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きょうの聡太くん 2022/10/18

 きのう、聡太くんが無事に帰ってきて、2階でひなたぼっこをしているとき、聡太くんは必死で眠気と戦っていた。そんなに眠いなら寝ればいいのに、と思ったが、何故か寝ようとしなかった。
 膝に乗ってきて、そのままガンダムをスマホで視聴し、さて、と聡太くんをどかしたところ、服にシミができていた。これが溜まらないように処置した汁だろうかと匂いを嗅いでみたところ、見事におしっこだった。
 よく見れば聡太くんが座っていたところの床も水溜まりができている。獣医さんに電話してみたところ、麻酔で括約筋が緩んでおもらしする子は少なからずいるらしい。特に血尿とかではないので、しょうがなく中学のころのジャージを穿き、常に膝の上にいてもらう、という、将棋で言うところの顔面受け(玉で受けること)みたいな方法で凌いで、用事から帰ってきた母氏に相談して座布団を一枚犠牲にすることにした。
 父氏が帰ってくるころにはすっかり麻酔はぬけて暴れ放題していて、あまりに元気なので「大人しくしなさい!」と叱ってしまった。朝からなにも食べていないので「たべさせろ〜!」と大騒ぎするのだが、獣医さんに「ふだんの4分の1与えてください」と言われていたので、もらえたカリカリは一口で、腹へったモードでずっと騒いでいた。

「にんげんのあさごはん、じゃましたいなあ」


 きのうの夜、明日聡太くんは無事だろうか、と、聡太くんが我が家に来た日の夜のようなドキドキした嫌な想像をしていた。
 それでも疲れていたのですぐに眠れた。翌朝起きると聡太くんは「ごはんをよこせー!!!!」と大騒ぎしていて、薬を混ぜて食べさせた。なんだかすごく拍子抜けしてしまった。
 聡太くんに出たのは粉薬とカプセルなのだが、カプセルは開けて半分飲ませねばならない。それなら最初から粉薬で出してほしい。
 お腹がぺこぺこの聡太くんはすさまじくがっついて朝ごはんを食べた。薬をまぜたパウチのキャットフードもぜんぜん気にしないでガツガツ食べた。
 とりあえず第一関門は突破、という感じだ。

 聡太くんはいまのところ性格が変わった感じはしない。噛み癖もおさまらない。でも少しずつ動きが減るんだろうなという気はしている。
 たぶんお昼寝のことも忘れていないだろうし、人間大好きも変わっていないはずだ。
 獣医さんに「水分不足」と言われたので、いま飲ませているミルクが終了したら水に切り替え、カリカリも終わり次第去勢猫向けにしようと思っている。パウチのキャットフードが好きなようなのだが、それはどうするか未定だ。パウチのキャットフードは薬を飲ませるときにとても便利だからだ。
 可哀想なことではあるのだが、しかし脱走に夢を抱かれたりスプレーされたりすることを思えば、一緒に暮らすために必要なのだと納得できる。傷口も小さいし本人もあまり気にしていないようだ。
 ムツゴロウ御大が著書のなかで去勢は人間本位の行動でいつまでも子犬子猫のまま置いておきたいというワガママなものだ、というようなことを書いていた。でも脱走されて車にはねられたり、家具をおしっこ臭くして家族に顔をしかめられたり、タマタマを残しておいたことがきっかけで病気になったりするリスクを思うと、現代の室内飼いの猫には必要なのだとわたしは思う。

そうか、チョッキンしても噛むんだね、きみは……。


 そして、わたしは聡太くんをもらってきたときに考えた、「なるべく自力で獣医さんにかかりチョッキンしてもらう」というミッションをクリアしたわけで、ちょっとだけ「責任」を負うことができた。まあエンジンのついた乗り物は運転できないので母氏や父氏に運転手をお願いしたのだが。
 世の中のわたしと同世代のひとは、もっと責任の重い人間のお子さんを育てている。それに比べたらたかだか猫の去勢なのだが、しかしそれでもひとつ大人になった気がする。
 聡太くんが頑張ったようにわたしも頑張ったのだ。えらいぞ聡太くん、えらいぞわたし。

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