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第一章【RetroSuberbia読書会1回】


Retro Suburbia1章-イントロダクションを読んで、印象に残ったのは、パーマカルチャー は、cleanslate(真っ白な画用紙)にデザインを書くものとして作られていたということです。僕が疑問だったのは、なぜ今になって、RetroSuberbiaという新しいコンセプトで、パーマカルチャーを語り直すのかということでしたが、これを読んで、なるほどと、思いました。

パーマカルチャーは、狭く区切っていうと、「デザインのためのシステム」として発展してきたと理解しています。特に、アグロフォレストリーを作るという事に関して特にその想像力が発展している面があると思います。

オーストラリアのように、人間が入植することで、土壌の豊かさが失われてしまったような土地を人間が暮らすことによって、人間の日々の生活のニーズ、食べ物、住居、エネルギー、水、下水やゴミの処理を通した暮らし方をしつつ、その一帯の自然環境を再生しようという意識が強くあったと思います。

その点で言えば、荒れ果てて真っ白になったcleanslateの土地をゾーニングして、アグロフォレストリーをつく流ためのデザインとして、Bill Mollison ,Permaculture A Designers Manual, 1988はとても有効だったと思います。

7層の森、フードフォーレストを作る取り組みも、世界中で行われるようになり、例えばErnst Goschの取り組みは皆さんがよく知るSDGsが締結されたCOP21の際にも大きく取り上げられました。
Life is syphonyhttps://m.youtube.com/watch?v=gSPNRu4ZPvE

このように、暮らしに必要なもの自給を自給しつつ営む小規模農から、広大な土地の再生のデザインシステムを集中的にフォーカスしていた時期もあったと思いますし、日本にもウレシパモシリさんや、アジア学院のように食べ物を自給することも高いレベルで行なって取り組んでいるところもあります。

ウレシパモシリhttp://www.ureshipa.comアジア学院http://www.ari-edu.org

こういった土地の使い方と生産に関わるデザインにおいて、パーマカルチャーが担ってきた役割は大きいと思います。

しかし今RetroSuberbiaで改めて見つめ直そうとされていることは、今日本でも盛んに議論される、地方再生とか、地域コミュニティなど、一つの拠点だけではなく、地域としての人と人のつながりのことです。

シェアハウスなどのコミュニティ内での人のあり方、リノベーションやレトロフィットなどのあるものをより良い形に活かすことも、今までのパーマカルチャーの考え方やデザインの中で行われてきました。

そして、日本ではパーマカルチャーという名ではない形で、実験的なさまざまな取り組みが全国ですでに行われていると思いますし、また、よく言われるように、日本の昔の暮らし方の中にも、そのヒントは多いと思います。

Suberbia(地域)を、Retorofit(リデザイン)する、というコンセプトには、その上で、多くの人が共感できると思いますが、サブタイトルのThe Downshifter's Guide to a Resllient Futureについては、1章を読まないと、なかなか何が言いたいか、まだ捉えることができないかと思います。

パーマカルチャーは、デザインのシステムと言いましたが、どのような未来を作りたいのか、という疑問に、ざっくりとEarth Care, People Care, Fair Shareという3つのEthicsが示されており、その後は場所や地域、個人のニーズやコンセプトによって変わってきています。

そんな中、日本では、相模原市の藤野では、早くからレジリエンスの議論がされており、地域が電力や食べ物、災害が起きたときの地域住民の相互扶助があるコミュニティとしての面があると思います。藤野電力や、ビオ市、通帳型の地域通貨など、コミュニティのレジリエンスの力が強い地域であるといわれています。

※greensの台風14号の記事
https://greenz.jp/2019/12/25/disaster_prevention_fujino/

オーストラリアには、台風はありませんが、大量生産、大量消費、表土収奪の文明によるグローバルな問題、金融危機や気候変動や地価や生活コストの上昇、地域コミュニティの崩壊による、孤独の増加や安全な食べ物へのアクセスなどのグローバルな課題群があることは、日本もオーストラリアも変わりません。

そのような中で、誰かが作ってくれる技術が全て解決してくれるからまだ消費者のままそのまま暮らしてようということではなく、自分たちでの手で、どうにかこの現実をできるところからレジリエンスあるコミュニティへと変えてゆこうという人に向けて(Downsifter's Guide)のガイドブックであり、事例集である、というメッセージだと受け取りました。


【補足Downsifter's Guideについて】
Downsifter's Guideは、ホルムグレンの今の時代の理解、Energy descentの時代に生きる人、Downsifter'sへのガイドという意味です。
Energy ascentの時代、Energy decentと、石油価格の底値で分け、今をEnergy decentと定義しています。ピークオイルの議論は、石油が枯渇する時ではなく※1を石油がコスパをかけずに取れる時代※2を過ぎ去ったという認識。経済成長や、GDPなどの前提ではなく、その前提で、どのように生きたらより良く生きられるかを考察している。

オーストラリアのパーマカルチャーのティーチャーRosemary Morrowが、出版し、初心者向けのわかりやすいテキストとして読まれているEarth user's guide to Permaculture(邦訳なし)のネーミングへの意識も感じられる。

Earth user's guide to Permaculture
https://g.co/kgs/tmfzU7

※1 今の時点でも、地球温暖化の影響が強いのにもか変わらず、埋蔵されている石油を枯渇するまで使い切ったら温暖化の進行が手遅れになる臨界点を優に突破するのは、言われてみるとその通りだと感覚でわかります
※2 逆に言うと今のシェールオイルなどは、コストのかかる場所から石油をとっても採算が取れるぐらい簡単に採取される場所から無くなったとも推測できる

フリーランス、専業で活動していますが、パーマカルチャーの記事、書き物等、基本的に無料で公開しています。仕事に充てられる時間を削って執筆しているので、もし、活動に心を動かされた方がいたら、1000円から7000円のスケール型のドネーションでご支援いただけたらとても嬉しいです。