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持続可能性なシステムのデザイン


1,持続可能性について。
持続可能な開発の定義を引用するのでそのイメージをまずみましょう。「将来世代のニーズを満たしつつ、現役世代のニーズにも応える」ですね。「開発」という言葉があるので、分かりづらいかもしれませんが、人間がこの地球上で起こすべきアクションという形で開発をとらえて下さい。


人間が起こすアクションに関係ない持続可能性なシステムもあります。それは、人間が関与しない生態系のなかで安定的に保たれています。例えば、南極の分厚い氷の下にある湖の藻類とコケの生態系なんかは、人間が関与していないし、これからも持続するようなものです。

それに関しては、私たち人間は何をするべきなのかというところとずれるので、「持続可能なアクション」の定義をつかむことでことにしましょう。その将来世代、現役世代のニーズってなに?というところはぜひSDGsを読んでください。


2,持続可能なシステムって何でしょう。
自然界のシステムは、先ほど例を挙げた閉ざされた生態系を含み、持続可能なシステムが機能しているといえます。自然界の根本原理は弱肉強食なので、逆に言えば持続可能でないシステムは、食われ、滅ぶといってもいいかもしれません。進化の過程でどれぐらい持続していたかは違いますが、どれも持続的なシステムが作られてきたから生存競争に勝ち、残っている生命によって地球は構成されています。

そのような地球環境の中で、人間の社会や暮らしは、持続可能なシステムであるのかどうか、というところが問われています。私たちの衣食住の日々のニーズを支えるシステムが、持続可能なのかそうでないのか、問われています。

それは昔がよかったという単純な話ではなく、多くの文明が森を切り開き、文明のある場所が砂漠化したことや、イースター島が森を切り開いて滅んだこと、日本でも江戸時代中期にはげ山ばかりになってしまい、木を切る厳しい法律を作ったことなどから、歴史の中でも持続可能なシステムを組めて暮らしを成り立たせていない失敗例も見出せます。『緑の世界史』という本に詳しく書かれているので、持続可能なシステムを考える上でぜひご一読下さい。

旧バージョン日本語訳
クライブ・ポンティング、『緑の世界史』、朝日選書、1994
2007年版ニューエディション英語原文
Clive Ponting, A New Green History Of The World: The Environment and the Collapse of Great Civilizations, Vintage, 2007


3,持続可能なシステムのデザイン
暮らしのシステム、地域のシステムなどどうやってデザインしたらいいんでしょう。それは、自然界のシステムに逆らわない真似をすること、また様々な形で何万年、何千年続けられてきた人間の文化や暮らしのシステムを参考にしたらいいのではないでしょうか。

持続可能なシステムのデザインを考える上で、過去はよかった、というのは成り立たないのはここで自明なのではないでしょうか。人口の規模やテクノロジー、変化する気候や生態系がある限り、持続可能なシステムのデザインも変化していかなければなりません。

例えば、アボリジニやインディアンの暮らし、日本の江戸時代後期の暮らしがあるのだから、それをそのままマネするデザインが持続可能なシステムのデザインなんじゃないかと思われるかもしれませんが、そこに戻るのは難しいでしょう。物事は不可塑に進んでいますし、一番それがわかりやすい問題は人口です。地球上の人口は増えていて、単純に昔の生活様式を取り戻しても、その恵みをみんなでわけても昔の生活水準とはならないのは、自明のことでしょう。

ここで、少数の人がトップダウンでこのデザインを考えると、人権を無視して自分たちの暮らしが良ければよいというデザインで持続可能なシステムのデザインが作られてしまうかもしれません。

またそれは、ミャンマーをはじめ世界各地で今まさにおこっているように、人権や平等や平和や民主主義など、近代という時代を経て、地球環境に様々な弊害をもたらしつつも、パンドラの箱の底に残る希望のように多くの血を流しながら人類が獲得した、人間性の理念というものをないがしろにするものかもしれません。

ここで、持続可能なシステムのデザインに個人や地域で人々が自らの手で持続可能なシステムを作るためのデザイン体系が必要ということが論じられたと思います。みんなで、グラスルーツで、これを作っていかなければならないということです。


4、個人や地域で人々が自らの手で持続可能なシステムを作るためのデザイン体系

まず、個人についてみると、自分の暮らしがあると思います。地域という風に見ると、地域の人たちが集える場所や、地域の人たちのニーズをかなえるものなどがあるでしょう。今まで、私たちの暮らしや地域は、自分のこと以外の責任を免除されている消費社会に住んでいたため、サービスとして消費できるようなシステムとして存立していました。

それを、持続可能なシステムに、自分たちの手で作り変えるときに役に立つデザインがパーマカルチャーといえると思います。大規模な共同体での実験は、インドのオーロビルなどがありますが、スケールが大きいので持続可能なシステムのデザインは国家や地方都市にも有効かもしれませんが、まだ事例はそこまでたまっていないように思います。

それが経験を伴った実践が積み重ねられているという点において、個人や地域のスケールでの事例やノウハウがあり、それが企業や行政に波及していくことによって、持続可能なシステムが作られていくのではないでしょうか。

UNITEDでは、持続可能性をこのように考えています。もっとかみ砕いてこの話を聞きたい、SDGsのワークショップをやりたい、実践の場が見たい、企業として何ができるか考えたい、パーマカルチャーについて学びたいということがあればご連絡ください。


フリーランス、専業で活動していますが、パーマカルチャーの記事、書き物等、基本的に無料で公開しています。仕事に充てられる時間を削って執筆しているので、もし、活動に心を動かされた方がいたら、1000円から7000円のスケール型のドネーションでご支援いただけたらとても嬉しいです。