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非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス

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転換性障害

転換性障害とは、かつて「ヒステリー」と呼ばれていたもので、ストレスや葛藤を「身体症状」として経験(転換)するものです。無意識かつ非意図的に筋力低下、歩行障害、感覚鈍麻などの多彩な症状が出現しますが、これらの症状の出現によりストレスや葛藤が軽減するという「疾病利得」があると言われています。

心因性の振戦の鑑別①

心因性の振戦は、女性に突然発症することが多く、また利き手に起りやすいが、指先・舌には認められることが少なく、前腕に多いことが特徴と報告されています。
心因性の振戦の診断には、気をそらせる「distraction」、他の運動が振戦に同調する「entrainment」、暗示をかけることで振戦を誘発する「suggestibility」が重要となります。

Christopher Kenney, et a

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心因性の振戦の鑑別②

心因性の振戦では振戦している部位(おもに上肢)を気にして見ていることが多い。振戦している部位に視線を向けている時間の方が長ければ心因性、視線を向けている時間が短ければ器質性疾患を考えます。

Daniel van Poppelen, et al. Attention to self in psychogenic tremor. Mov Disord. 2011 Dec;26(14):2575-6.

精神疾患と器質的精神疾患の鑑別①「消去現象」

(精神疾患と器質的な精神疾患の鑑別に場面において)消去現象とは片側ずつ刺激すると適切に反応するのに、両側を同時に刺激すると片方に気づかない徴候を言います。消去現象の確認には、閉眼してもらった状態で頬と手を同時に触れることを10回繰り返します。刺激部位2カ所を6回以上正答できなければ器質的な精神疾患*を疑います。

* 中毒(7例)、器質性パーソナリィ障害(3例)、器質性気分障害(2例)、認知症(2

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器質的疾患かパーソナリティ障害か?

器質的疾患かパーソナリティ障害か?

「易怒性」や「反社会性」が認められた場合で、眉間叩打反射、手掌オトガイ反射、把握反射、口尖らせ反射のうち3つ以上があれば器質的疾患を強く疑う必要性がある。逆に、それらの反射が1つもなければ器質的疾患よりもパーソナリティ障害の可能性が高いと推測できる。

S Di Legge, V Di Piero, M Altieri, E Vicenzini, D Tombari, F Di Stani, G

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