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Permacultureの文脈と世界観‐UNITED

パーマカルチャーの文脈1,Permanent-agriculture

パーマカルチャーは、持続可能な暮らしを作る、デザインの手法です。人間の暮らしから自然環境までを全体的にデザインするという考え方は、ようやく環境ということが言われ始めた1970年代、かなり画期的だったのです。自然環境を人が暮らすことによって、豊かにする方法がいろいろ試みられ、アグロフォレストリーの手法が発展してきました。荒れた土地に森が再生し、野生動物が戻ってきて、温暖化防止にも寄与できるような暮らし方です。それは、人間が暮らすうえでの水、燃料、食料、家、家畜、森を組み合わせた、自給自足的な暮らし方のイメージがあり、そのため、permanentとagricultureの造語として名付けられ、構想されました。

パーマカルチャーの文脈2,permanent-culture

一方で、時がたち現代、地方都市や田舎などのちょっと自由にできる土地や土、自然がある郊外では、そこまで大規模な土地がなく、人々や自然環境が抱える課題も違う文脈になってきます。人々が、それぞれ何かの生産者になり、その中でつながりが生まれれば、自分たちのコミュニティみんなの生活が大きなシステムに依存しなくなって、生活のコストが下がり、自律して、災害や強い、いわゆるレジリエンスがあるコミュニティとなります。自給自足ではなく、コミュニティ全体で豊かな生活を自分たちの手でつくるという、持続可能な農法以上のもの、permanent-cultureとして、人々の暮らし方まで扱うものという文脈で語られるようになってきました。

パーマカルチャーの大事にしていること

パーマカルチャーはデザインの手法ですが、手法それ自体はどのような目的でも使えます。現代の科学がそうですが、意図せずに、自然環境のことを気にしないものになってしまう、お金をたくさんかけて安直に作る、自分自身がつらい思いをする、ほかの人が悲しい思いをするものになってしまうこともあります。デザインの手法、手段だけが存在すればいいのではなく、思想や指針が必要となります。それをパーマカルチャーのEthicsと呼んでいてEarth Care, People care, Fair Shareの3つが存在しています。まず地球を大事にしたい、そして地球のために自分自身も、人も犠牲になるのではなくケアをしたい、そして公平で平和な世界をみんなと分かち合いたいという、願いがあります。日本語で倫理というと難しいかもしれませんが、悩んだとき、道がわからなくなったとき、問題が発生した時にそこに立ち返って指針を確かめる憲法のようなものです。


パーマカルチャーの12個のプリンシプルから見る世界観

次に、倫理が示している目的に進むために、どう物事を見て、考えて、デザインすればいいかを、具体的に教えてくれるのが、プリンシプルです。

自然環境を相手にするときに、その複雑さを単純に考えて行う軽率な行動よりも、思慮深いものの見方が必要といわれます。畑から地球環境までのスケールで、たくさんの要素が相互作用を起こしているというものの見方をします。土のかけらの中にも目に見えないぐらいのものすごい量の生き物が、それぞれの都合で動いており、自然環境を扱う上で事象を一つ切り出して、コントロールできるものではないのではないということをまず自覚します。人間も自然と相互作用の中でいきているため、自然と対決するというよりも、自然と共に働き、変化するという視点で物事をみることも必要になります。
-----Principle1Observe and Interact

次に、地球はたくさんの資源や食料、魚などの実りを生み出す、有機体の生命が織りなす、大きなシステムがあります。無駄なものは生まれず、有機物の中では死骸からフンまでがすべて利用させつくす、営みが実は行われているのです。そこには生態系の輪があり、生物が生きていける豊かさがあり、私たちも歴史の中でその実りを手に入れ、生きて、発展してきた存在です。当たり前ですが、その輪から外れては生存することすらできません。一方で、人間中心の際限のない欲望と影響力は地球環境を不可逆的に変化させてしまう力も持っています。そのためその力や行動に制限を設けることは必要になります。そして、相互作用の結果として、介入している環境からの生き物や気候、収穫などの変化を私たちの行動のフィードバックとしてとらえ、それを受け入れ、私たちも変化して応えるという考え方も必要になってきます。
----- Principle 3 Obtain the yield /Principle4 Apply self-regulation and accept feedback/

そのために、私たちのやり方として、つながりの輪から外れ、活かし方を見いだせない存在、ごみの出ないシステムを作ることが重要です。大きくて速いこと解決策だけを追求するのではなく、小さく始めることや、スローな解決策を選ぼうという発想に、価値を見出してゆきます。また、思い込みや規格に合わせる安直なやり方ではなく、構造やパターンを見出し、決めてから、細部をデザインしてゆくということが必要になります。
----- Principle7Desing from pattern to detail/ Principle9 Use small and slow solution, /Principle6, Produce no waste

このような考え方のもと、地球の命の営みをエネルギーや資源としてもう一度とらえ直します。まず、人間が獲得してうまく使えるようにしないと流れて行ってしまうような物理法則の位置エネルギーや、風、光、熱エネルギー、水などがあります。
次に、再生可能な資源、生物が作り出す、木や土、食料などの資源が存在します。また、人や動物の行動は、それぞれが利己的に好き勝手に生きているものでも、適切な配置やつながりがあれば、資源となるヒントになります。
-----Principle 2 Catch and store energy, Principle/5 use and value renewable resource and Services

また、具体的なものではなく、概念として、多様性とエッジ、境界の価値と力に着目します。多様なものがバラバラに存在することを目的とするのではなく、多様性の力を見出すことにこそ意味があります。境界部分や見捨てられたような場所やものの中にも価値があります。
-----10Use and value diversity, /11Use edges and Value the marginal

そのためにバラバラではなく、活かしあうつながりをつくる、適切なものの配置を考える全体的なデザインを作ることこそが、パーマカルチャーの基本であり、核心でもあります。
-----Principle8 Integrate rather than segregate

そして、自然も社会も変化してゆきます。この変化に対して、ただ反対する、誰かに任せる、何もできないというのではなく、外圧や環境の変化、気候変動や経済の不安定さを自分事として、自分たちの手でアイデアや、創造性をもって対処しようということがベースの考え方となってゆきます。
-----Principle 12Creativity use, respond to the change

ここに書いたものは、パーマカルチャーの創始者のビルモリソン、デイビットホルムグレンがいるうちの、デイビットホルムグレンの倫理とプリンシプルを使って、パーマカルチャーの外観をなぞるために書いたものです。

それぞれのプリンシプルの背景や哲学については、ホルムグレンのPERMACULTURE-principle&Pathways Beyond Sustainabilityを読んでください。小冊子としてEccence of Permcultureに、サマリーとして編集されているものや、ビデオもあります。

これらのプリンシプルをそれぞれのデザインや事例に、ハッシュタグのようにして使っているのが、PIP-permaculture magazineRETROSUBERBIAです。また、オーストラリアのデザインコースを受けた人が書いた図はこちらから見られます。アーティストの人で歌にしている人もなっています。

これらの原則を使ったデザインのプロセスや具体的なやり方については、たくさんの実践例や、いろいろな事業者の人が行っている72時間のパーマカルチャーデザインコースで学ぶことができます。UNITEDでもデザインコースやワークショップ、デザインやプログラムの伴走、読書会を企画しようと思っているので、お気軽にご連絡ください。記事に対する感想やコメントフィードバックも是非してください。

フリーランス、専業で活動していますが、パーマカルチャーの記事、書き物等、基本的に無料で公開しています。仕事に充てられる時間を削って執筆しているので、もし、活動に心を動かされた方がいたら、1000円から7000円のスケール型のドネーションでご支援いただけたらとても嬉しいです。