Soichiro Kaneko

鍼灸大学に勤務する鍼灸師です。臨床家1人で収集できる情報には限界があります。臨床におい…

Soichiro Kaneko

鍼灸大学に勤務する鍼灸師です。臨床家1人で収集できる情報には限界があります。臨床において「こんな症状があったら、こんな疾患・こんな原因を疑っておこう」、、、臨床家の皆さんが自然に行なっていることを、東洋医学、西洋医学の垣根なく情報共有できたらな、と思い、このnoteを作りました。

マガジン

  • 非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス

  • 臨床研究デザイン道場

最近の記事

転換性障害

転換性障害とは、かつて「ヒステリー」と呼ばれていたもので、ストレスや葛藤を「身体症状」として経験(転換)するものです。無意識かつ非意図的に筋力低下、歩行障害、感覚鈍麻などの多彩な症状が出現しますが、これらの症状の出現によりストレスや葛藤が軽減するという「疾病利得」があると言われています。

    • Centorの診断基準(A群溶連菌性咽頭炎の判断基準)

      38℃以上の発熱     +1 咳嗽がない       +1 前頸部リンパ節腫脹•圧痛 +1 扁桃の腫脹•浸出物    +1 年齢<15歳       +1 年齢≧45歳       −1 ・4点以上ならすべてに抗菌薬治療開始 ・1点以下ならばストレップテストなしに抗菌薬治療無し ・2もしくは3点ならばストレップテストを行い(+)ならば抗菌薬開始 溶連菌抗原迅速キットで陽性となる確率 0点:2〜3% 1点:4〜6% 2点:10〜12% 3点:27〜28% 4点:38〜

      • 感度?特異度?

        感度?特異度?と聞くだけでアレルギー反応を起こしてしまう人も少なく無いと思います。もうこれは何度も聞いてなれているしかありませんね。いろんな先生方がわかりやすい例を挙げてくれているのでそちらも参考にしてもらいながら。 感度の高い検査は、ある疾患の患者に対して「その検査」が陰性である確率は極めて低い、、つまり疾患の除外に用います。 特異度の高い検査は、ある疾患に罹っていない患者に対して「その検査」が陽性である確率は極めて低い、、つまり疾患の確定に用いる。 宮本雄気. 肺炎

        • 疾病頻度の指標

          曝露要因と疾病との関連を明らかにするためには、人口集団から発生する疾病の頻度を測定することが基本になる。最も一般的な疾病頻度の指標は、罹患率 (incidence)、死亡率(mortality)、および有病率(prevalence)である。 罹患率と死亡率 罹患率と死亡率は、以下のように表される。 罹患率 =集団から一定期間に新たに発生する患者の数/集団の観察人年 死亡率 =集団から一定期間に発生する死亡者の数/集団の観察人年 観察人年(person-years)は、

        転換性障害

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        • 非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス
          5本
        • 臨床研究デザイン道場
          1本

        記事

          心因性の振戦の鑑別①

          心因性の振戦は、女性に突然発症することが多く、また利き手に起りやすいが、指先・舌には認められることが少なく、前腕に多いことが特徴と報告されています。 心因性の振戦の診断には、気をそらせる「distraction」、他の運動が振戦に同調する「entrainment」、暗示をかけることで振戦を誘発する「suggestibility」が重要となります。 Christopher Kenney, et al. Distinguishing psychogenic and essent

          心因性の振戦の鑑別①

          心因性の振戦の鑑別②

          心因性の振戦では振戦している部位(おもに上肢)を気にして見ていることが多い。振戦している部位に視線を向けている時間の方が長ければ心因性、視線を向けている時間が短ければ器質性疾患を考えます。 Daniel van Poppelen, et al. Attention to self in psychogenic tremor. Mov Disord. 2011 Dec;26(14):2575-6.

          心因性の振戦の鑑別②

          精神疾患と器質的精神疾患の鑑別①「消去現象」

          (精神疾患と器質的な精神疾患の鑑別に場面において)消去現象とは片側ずつ刺激すると適切に反応するのに、両側を同時に刺激すると片方に気づかない徴候を言います。消去現象の確認には、閉眼してもらった状態で頬と手を同時に触れることを10回繰り返します。刺激部位2カ所を6回以上正答できなければ器質的な精神疾患*を疑います。 * 中毒(7例)、器質性パーソナリィ障害(3例)、器質性気分障害(2例)、認知症(2例)、アルコールせん妄(1例) S B Patten, C J Lamarre

          精神疾患と器質的精神疾患の鑑別①「消去現象」

          器質的疾患かパーソナリティ障害か?

          「易怒性」や「反社会性」が認められた場合で、眉間叩打反射、手掌オトガイ反射、把握反射、口尖らせ反射のうち3つ以上があれば器質的疾患を強く疑う必要性がある。逆に、それらの反射が1つもなければ器質的疾患よりもパーソナリティ障害の可能性が高いと推測できる。 S Di Legge, V Di Piero, M Altieri, E Vicenzini, D Tombari, F Di Stani, G L Lenzi. Usefulness of primitive reflexe

          器質的疾患かパーソナリティ障害か?