、自分の心のなかのやわらかいところを世の中に出していくってどれほどの落ち着き力と幸せ力が必要かを思います。すごい💖
⑩共感性のHSPを軽やかに楽しく理解したい!という方に。マンガで理解をどうぞ!
⑪HSPとのまたは非HSPのパートなシップを考える方へ アーロン博士の言葉はまこと深いです。
夫のアーサーアーロン博士はパートナーシップの世界的心理学者であります。
⑫ご自身がHSPである親のあなたへ
この本はすごいですよ!と長沼先生におすすめいただいた本です。
世界の論文ヲタクである著者が贈る、「最高の体調」とはなにか。
あのDaiGoさんが日本で1番尊敬する人、という推薦文でした。
このなかでは不安は炎症につながることを科学的に記しています。
HSPでなくてもだけど、人間の神経安心が大事💖
【番外編1】
HSPさんのなかにはマルチタスクを得意とするマルチポテンシャライト と呼ばれる方たちがいます。
「マルチ・ポテンシャライト」という本をご紹介します。
こちらはHSPのための本では全くないのですが、
「これまでひとつのことを続けられなかった」
「つぎつぎと違う職を転々としてきて」
「いつもまわりにまた変えたの?」
「次は何がはじまったの?」
「いくつの人生を生きるの?」
などと言われて傷ついてきた人向けの本です。
「ずっと長く、ひとつのことを、根性で」というのは
日本古来の価値観かもしれません。そうじゃない働き方があってもいいのじゃないか。そうじゃない、エネルギーの人がいるよ、ということを軽やかに理論だててある本です。
HSPの働きか方としてとても参考になる、次世代の働き方が具体的にのっています。
著者・エミリーワプニックさんはHSPを公言しておられ、TED再生780万回だそうです。
参考:「天職が見つからない人がいるのは、どうしてでしょう。」
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【番外編2】
敬愛する大好きなお坊さん松本紹圭さん。
(超仏教ラブです)
こちらのこころのお掃除1日1掃:人生の風通しがよくなる42のヒントは「繊細さんたちにも向けて」書かれたとおっしゃっていました。
仏教の言葉が使われていますが、それは神経系や心理の話にも直結していていつも道標になります。
暮らしから、身体と心を整えていく。それは日常からはじまるマインドフルネスです。自分に気づいていく、自分のあり方がととのっていくことを実感するには、丁寧な日常が必要ですね。
【番外編3】
韓国のクルベウさんの著作で、HSPを謳っていませんが、
どうしてもここに入れたくて入れます。
「ひとりでつらいときに読みたい本」「癒しをくれて、自尊心を高めてくれる」」
など読者から絶賛・共感の嵐!韓国国内著者累計55万部突破! 「BTSおすすめの作家」としてSNSで超話題の著者、日本初上陸!
HSP HSCを理解する助けになる本 【中・上級編】HSP支援者向き
こちらではHSPを支援する方向けの本をご紹介します。
HSPは敏感な神経系を「生まれつき」持っていますが
そこが問題として表出することは、イコールではありません。
アーロン博士は、敏感と不安や恐怖が同じではないことを
繰り返し説いています。
「生きづらい」HSPを支援するには
この HSPさんの心理的2階建問題を正確に理解することが必要だと
わたしは常々考えています。
このことに関しては心理学者で関西大学の串崎真志先生も
繊細な心の科学のなかで言及されています。
仕事において 一歩がでない、なかなか取りかかれないという訴えをとても
よく伺います。
そこには過去の生育環境などの困難に起因する『防衛反応』『防衛適応』がからんでいることが多いです。
もちろんご本人の行動の根っこにある
「神経反応」の部分が、どのくらい身体的問題であるのかという大きさにもよりますが
無意識に大きな成長過程での問題をかかえている方に
いいからとにかく行動しましょう!
大丈夫だよ!
気にしなくていい!
のようなアドバイスは
HSPさんの人生を、さらに生きづらい、糸が絡まった状態に追いやることがあります。
(生きづらさを根本解決するのではなくて、生きづらさにフタをしてさらに頑張ることにつながるから。。)
ご本人には人生のタイミングというものもありますので心の深淵に向き合うタイミングなのかどうかも見極める必要がありますよね!
HSPさんの支援をする方向けに
HSPの神経系を理解するには『ポリヴェーガル理論』は
不可欠ではないでしょうか。
神経系の特性を持つHSPの神経系の防衛ふるまいを、きちんと理解するための学びとして以下の本をまとめました。
中級編
HSPさんはそのマイノリティがゆえに、愛着の形成につまづきがあった方がほとんどです。
岡田先生のこの本もHSPにとってとても重要な本です。ぜひご一読を。
ポリヴェーガル理論の基礎がわかりやすく書かれています。
そして浅井先生が翻訳としても参画されている次の本も、HSPに必要な神経の調整力について書かれていて重要な本です。
神経セラピストである浅井先生の、神経ワーク集。
てっとりばやく日常でどうすれば安心の神経系を手に入れられるのか、と思っている方へ。身体から安心スイッチを入れることは可能です。
ヨガの先生でもある津田先生のポリヴェーガル理論解説。すごい本です!
神経状態が今どうあるのかをマッピングする技法が載っています。心理カウンセラーの方にもとてもおすすめできます。
上級編 専門技能の支援者さん向け
副交感神経には2種類あった!哺乳類としての社会神経(つながりの神経)の存在を示した衝撃の理論がポリヴェーガル理論でした。現在まだ医学会はこの理論を採用するかどうかで揺れているというほどの学説です。
人間にとってのトラウマとは本人にとって苦しい場合もありますが(フラッシュバックが起こるなどの単回性トラウマの場合)意識にのぼらないかすり傷の集合体のような発達性トラウマもあります。
その人の命を守るための
その方をそれ以上傷つけないようにするための
芸術系なサバイバル手段です。
HSPさんはその高度な環境感受性により
まわりの人が「平気で」通り過ぎるようなことでも深刻なトラウマ神経状態を引き起こしている、というようなことはよくあることです。
ひどい身体的虐待を受けたのではない
親も一生懸命愛情をかけてくれていた
けれどもその方向性が本人にとって理解不能なものであったり、
他の人が気にならないが本人にとっては不安にい続ける原因になるような親の言動も、
社会的な恥や罪悪感の概念も
原因となりえます。
そのサバイバル手段が単回性のショックトラウマの方向なのか
不安的な愛着による解離を伴う防衛適応方向なのか
その両方なのか
支援者はしなやかに見極めて支援の手段や方向を決めていく必要があります。
下記の浅井先生の本は支援者への大きな示唆があり、すごい本です。
扁桃体の働きが強く、すぐに不安要素を察知してしまうHSPさん。
けれども本来は神経系の特性ならば「敏感さ」は出ますが「いきづらさ」は生まれません。
HSPでありながら、実際なんの不都合も感じていない人はたくさんいます。
HSPさんの過度な不安に対処していくには神経系の専門知識があるととてもラクです。心として掴みにくくても、身体はなにかしらの反応を起こしているからです。
神経生物学としてHSPを見ていくと、これまでは謎だったことがすべて明らかになってきます。
まあ、だいじょうぶでしょ〜〜〜という
楽観的な心の境地でいることが
本来の人間の健康的なレジリエンスがある状態、と言えます。
神経がレジリエンス(自己調整能力)を持つ、
「安心を手に入れる」というテーマが
HSPさんが生きづらさを克服する本当のゴールとも言えるでしょう。
外界要因に影響を受けて幸せになるのではなく
自分の内的から安心を生み出すようになれるということ。
平たく言えば
上機嫌で
楽観的に
生きられるようになること。
そして同時に
「その方がどんな個性をもっているのか」をいつも観察していきたいと思います。
自分の過去を愛しい目で眺め直す「癒しの過程」と
自分の強みを明らかにしていく「促進の過程」を両輪で進める方法論が
今のところベストな方法ではないかとわたしは現場で感じています。
どんなに困難な幼少期であっても(と感じていても)
神経には可塑性があります。
いつからでも
何歳からでも
ラクに生きられる感覚は
手に入れられる!ということです💖
神経のレジリエンス(自己調整力)を手に入れたHSPさんは
本当に、世界をかえる力があります。