伝統文化のアップデート オンライン化で見えてきた未来(限定動画付き)
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

伝統文化のアップデート オンライン化で見えてきた未来(限定動画付き)

毎朝、鳥のさえずりとともに美しい新緑を眺め、新鮮な空気で深呼吸していると、今起こっていることが夢か幻か、はたまたSFの世界の出来事のようにも思えてきます。

画像1

新たに生まれ変わろうと(入れ替わろうと)しているこの世界で、「茶の湯など伝統文化をするには」というリアルな問いについて思考し、試行する日々です。

改めまして、こんにちは。
世界茶会というお茶の会を主催しております岡田宗凱(そうがい)です。

普段は東京を中心にお茶(茶道)の先生をしています。お茶会の他にも講演や本の執筆など、自分の体験を元にみなさまにお伝えしています。
※詳しい活動はこちらから 

画像2

先日、外出自粛要請(2020年3月29日)が出される中、初めてオンラインでのお茶会を開催しました。東京以外の神奈川、和歌山、ニューヨークからも参加してくださり「画面越しでも一座を共にでき嬉しかった」「オンラインならではの緊張感 & リラックス感もありお茶の未来像が見えた」と言っていただけました。

お茶会をオンラインで実施するために、お弟子さんとも情報共有を重ね、私なりの最適解が見出せた感じがします。

緊急事態宣言が出された今、お稽古に携わる「書道」「華道」「茶道」「香道」「お能」などは、大変な状況です。打開策として、オンラインに着手するしかないという方も多いはずです。また、オンラインでのお稽古を検討している先生方もいらっしゃると思います。

しかし、「どうやってやればいいのか分からない」という方も多いでしょう。なぜなら、オンラインでのお稽古のためのノウハウがまだないからです。そこで今回は、「オンライン茶会や稽古をどうやったらうまくできるのか」という実務的なノウハウをお伝えしたいと思います。

この文章をまとめるにあたって、すでにオンラインで企業研修を実施し研修担当者満足度100%、参加者満足度90%の実績をもつzoom研修プロデューサーの志村智彦氏にサポートいただいたことを先にお伝えしておきます。

こちらも大変参考になります
『オンラインzoom研修を成功させるための17の視点』

志村氏とはお互いにトライしてみたことを共有し、オンラインでの学習設計(ラーニングデザイン)をさらに進化できるよう探っています。

◆伝統文化、新世界の幕開けか

画像3

2020年3月下旬頃、私はこう考えていました。コロナはいつ終息し、元の世界(暮らし)に戻るのか。

今回のウィルスの特性である「潜伏期間の長さと、無症状感染者の存在」によって、この状況は長期戦になるということが分かりました。「アフターコロナ」ではなく「ウィズコロナ」であり、これからやってくる(また、すでにやってきている)のは、新世界です。

伝統文化の世界に限らず、人類全体がアップデートしていくことになります。

◆オンラインは突然に。実施の背景

2020年3月25日(水)夜、小池都知事は緊急の記者会見を開き「週末の不要不急の外出自粛の要請」がありました。桜も見ごろとなるこの季節、実は3月29日(日)に社中のみで稽古を考えていました。お茶は特に「三密(密閉・密集・密接)」にあたりますので、要請があった時点で迷うことなく中止を決定しました。

画像4

しかしながら準備を進めていたこともあり、中止(または延期)についても思うところがありました。参加者お一人おひとりが楽しみに、忙しい中でも予定をつくっていた会をただ止めにしたくはないと思いこんな考えに至ります。

◆アイデア募集!前向きな意思決定とプロセス共有

「中止」以外の選択肢は本当にないのか。そう考えていたところ「オンライン茶会」をひらめきました。早速みなさまへ共有し、アイデアを募集しました。はじめてのことなので「どんなやり方が望ましいか」など、みなさまの意見とお知恵を拝借して。
※ここからは具体的なメッセージを公開します。

画像5

すると一人のお弟子さんから、前向きなお返事が。ここでZOOMの存在を知ります。

画像6

みなさんお持ちのスマホやタブレット、パソコンで参加でき、40分以内であれば無料で多人数会議が可能、会員登録すら不要。まさに理想のアプリです。はじめての方には安心の事前接続の確認の提案までしてくださいました。幸いなことに私の社中(お弟子さん)は、みなさま全員がスマホなどをお持ちでした。

私は並行して、お茶会に「準備するもの」「タイムライン」を作成しました。通常と大幅に異なるので、事前の準備でどこまでイメージしてもらうかが重要です。

画像7

「参加者が準備するもの」を共有
茶碗、茶筅、抹茶、茶杓、茶こし、お盆、ポット

画像8

3月25日(水)の記者会見から、わずか2日でまとまりました。意思決定とプロセスにおいてはお弟子さんの協力あってのことです。

◆オンラインでの一座建立をどう成すか

タイムラインは出したものの、お茶会の内容についても考えなければなりません。「ただ実施するのでは面白くない」お茶で大切にしている「一座建立(いちざこんりゅう)」が成り立つのかという問いと向き合いました。一座建立とは、亭主(ホスト)と客(ゲスト)、双方の心が通い合い、一体感を生ずるほど充実した茶のことです。

画像9

オンラインにおけるリアルとの一番の違いは、フィジカル(身体的感覚)にあります。お茶会は集ってこそ。亭主が点てたお茶を客がいただくというものなので、各人が別の場所にいる場合、当然点てたお茶をいただくことはできません。

しかし、一体感だけを考えるのであれば、お点前を通して「“お茶を一服差し上げたい”という思い(空気)は届くのではないか」と考えました。

亭主であっても客であっても、お菓子・お茶・お湯・道具と、全て自分で用意する。ただ客として座って、出されたものをいただくのではなく、準備からはじまる参加型のお茶会が最大の特徴なのかもしれません。

◆事前の環境整備(デバイス、通信、Zoomの使い方)

実際のお茶会に行くのと同様にオンライン茶会でも準備は重要です。オンラインならではの事前の準備についてお伝えします。
※環境整備は主催者と参加者で基本的に同様です。

1.デバイス確認
2.アプリケーションのインストール
3.通信速度の確認
4.Zoomについて「無料版」か「有料版」か
5.Zoomの使い方
6.充電はしっかりと
7.心を整える

1.デバイス確認
スマホやタブレット、パソコンなど、どれを使って参加するかを決めます。
この時お手持ちであれば、画面が大きいものを推奨(スマホ < タブレット < パソコンします。

2.アプリケーションのインストール
スマホでもタブレットでもパソコンでも、まずはじめにやらなければならないのはアプリケーションのインストールです。

画像10

今回は「Zoomミーティング」を使いましたので、こちらからインストールします。

3.通信速度の確認
Zoomで推奨される通信速度は、1対1なら1Mbps、グループなら1.5Mbps以上が参考数値になります。まず、ご自分の通信速度を調べましょう。
例えば「NETFLIX fast.com」で調べてみます。 

画像11

画像大きく表示された25Mbps「下り」で、動画や音声データをもらう時の速度になります。基本的にはこちらだけ早ければ良いのですが、Zoomを使う場合は映像(音声)データを相手に送る必要があるので、「上り」の速度も重要になります。こちらだと、40Mbpsになります。
初めてのZoomで怖いのは「通信切れ」だと思います。そのために事前に調べておけると良いです。

4.Zoomについて「無料版」か「有料版」か
ここでは主催者と参加者に分けて考えてみます。
まず主催者が考えるべきは、Zoom「無料版」か「有料版」かということです。
※プランと価格 

画像12

実は、無料でも画面共有や録画機能などほとんどの機能が使えますし、ミーティング数の制限もなく最大100人まで入れます。実際に初めてのオンライン茶会では「無料版」で試してみました。

大きな違いは、無料アカウントだと3人以上で40分の制限時間があること、クラウドレコーディングができないこの2点でしょう。

特にお稽古やお茶会などこちらも「有料」で開催する際には、時間の制限で切れてしまうというのは致命的です。40分経つと自動的に接続が切れますので、改めて参加者に入ってもらわなければなりません。人数にもよりますが、かなりの手間となります。ご自身の開催する内容によって「無料版」か「有料版」かを決めるのが宜しいかと思います。「有料版」のプロであれば月2,000円(2020年4月24日現在)です。

参加者については上記の心配はいりません。主催者がプロに入っていれば、参加者は特に料金はかかりません。

5.Zoomの使い方
「百聞は一見にしかず」ということで、まずは使ってみるのが良いでしょう。管理者から送付されたログインURL・ミーティングIDを確認します。
URLをタップすると、自動的にアプリが起動し、ミーティングルームへ入室できます。また別の入室方法としてミーティングIDを入力して入室する場合があります。

画像13

また講義形式で行う場合は参加者は「ミュート」にしておくと良いでしょう。ミュートにしておけば、各参加者の音は拾いませんので、話している方の声が聞きやすくなります。

画像14

ちなみに、主催者は各参加者の「ミュート」「ミュート解除」が可能です。

画像15

また、「マイク」や「スピーカー」がパソコンに接続されているときは、どのマイクを使うか、どのスピーカーを使うかを選択することができます。

画像16

「相手の声がこちらに聞こえない」「こちらの声が相手に届かない」時には、別のものに切り替えると解決することがあります。

6.充電はしっかりと

画像17

特にスマホやタブレットを使う際には十分な充電をしておく必要があります。途中で切れてしますと、全体が止まってしまいますので。

7.心を整える
最後に重要なのが、この「心を整える」です。
ここへきて急に“こころ?”と思うかもしれませんが、欠かせないポイントです。みなさまがお茶に求めるものの一つに「非日常」があります。茶室に入り、自然の光の中でお茶をいただく。これまでのリアルなお茶会では、ごく当然のことでした。

画像18

ご自宅での参加となった今回の場合は「非日常空間をどのようにつくるのか」が一番の課題です。暮らし慣れた見慣れた景色、まずは電気を消してみるのも良いかもしれません。また、身の回り(半径1m)を片付けるようにとご案内しました。見るもの(見えるもの)を限定することで、意識を集中させる。お稽古もお茶会も参加する際に最も重要なのは「心の状態」です。その心を整えるために、まずやることは掃除です。場を清めることで、自分自身もすっきりとお茶と向き合えます。あくまで強制はしないということも意識しました。みなさん大変な状況というのは分かっていますから、参加のハードルは最低限にし「ご自身が良いと思うところで」とゆるくお伝えしました。誰かからの指示ではなく、内側から動機づけていくことで、本当の意味での参加になりますし、結果、満足度にもつながります。

◆主催者と参加者、事前の準備(まとめ)

オンラインならではの事前の準備についてお伝えしましたが、実際にやってみると、ほぼ主催者(亭主)と同じだけの工程になるということが分かります。「オンラインだから簡単なのでは」と思っていたら大間違い。実際のお茶会以上に覚悟もエネルギーも必要です。そして何よりお茶会に実施には、参加者(客)の主体的な協力が不可欠になるということが分かりました。

●亭主(主催者)の準備
1.必要な道具を用意する。
2.常の通り、茶室の掃除をする。
3.炭をおこし、釜をかける。
4.お茶をはき、棗に入れる。
5.点前ができるように道具を仕組む。
6.着物に着替える。
●客(参加者)の準備
1.必要な道具を用意する。
2.身の回り(半径1m)を片付ける。
3.お湯の準備をする。
4.茶こしでお茶をはく。
5.点前ができるように道具を仕組む。
6.お着物に着替える。

◆オンライン茶会を成功に導くひと工夫-役割を決める

参加者自ら「道具の準備」「通信デバイスと環境の確認」「部屋の掃除」と整え、いざお茶会!といきたいところですが、最後に一つ。
役割を決めておくと良いということです。ここでは亭主と客の他に、亭主のアシストをする水屋という存在がいます。水屋はいわゆる裏方的存在です。通常であれば表に出ることはありませんが、オンラインでは「接続や操作のこと」など亭主に代わってアシストしてもらうことで、よりスムーズに客も安心して参会することができます。

画像19

また客の中でもメインとなる「正客(しょうきゃく)」を決めておくと良いでしょう。通常のお茶会でも誰を招いたのか(主賓)が大切です。実は、席中でお話をして良いのは基本、亭主とこの正客に限られます。大勢が一堂に会しますから、会話が混線しないようにオンラインの会でも当てはまります。

◆オンライン茶会の実施茶席は共通体験でつくられる

これでようやくお茶会となります。ここでは「共通体験」が重要になってきますので、要素をまとめておきます。

●共通体験の要素
1.視覚・聴覚を意識して席をつくる。
2.着物など、制約をもうけることで一体感が生まれる。
3.お点前は臨場感をもたせるために定点にする。
4.お菓子、抹茶は同じタイミングでいただく。

開始の10分前(参加者の人数にもよります)を目安にZoomに集っていただきました。お茶では席に入ることを「席入り」といいますが、ここではサインインというように置き換えてみました。また、事前にみなさまへはできるだけ着物でご参加くださいという一文を添えておきました。着物姿のみなさんがそろいうと画面も華やか、やはりパッと印象に残ります。

画像20

「着物=お茶」これで大分お茶っぽくなりますね。「空気感=一体感」にもつながりますので、この“場づくりが重要です。今回は17名/20名中が着物でご参加くださいました。

オンラインでの情報は五感のうちの「視覚」と「聴覚」ですから、例えば釜の湯の音も聞こえるように沸かしておきます。釜の音は松風といい、これもまた「ご馳走」になります。

はじめのお一人おひとりへの御挨拶では、各自が用意したお菓子についても少しお話いただきました。本来は正客との会話のみですが、参加感を醸成するには言葉を発することが一番です。お菓子は茶の湯の原点に戻ってドライフルーツや手作りの方もいれば、和菓子を買って、家にあったものとそれぞれでした。ここでの「共通体験」は各自が用意するでしたが、同じ時間、同じものをいただくという観点から、次の開催から各自へお送りするようにしました。

そして御挨拶の後、カメラのアングルを調整してお点前をしました。

画像21

ここではあえてカメラは一台で定点(固定)にしました。お茶席は良くも悪くも自分が座った位置からしかお点前は見れませんので、定点の方が臨場感が伝わりやすいと考えました。
お点前の後、みなさん一緒にお菓子をいただき、抹茶を点ていただきます。もちろん私が点てたお茶ではありませんが、映像からの「柄杓からお湯を注ぐ音」や「お茶を点てる音」で伝わったようです。

別撮りでお茶会のようすを編集してみました。ここではアングルも変え、カット割りもしています。今後は「映像を上手に活用していく」ことで、より広がりや深みをもたせることができるのではないかと考えています。

◆茶の湯とオンライン-その親和性について

お茶会は結婚式やパーティーのように「招待制」クローズドになっています。実はオンラインにおいても、このことが一致します。参加者は主催者からの「招待URL」がないと入室できません。

画像22

また「正客を決める」「水屋の手配」も前述した通り、通常と同じく必要になってきます。事前に場所(URL)の確認席入り(サインイン)は余裕をもつなども一緒です。やってみて、意外と親和性があるということが分かりました。客も亭主と同様に準備から入りますので、文字通り「相手の立場に立つ」ことになります。まさにオンラインならでは、新しい形のお茶会です。ここで言えるのは「見立て(替え)」がきくかどうかです。そして、リアルより劣るではなく、リアルではできないことをするというのが、今後求められていく体験です。

◆オンラインで重要なのは〇〇と〇

オンライン茶会を実施し、参加者のみなさまからご感想をいただきましたので、ご紹介します。オンラインにおいて重要なのは「思いやり」と「想像力」であることが読み取れます。

「STAY HOME」オンラインでも大好きな社中の皆さんと一緒に一服のお茶が楽しめることが幸せでした。 30代 女性
準備にたったの3日。自宅でリモートなれど着物を着て、お菓子がなければ作り。こんな状況にならねば考えもしなかったでしょう。でもやればできました。 30代 男性
離れていても一体感、参加者全員の想いを充分に感じました。またみなさまと直に会いたいなぁという思いも一層強くなりました。 60代 女性
お茶が人を繋いでしまうこと、改めて驚きました。100人でZoom大茶会が実現したら、茶史に残るかも⁉︎ 50代 男性

◆伝統文化の未来-お稽古2.0

ここまでオンラインでの茶会の共有をしてきましたが、私のところでは4月からすでにリモートで稽古もはじめています。

画像23

これまで伝統文化では行われてなかったリモートでの稽古ですが、引越しや転勤などで遠方にいらっしゃる方の参加が可能になりました。またお茶以外でも書やお能の先生までもがリモート稽古を始めています。今の状況が続くとすると、その間にリモート稽古をする回数も増え、それは「習慣」に変わります。

ビフォアコロナであれば、対面を重視する伝統文化の世界ではタブーとされてきたことが、リモートのハードルもぐっと下がり、リアルとリモートのダブルスタンダードになっていきます。

移動時間や交通費が関係なくなり、配慮することといえば時差くらい。現に私のお弟子さんでもニューヨークや和歌山などからもご参加くださってます。ただ前提として、リモートが当たり前の世の中になっても、当然リアルな稽古がなくなることはありません。大事なことは、捨てても良いもの(替えがきかないもの)が何なのかという自分なりの“ものさしをもつことだと思います。

画像24

最近やってみているのは「座学」的なことと「簡易な点前」です。伝統文化の世界では「メモは禁止」といわれますが、私のところでは毎回テーマを決めてパワーポイントを用意し、レジュメも配布しています。どうしても参加できないという方のためにはZoomのレコーディング機能を使って、動画を共有します。

画像25

そして時には「ミニ課題」を用意して、自分で調べて発表するという機会もつくっています。まず先生は「興味をもってもらうように概要をお話する」その後、弟子は「興味をもったものの中から、具体的に調べてまとめる」というプロセスです。最近は学習において「アウトプットの重要性」が説かれます。本来のお茶は一に実践、二に実践なのですが、こういった状況では「知識」を充実させることも有意義なことかと考えています。

◆伝統文化の未来-師弟関係2.0

画像26

お茶会やお稽古をリモートに切り替えたことで元々のお弟子さんの他に、名古屋やトルコからもご参加くださっています。インスタやフェイスブックをご覧になって、興味をもってくださったようです。物理的な距離が関係なくなると、本当に習いたい人から習うことができるようになります。

ちなみにお会費は事前にいただいく方法をとっています。リアルで会わずともネットで商品を購入するように、体験としてお茶会やお稽古を提供する時代がやってきました。

ここで重要になってくるのが相手との信頼関係です。一度でもリアルで会っていれば、その後はリモートでもいけるかもしれませんが、はじめてとなると不安が大きいのも事実です。いかにこちらの顔(どんな人か)が見え、どのようなサービスなのかと公開していくことが求められます。ウェブサイトでもこのように掲載しております。

画像27

このリモートで信頼を築く力「リモートトラスト(remote trust」)の考え方はこれからより重要視され、この力があれば活躍できるフィールドは広がり「世界」がより近くなっていきます。
対面で会わずとも師弟関係が成り立つ時代はすでにきているのかもしれません。

◆伝統文化の未来-お教室2.0

2020年春、多くの発表会やお茶会がなくなりました。そして現在もお稽古は休まざるを得ません。これからは伝統文化のお教室でも、「リモート可」をうたわなければ、存続することすら危ぶまれています。

働き方、暮らし方にリモートが取り入れられるのが当たり前の世の中になっていった時、これまでの教室は確実に変わっていきます。

画像28

私は東京に茶室を構えていますが、毎月の固定費を考えた時に、自社だけで持ち続けることが可能か、その必要性についても検討しています。

近年成長し続けてきたコワーキングスペース(共同で仕事をする場所)などのシェアリングという考え。昨今はコロナ禍で「見知らぬ誰かと接触する」リスクの方が目立ってしまっておりますが、根底に流れる「場所や物を共用して負担を分散し、より多くの利用機会を生む」という観点は、和のお教室においても当てはまっていきそうです。

最後に

茶道を中心に伝統文化のアップデートについてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。これまで当たり前だったお稽古やお茶会ができなくなることは、そう簡単には受け入れられません。すぐに対応策を考えるのではなく、まずは現実と向き合いちゃんと困ってみる。「これまでは」とか「〇〇がない」とか過去に意識を向けることからはじめても良いと思います。その結果「ある」ことに気づく。そして「お茶とは何か」「稽古とは何か」「提供しているもの、分かち合っているものは何か」など、本質的な問いと向き合い、再定義することで自分の中で一本芯の通った幹(価値観)が醸成されます。きっと自ら悩み、手にした新しい価値観はこれから生きていく上で大きな支えになることでしょう。

「ふるいに掛けられて、残るところだけが残れば良い」という考え方ではなく、「文化全体が残る仕組みを構築すること」が、今の私の使命です。そのためにやれることは全てやるの精神でおります。大事なのは茶の湯ではなく、それをする自分たちです。

カバー

職人の世界でもよく例えられますが、全てなくなったゼロの状態からは、再構築できないという話があります。先日取材を受けた『FRaU』2020年5月号でもお話しましたが、抹茶やお茶の道具類については茶道人口が支えています。茶道人口が減れば、その分お道具や消耗品一つあたりが高くなる。そうするとお茶を続けたくても続けにくくなるという悪循環に陥ります。少数が助かっても、あまり良いことは起こらないように思います。

伝統文化の世界では今が、「全体が生き残る新しいシステム」を構築する時です。今日のような大きな変化の時、「これが正解」という答えは見えにくく、結果として残ったものが正解になっていくのかもしれません。まさにダーウィンの進化論そのものです。

『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。』

オンライン、リモートと人類がつくってきた奇跡のようなテクノロジーを活用し、新たな未来を創造していきましょう。

本記事を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。「オンラインについてもっと知りたい」「オンライン稽古に参加したい」「オンライン稽古について相談したい」という方は、プランもご用意しておりますので、メールまたはfacebookで友達申請いただければと存じます。

世界茶会 メール http://chakai.jp/contact
岡田宗凱 facebook https://www.facebook.com/sougai.okada

※その際『note』を読んだ旨をお書きいただけますと幸いです。

なぜ、noteで無料公開にしたのか

「note」はクリエイターと読者をつなぐサービスで、記事に価格をつけて販売することができます。しかし、今回は「伝統文化に携わる先生」や「お稽古に通われている方」に少しでもお役に立てればという思いで、書かせていただきました。「有料」にし、限られた方が購読するのではなく、「無料」でもより多くの人のお役に立つことが目的です。繰り返しになりますが、「一部の人だけが残るわけではなく、楽しまれている人がなるべく多く残れる」そんな世界をつくっていけたらと思います。

ちなみに「note」には「クリエイターサポート機能」というのがあります。こちらの記事に共感してくださった方は、下のボタンから応援・支援いただけますと幸いです。今後の文化活動に役立てさせていただきます。

この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
ありがとうございます。合掌一礼
世界茶会を立ち上げ、世界10ヵ国(11都市)で茶会を開催。月に一度、茶会体験ワークショップを開き、13年間で151回、延べ約4,500名以上が参加。国内外の茶会の他に海外からの国賓、ビッグアーティストへお茶をお出しするなど、活動の幅を広げている。著書『茶道美人』(新人物往来社)