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きょうの聡太くんとヘドロ飼い主 2022/11/22

 きのうの人間の夕飯はスペアリブの煮物だった。つまり骨付き肉だ。夕飯のあと聡太くんのキャットフードを用意してケージから出したところ、聡太くんはキャットフードをやっつけるなり骨付き肉の骨をかじりにきた。
 どうも骨というのは肉食動物の本能をメラメラさせるものらしい。聡太くんは骨をくわえてテーブルの下に持ち込み、わたしのプロットを入れているファイルの上に骨を落として、そこで骨を没収となった。
 あんた骨かじれるほど歯ぁ強くないでしょ、と思うのだが、まだ若いからそういうことは気にしないのだと思う。食いしん坊というのは困ったものだ。
 きのうは肉の切れっぱしだとか水分補給ちゅーるだとかをもらってお腹いっぱいになったのか、夜に人間が寝る支度を始めると静かに眠りはじめた。あまりに大人しかったので心配になって、「だいじょうぶか、どっか痛くないか」と声をかけて撫でようとしたら噛まれた。
 朝起きてきたらすでにケージのなかで「だせー! ここからだせー! おにぎりとゆでたまごをくわせろー!」とわめき散らしていたので、たいへん元気だった。心配して損した。

「ぼく、いけめんなんですよ〜」


 昨日は和裁教室に行ってきた。
 和裁の先生は忙しいひとなので、ずいぶんと久しぶりだった。聡太くんがうちに来てから、ほとんど針に触っていなかったので、調子を取り戻すまでとにかく難しかった。
 和裁の先生は猫を職場であるお店に連れてきている、という話だったので、ケージに入れているのかな、と思ったらまさかのハーネスとリードだった。三毛猫の親子で、顔がまんまるで可愛かった。
 三毛猫というのは割とお高くとまっている子が多いらしい、と和裁の先生は言っていた。トラ猫は懐っこいのだとか。確かに聡太くんは荒っぽいヤンチャをするものの人懐こい。
 和裁の先生の猫はけっこう粗相をするそうで、聡太くんがおしっこでやらかしたことがないのはわりとラッキーなほうかもしれない、と思った。
 そしてどこの猫も「ごはん」「おやつ」「ちゅーる」という言葉を聞くと激しく反応することが分かった。なぜだろう、猫の不思議だ。

 きょう、わたしが公募の原稿(というにはちょっと無理のあるつまらなさのやつ)を書いているあいだ、聡太くんは大変お利口にしていた。
 パソコンを出してきてもチョッカイを出さなくなった。聡太くんはパソコンに飽きてきたのだろう。
 とりあえず公募の原稿(略)はいちおう着地したので、次のプロットを作って書き始めなくてはならない。いまからやれば電撃に間に合うだろうか。
 どうも、自分にとって面白い題材のほうが楽しく書ける気がする。昔いい評価をもらった作品の焼き直しをしていたがぜんぜん楽しくなかったのでぜんぜん進まなかったのだ。やる気が湧かないから内容もとっ散らかっていたし、設定ばっかり頭でっかちになっていたような気がする。
 読者が読みてーのは設定じゃねーんだストーリーなんだよ!!!! と自戒を込めて、次の作品も頑張ろうと思う。今回の作品には猫が出せなかったので次回作では猫を登場させたいと思っている。猫は平和の使者だからだ。

古代エジプトの彫刻のごとき横顔。


 そういえばきのうの夕方、あまりに聡太くんが鍋を気にして台所にいくので、歯磨きオモチャにマタタビをまぶしてやったところ、ガンギマりの顔でしばらく噛んでいたのだが、さほど執着もせずに飽きて放り出してしまった。
 なにが悪くてこれを嫌うんだろう、と思う。音がしたり転がったりしないからだろうか。猫の心は難しい。

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